−あら(ara)−
・洗い浚い(あらいざらい) 何から何まで全部。残らず。すっかり。悉(ことごと)く。有りっ丈(たけ)。 例:「洗い浚いぶちまけてやる」
・洗い出す(あらいだす) 1.洗って下地などを出す。洗って、汚れを落とす。 用例:人情・春色恋白波−一「雑巾を洗ひ出し」 2.形や事情などを、調査・検討して明らかにする。 例:「洗い出された問題点」 用例の出典:春色恋白波(しゅんしょくこいのしらなみ?) 人情本。為永春水。・・・調査中。
・荒稼ぎ(あらかせぎ) 1.腕力や体力による仕事。 類:●荒仕事 2.力尽くで他人の金品を奪い取ること。強盗や追い剥ぎなど。3.手段を選ばないで、一度に多額の金品を手に入れること。大きな儲(もう)け仕事。また、暴利を貪(むさぼ)ること。 例:「霊感商法で数億の荒稼ぎ」
・荒肝を抜く(あらぎもをぬく)[=拉(ひし)ぐ] 酷(ひど)く驚かす。度肝を抜く。 類:●荒肝を拉ぐ●度肝を抜く●肝を奪う●生き胆を抜く●生き胆を取る
・嵐の跡(あらしのあと)[=後] 1.嵐が吹き過ぎた跡。また、その跡形(あとかた)。2.騒ぎなどが収(おさ)まった状態の喩え。
・嵐の前の静けさ(あらしのまえのしずけさ) 暴風雨の来る直前一時的に辺りが静まるところから、変事の起こる前のちょっとした間の無気味な静けさをいう。特に、悪いことが起こる直前のことを表わす。
・あらずもがな 「無ければなあ」という意味。ない方が良いこと。 例:「あらずもがなのこと」 類:●なくもがな
・争うべからざる(あらそうべからざる) 論ずる余地のない。言い争うまでもなく明白な。 例:「争うべからざる事実」
・争う物は中より取る(あらそうものはなかよりとる)[=から取る] 1.一つのものでふたりが争っているとき、第三者が中に入って、それを取ってしまうこと。2.争う間に入って、第三者が預かる。また、ふたりの間を調停する。
・争われない(あらそわれない)[=ぬ・ん] あることについて、あれこれ主張しようとしても、既に、それができないくらいはっきりと結果が出ている。否定することができない。隠せない。 例:「争われぬ証拠」「年齢は争われない」
・新たに沐する者は必ず冠を弾く(あらたにもくするものはかならずかんむりをはじく) 自分自身を潔白に保とうとする者は、外物によって汚されることを恐れ避けようとする。 出典:「楚辞−漁父辞」の句<髪を洗ったばかりの者は、必ず冠を弾いて塵を払ってから被る>
・荒波に揉まれる(あらなみにもまれる) 1.船などが、荒れ立つ波に激しく揺り動かされる。2.困難や苦労を経験する。人生や世間の厳しさを味わう。 例:「世間の荒波に揉まれてきなさい」
・あらぬ方(あらぬかた) 思いも寄らぬ場所。とんでもなく不都合な場所。
・荒療治(あらりょうじ) 1.患者の痛みを気にしないで、手荒く治療すること。2.転じて、ものごとを手荒く処置する。また、思い切った遣り方で改革する。
・あられもない 1.ある筈もない。有り得ない。とんでもない。 類:●予想外 用例:随・独寝−下「あられも無き人とものいひかはし」 2.そうあってはならない。相応(ふさわ)しくない。似つかわしくない。特に、女性の態度や振る舞いが、女性として適当でない場合などに多く用いる。 類:●以ての外(ほか) 用例:浄・平家女護島−二「女の丸裸、<略>若布荒布あられもない裸身に」 ★「あられ」は、「ある」に可能の助動詞「れる」の付いた「あられる」の名詞化<国語大辞典(小)>
・粗を探す(あらをさがす) 「粗」に僅(わず)かに残っている肉を探し、穿(ほじく)って食べる。転じて、他人の欠点や落ち度を探す。特に、人の小さな欠点を穿り出すことをいう。 参考:粗(あら) 魚や鳥獣などを調理した後に残る、まだ僅かな肉が付いている骨や頭。魚の三枚下ろしの中骨の部分などのこと。