−あた(ら)(atara)−
・可惜口に風を入る(あたらくちにかぜをいれる)[=引かせる] 折角言ったことが無駄になること。折角意見をしたり良い声で歌ったりしても、その甲斐がなくなること。
・新しい空気(あたらしいかぜ) 新しい時代に生まれた新しい風潮という意味で、主に、新時代の文化や思想について用いる。 類:●新しい波●新しい風
・新しい酒を新しい皮袋に盛る(あたらしいさけをかわぶくろにもる)[=葡萄酒を〜] 新しい内容を、新しい形式で表現する。新形式の中に新思想を盛り込む。 出典:「新約聖書(改訳)−マタイ伝・九章」
・新しい酒を古い皮袋に盛る(あたらしいさけをふるいかわぶくろにもる)[=〜入る] 新しい内容を、古くからある形式の中に盛り込む。旧形式の中に新思想を盛り込む。 出典:「引照旧新約全書−馬太伝・九章」 出典:引照旧新約全書(いんしょうきゅうしんやくぜんしょ) 聖書の訳本。明治22年(1889)。1巻。米国聖書会社。のち、聖書翻訳・出版事業は、昭和13年(1938)に設立された日本聖書協会が受け継いだ。
・当たらず障らず(あたらずさわらず)・触らず ものごとに付いてはっきり言わない。核心に触れない。曖昧(あいまい)で事なかれ主義であるということ。 類:●当たり障りがない 例:「当たらずさわらずの返答をする」
・当たらずといえども遠からず(あたらずといえどもとおからず) 正しく的中はしていないが、たいした間違いがなく、ほぼ当たっている。
・可惜花を散らす(あたらはなをちらす) 惜しまれる人が若死にすること。 ★「あたら」は、「もったいないことにも(まあ)」「惜しいことにも(まあ)」などの意味。
・当たりが付く(あたりがつく) 1.気持ちが傾く。惚(ほ)れる。 用例:洒・箱まくら−上「旦那さん、春さんにあたりがつきましたか」 2.見当がつく。手掛かりができる。 用例:滑・七偏人−二「誰とも当りの付かざる故」 3.芝居興行などで評判を取る。また、商売で成功する。 用例の出典@:河東方言箱まくら(かわひがしほうげんはこまくら) 洒落本。田螺金魚。安永7年(1778)。1巻1冊。・・・調査中。 用例の出典A:七偏人(しちへんじん) 江戸末期の滑稽本。5編。梅亭金鵞。安政4年(1857)〜文久3年(1863)。「八笑人」に倣(なら)い、酒を飲みながらの茶番を書いたもの。金持ちの若隠居喜次郎とそこへ集まる暇人たちの話。正式な書名は、「妙竹林話〜七偏人(みょうちくりんばなし〜しちへんじん)」。 著者:梅亭金鵞(ばいていきんが) 幕末から明治開化期に活躍した戯作者。1821〜93。本名、吉田政和。通称、熊三郎。江戸両国の人。滑稽本・人情本にその才を示したが、明治維新後は、「団団珍聞(まるまるちんぶん)」主筆、「東京絵入新聞」客員などとして活躍。著に「七偏人」「柳之横櫛」などがある。
・あたりきしゃりき 「当たり前」を洒落ていう。近世以後、職人などが用いるぞんざいな言葉。 類:●あたりきしゃりきのこんこんちき ★「しゃりき」は「車力」で、「りき」の音を繰り返して語呂をよくするために添えたもので、さらに「車引き」とか「けつの穴馬力」とか続けてもいう<国語大辞典(小)>
・辺りに人なきが如し(あたりにひとなきがごとし) 遠慮のない振る舞いをする。 類:●傍若無人
・当たり前(あたりまえ) 1.道理から考えて、そうあるべきこと。誰が考えてもそうであること。 類:●当然 例:「借りた金は返すのが当たり前だ」 2.ごく普通のこと。ありふれていること。世間並みの。 例:「当たり前の策では勝てない」 ★「当然」の当て字「当前」の訓読から<国語大辞典(小)>
・辺りを輝かす(あたりをかがやかす)・耀かす その人から光が出て、辺りを照らすように感じられるという意味。人格、服装、様子などが立派で、素晴らしいこと。 類:●辺り輝く
・当たりを付ける(あたりをつける) 1.惚(ほ)れる。気持ちが傾(かたむ)ける。2.見当を付ける。手掛かりを見付ける。 類:●目星を付ける 例:「犯人の当たりを付ける」
・当たりを取る(あたりをとる) 1.芝居興行などで評判を取る。また、商売で成功する。2.見当を付ける。 類:●当たりを付ける
・辺りを払う(あたりをはらう) 他を近くに寄せ付けない。美麗、威厳などで周囲を威圧する様子。堂々としている様子。 類:●辺りを圧す●辺りを制す●他を圧す
・当たるも八卦当たらぬも八卦(あたるもはっけあたらぬもはっけ) 占いは、当たりもするが外れもする。必ずしも的中しないのが占いというものだ。
・当たるを幸い(あたるをさいわい) 手に当たるを幸いとして。手当たり次第に。 類:●当たる任せ●手当たり次第●盲滅法