−あて(ate)−
・当て馬(あてうま) 1.牝(めす)馬の発情を調べたり促(うなが)したりするために、牡(おす)馬を近付けてみること。また、その牡馬。2.転じて、相手の様子を探るために仮の者を前面に出すこと。また、その者。 例:「当て馬として先発メンバー表に入れた」
・宛行扶持(あてがいぶち) 先方の要求に関係なく、与える側が一方的な条件で与える所領、俸禄など。また、そのような与え方をすること。 用例:雑俳・柳多留−一五「初会にはあてがひぶちをくってゐる」 用例の出典:俳風柳多留(はいふうやなぎだる) 川柳集。176冊。呉陵軒可有ほか編。明和2年(1765)〜天保11年(1840)刊。1〜24編前半までは初代柄井川柳、以下五世まで代々の撰集。「川柳評万句合」の中から前句を省いても意味の通じる句を集めた小型本。「やなぎだる」とも。
・当てが外れる(あてがはずれる) 期待していたこと、見込みが外れる。 用例:滑・七偏人−三「一番ヤンヤと請ける気の当が外れて」 類:●予期に反する●当てが違う
・当て事と越中褌は向こうから外れる(あてごととえっちゅうふんどしはむこうからはずれる)[=畚褌(もっこふんどし)は〜] 兎角(とかく)当てにしていることは、先方の都合で外れることが多い。 ★越中褌(畚褌)は、前の部分(前方・先方)から外れることが多いことから。
・当て込む(あてこむ) 1.良い結果を予期して、それを当てにする。旨い結果や良い機会を期待する。 類:●当てにする 例:「お祭りの人出を当て込む」 2.芝居などで、最近の事件や話題などを、脚本または、台詞(せりふ)やしぐさにそれとなく取り入れて客受けを狙う。 用例:伎・神有月色世話事「これは五右衛門を当込んだのだ」 用例の出典:神有月色世話事(かみありづきいろのせわごと) 歌舞伎。河竹黙阿弥。文久2年(1862)。通称「縁結び」。・・・詳細調査中。
・当てずっぽう(あてずっぽう)・当てずっぽ はっきりした根拠もなしに判断し、事を行なうこと。また、その内容。 類:●当て推量●出鱈目 用例:浄・扇的西海硯−道行「あてづっぽうに声を懸け」 用例の出典:扇的西海硯(おうぎのまとさいかいすずり) 浄瑠璃。並木宗輔、並木丈輔。享保19年(1734)。那須与市の西国出陣と、息子小太郎・駒若の初陣(ういじん)争いを描いたもの。別名「那須与市西海硯」。通称「乳母争い」。
・当て付ける(あてつける) 1.物を宛てがう。割り当てる。 用例:古今著聞集−一〇・三七七「おほゐ子が田にはあてつけざりける時」 2.他のことに託(かこつ)けて不満、非難、恨みなどの感情を遠回しに表現する。皮肉な言い方や皮肉な態度を示す。3.男女の仲の良いところを、見せ付ける。わざと見せびらかす。
・当て所もない(あてどもない) 「当てど」は、当てる所、即ち、心当たりという意味で、目当てがないということ。なんとなく不安である。 用例:浮・好色五人女−二「薬代の当所(アテト)もなく」 用例の出典:好色五人女(こうしょくごにんおんな) 浮世草子。5巻5冊。井原西鶴。貞享3年(1686)。当時著名な巷説(こうせつ)に取材し、お夏清十郎、樽屋おせん、おさん茂右衛門、八百屋お七、おまん源五兵衛の5組の恋愛事件を扱う。 人物:井原西鶴(いはらさいかく) 江戸前期の浮世草子作者、俳人。1642〜93。本名平山藤五。別号鶴永、西鵬、二万翁。家号松寿軒。大坂の人。西山宗因に談林風俳諧を学び、矢数俳諧を得意とした。浮世草子の名作を数多く残した近世文学の代表者。著「好色一代男」「好色五人女」「好色一代女」「武道伝来記」「武家義理物語」「本朝二十不孝」「日本永代蔵」「世間胸算用」「西鶴織留」「西鶴置土産」、俳諧に「大句数」「大矢数」など。
・当てにする(あてにする) 信用して頼りにする。助力などを期待する。 例:「些細なことでも親を当てにする」
・当てにならない(あてにならない) 信頼することができない。頼りにならない。また、信用できない。 例:「近頃の天気予報は当てにならない」
・当てられる(あてられる) 1.男女の仲の良さを見せつけられる。 例:「新婚の二人に当てられる」 2.害を与えられる。体に障(さわ)る。 例:「毒気に当てられる」