−あと(ato)−
後足で砂を掛ける(あとあしですなをかける)
後押し(あとおし)・跡押し 1.荷車などの後るを押して、引き手を助けること。また、その人。 例:「坂が急なので後押しが必要だ」 2.転じて、陰で助力すること。力添えをしたり、悪いことを唆(そそのか)したりすること。また、それをする人。 類:●後援●後ろ楯●尻押し 例:「代議士の後押しが付いている」
跡形もない(あとかたもない) 1.何かがあったという形跡が全然ない。痕跡もない。2.訳が分からない。筋道が立たない。根拠がない。 用例:拾遺愚草−上「秋の夜は雲路をわくる雁がねのあとかたもなく物ぞ悲しき」 用例の出典:拾遺愚草(しゅういぐそう) 鎌倉初期の私家集。藤原定家の和歌を収める。自撰。本編3巻と員外の4巻から成る。建保4年成立、その後天福元年(1233)に出家するまでのものを加えている。総歌数は3,829首。六家集の一つ。
後釜(あとがま) 1.竈(かまど)に残り火がある内に次の釜を掛けること。また、その釜。2.跡取り、跡継ぎ。また、後添(のちぞ)いの妻、後妻(ごさい)。 用例:伎・四天王楓江戸粧−二番目「跡釜(アトガマ)に引摺り込む相談に」 3.後任。後任者。 例:「後釜に据わる」
後腐れ(あとくされ) ものごとが綺麗に片付かないで、ごたごたや悪影響が残ること。事後の関わり合い。 例:「後腐れないように別れた」 ★「あとぐされ」とも<国語大辞典(小)>
後先になる(あとさきになる) 1.後になったり、先になったりする。 例:「二人が後先になって歩いて行く」 2.前後の順序が逆になる。論点に食い違いが生じる。 用例:人情・春色恵の花−二「はかりし事も前後(アトサキ)に、なりゆく浮世の定めなさ」 例:「話が後先になってしまった」
後先見ず(あとさきみず)[=無し] 前後を顧(かえり)みない無分別なこと。また、その人。 類:●出たとこ勝負●前後の見境がない●跡見ず将棋(しょうぎ)
後先を踏まえる(あとさきをふまえる)[=踏む] 周囲の事情や状況を良く考える。予(あらかじ)め十分に見込みを付けておく。
後にする(あとにする) そこから離れる。旅立つ。
後にも先にも(あとにもさきにも) それ一回きりのことであることを強調して言う。今までも、またこれからも。 例:「彼が両親の話をしたのは、後にも先にもそれきりだった」
後の雁が先になる(あとのかりがさきになる・がんが〜) 後から来た者が前の者を越して先になる。後輩が先輩を追い越したり、若い者が先に死んだりする場合に使う。
後の祭り(あとのまつり)
後は野となれ山となれ(あとはのとなれやまとなれ) 当面のことさえ凌(しの)いでしまえば、その先のことや、その結果がどうなろうとも知ったことではない。 類:●旅の恥は掻き捨て●After us the deluge!<「英⇔日」対照・名言ことわざ辞典> 反:■立つ鳥後を濁さず 出典:「冥途の飛脚」
後腹を病む(あとばらをやむ) 比喩的に用い、事が一段落ついた後で、なお好ましくないことが引き続いて迷惑する。苦労する。 用例:浮・好色一代女−五「智恵の有(ある)男を頼み、跡腹やまずに仕切銀のうち弐貫目出して」 用例の出典:好色一代女(こうしょくいちだいおんな) 浮世草子。6巻6冊。井原西鶴。貞享3年(1686)刊。公卿の娘として宮仕えした主人公が不義をして主家を追われた後、淫蕩な本能にかられるまま、あるいは生活苦のために、女に与えられた様々な境遇や職業を転々として年を重ね、次第に転落してゆく生涯を描く。
後へ引かない(あとへひかない) 自分の意見や主張に固執して、譲歩しない。 例:「言い出したら後へ引かない」
後へ引けない(あとへひけない) 戻(もど)れない。 例:「今更後へは引けない」
後へも先へも行かぬ(あとへもさきへもゆかぬ) 進退窮(きわ)まる。 類:●二進(にっち)も三進(さっち)もいかない
迎合を打つ(あどをうつ) 人の話に調子を合わせて受け答えする。 用例:大鏡−六「ただ殿のめづらしう興ありげにおぼしてあどをよくうたせ給ふに」 用例の出典:大鏡(おおかがみ) 平安時代の歴史物語。3巻本、6巻本、8巻本がある。著者未詳。鳥羽天皇の時代の成立か。大宅世継、夏山茂樹という二老人の昔語りに、若侍が批判を加えるという形式で、文徳天皇から後一条天皇まで、14代176年間の歴史を藤原道長の栄華を中心に紀伝体で描く。「世継物語」とも。
後を黒む(あとをくろむ) 戦いの際、背後の方を守る。後方から援護する。
後を詰める(あとをつめる) 1.後のことの約束を固める。2.遊里で、客が遊女を、翌朝まで買い切る。3.決着を付ける。結末を付ける。終わらせる。
跡を取る(あとをとる) 跡を継ぐこと、家や会社などの相続をすること。 類:●跡目を継ぐ
後を引く(あとをひく) 決まりが付かずいつまでも続く。また、いつまでも続けてする。 用例:浮・男色大鑑−七「跡引て明暮恋にせめられ」 ★主に飲食や好みなどについていう<国語大辞典(小)>
跡を譲る(あとをゆずる) 誰かに跡を継がせる。 類:●跡を立てる 反:■後を取る