−あつ(atu)−
・熱い戦争(あついせんそう) 英語hot warの訳語。直接武力による戦争。外交や経済などの手段による対立を「冷たい戦争(cold war)」というのに対していう。
・悪貨は良貨を駆逐する(あっかはりょうかをくちくする)
・厚かましい(あつかましい) 恥知らずで遠慮がない。厚顔である。類:●図々しい 用例:評判・吉原讚嘲記時之大鞁「うすなさけまたるいさまをきみにみはあつかましとぞきみはいわなん」 用例の出典:吉原讚嘲記時之大鞁(よしわらさんちょうきときのたいこ) 遊女評判記。寛文7年(1667)。・・・調査中。
・圧巻(あっかん)
・熱くなる(あつくなる) 1.むきになって怒る。 類:●かっとなる 用例:滑・膝栗毛−三「北八水たまりの中へころげて、大きにあつくなり」 2.あるのことに熱中してしまう。異性に逆上(のぼ)せ上がる。 類:●あつあつとなる 用例:伎・お染久松色読販 −序幕「深川芸者のお糸といふにあつく成り」
・呆気ない(あっけない) ものごとが思ったよりも貧弱、非力または簡単で、物足りない。また、想像に反して容易で張り合いがない。 用例:雑俳・柳多留−三「あっけない壱歩か蛍飛びしまひ」 例:「呆気ない幕切れ」 ★物足りないの意の「飽く気(け)なし」の転。「呆気」は当て字<大辞林(三)>
・呆気に取られる(あっけにとられる) 思い掛けない状況になって、驚き、ぼんやりする様子。
・あっけらかん・あけらかん 1.意外さに、口を開けてぼんやりしている様子。ぽかんとした様子。また、その人。 類:●あけらけん●あけらほん 用例:滑・六阿弥陀詣−嗣編「三助どのも、釣する側にあけらくゎんと」 2.何もなかったように平気でいる様子。けろっとしている様子。 例:「失敗してもあっけらかんとしている」 3.伸び伸びとして開けっ広げな様子。4.何もなく空間が広く空いている様子。がらんとしている様子。 ★「あけらかん」の転<大辞林(三)> ★語源は、「口を開けた様子」の意の「あんけ(開けの転)」からかという。 蛇足:江戸後期の狂歌師に、朱楽菅江(あけらかんこう)という人がいた。本名は山崎景貫(かげつら)。元文5年(1740)〜寛政12年(1800)。 用例の出典:滑稽六阿弥陀詣(こっけいろくあみだもうで) 滑稽本。十返舎一九。・・・調査中。
・悪口を切る(あっこうをきる) 人を悪し様に言う。悪口を吐く。
・暑さ寒さも彼岸まで(あつささむさもひがんまで) 残暑の暑さも秋の彼岸頃まで、余寒の寒さも春の彼岸までという意味。共に、その後は気候も穏やかになり、凌(しの)ぎ易くなるということ。 ★「暑い寒いも彼岸まで」「暑さ寒さも彼岸ぎり」とも。
・暑さ忘れて蔭忘る(あつさわすれてかげわする) 暑さが去ると同時に涼しかった物陰のありがたさを忘れてしまう。転じて、恩を忘れることが早い。 類:●喉元過ぎれば熱さを忘る●雨晴れて笠を忘る
・在って無かしもの(あってなかしもの) あっても、ないに等しいもの。名ばかりのもの。 類:●無用の長物●あるなしもの ★「無かし」は「無かりし」の変化した「無かっし」の促音の無表記<国語大辞典(小)>
・在ってもあられぬ(あってもあられぬ) そこに居ても居るような気持ちになれないという意味で、じっとしてはいられない気持ちを表わす場合に用いる。 類:●いたたまれない●居ても立ってもいられない●あるにもあられず
・有っても苦労無くても苦労(あってもくろうなくてもくろう) 物もお金も子供も、有れば有ったでそれなりの苦労があるし、また、無ければ無いで苦労をするものである。あれば心配の種であるし、無ければ悲しみの種であるということ。 類:●子は有っても苦労無くても苦労
・あっという間(あっというま) あっと声を出すほどの短い間。一瞬の間。 例:「あっと言う間の出来事」
・あっと言わせる(あっといわせる) 吃驚(びっくり)させる。思わずあっと声を出すほど感心させる。 類:●耳目を驚かせる 例:「世の中をあっと言わせる」
・天晴れ(あっぱれ)・遖 1.驚くほど立派である。感嘆、悲哀や決意など強い感動を表わす。 類:●嗚呼(ああ) 用例:平家−五「あっぱれ、この世の中は只今乱れ、君も臣もほろびうせんずるものを」 2.感心して褒め称える気持ちを表わす言葉。体言の上に付いて、連体詞のように用いることもある。 類:●見事(みごと)●素晴らしい●出来(でか)した 用例:謡曲・八島「あっぱれ大将やと見えし」 ★「あわれ(哀)」の変化で中世に発生した語形。「天晴」は当て字<国語大辞典(小)> ★「遖」は国字<広辞苑第四版(岩)> 用例の出典:八島(やしま) 謡曲。二番目物。各流。作者不明。「平家物語」による。八島の浦で塩屋に一夜の宿を乞(こ)うた旅僧の夢の中に義経の亡霊が現れる。屋島の合戦での弓流しの経緯(いきさつ)を語り、修羅道で苦しむ様子を示すというもの。勝ち修羅の一つ。幸若や地唄などにも取り入れられた。
・熱火を子に払う(あつびをこにはらう)[=掛ける] 炎に襲われたとき、最愛の我が子の方へ火を払ってでも熱さから逃れようとする。普通ならどんなことがあっても守るべき者に、自分の災いを肩代わりさせること。また、危急の場合には極端な利己心が現われるものだということの喩え。 類:●跳ね火を子に払う 出典:「十善戒経」
・羹に懲りて膾を吹く(あつものにこりてなますをふく)
・誂え向き(あつらえむき) 1.特別に注文したとおりにできていること。また、出来合いではない誂えた上等なもの。 類:●お誂え向き 2.希望していた通りのこと。また、そのような物。 類:●理想的●注文通り●打って付け 用例:滑・七偏人−三「此方の誂(アツラ)へ向なのだ」
・圧力を掛ける(あつりょくをかける) 権力、財力、武力、集団などの力、その他の強制力によって従わせるようにする。威力をもって押し付ける。威圧する。