−えく(eku)−
・い(えぐい)・刳い・い 1.灰汁(あく)が強く、喉(のど)をいらいらと刺激する味がある。また、そのような感じがある。 類:●えごい●いがらっぽい 例:「この筍(たけのこ)は少しえぐい」 ★「和名類聚抄−一七」に説明されている。 2.気が強い。 類:●えごい 用例:洒・列仙伝「おなごだてら此中間へ入り根っからよめりせず立てあるくゑぐひしろもの」。 3.冷酷である。思い遣りがない。 用例:伎・傾城倭荘子−四幕「いっそおれが、ゑぐうせいらくせにゃならぬわい」 4.露骨で嫌らしい。どぎつい。 類:●えげつない 参考:和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)・倭名類聚鈔 漢和辞書。源順(げんじゅん)編。平安中期、承平年間(930年代)の成立。10巻本と20巻本とがある。醍醐天皇皇女勤子内親王の令旨によって撰進。天地・人倫など部門別に漢語を掲出、出典・音注・証義を示し、和名を万葉仮名で記した。『和名抄』とも。 用例の出典@:列仙伝(れっせんでん) 洒落本。・・・調査中。 用例の出典A:傾城倭荘子(けいせいやまとぞうし) 歌舞伎。並木五瓶。天明4年(1784)正月、大阪中座初演。北畠家の家臣近藤助国と小巻とは深い恋仲だったが、お家騒動に巻き込まれ、若殿夫婦の身代わりとなって首を討たれた。二人の首から、それぞれ雌蝶・雄蝶が飛び立って縺(もつ)れ合いつつ花園の上を飛んでゆく。浄瑠璃「けいせい倭荘子/蝶の道行」天保13年(1842)の元となった。