−えん2(en2)−
・縁台将棋(えんだいしょうぎ) 縁台でする将棋。転じて、下手な将棋。
・淵中の魚を察見するは不詳なり(えんちゅうのうおをさっけんするはふしょうなり) 政治を行なう場合、大元だけで十分で、隅々の細かいところまで煩(うるさ)くするのは良くないということ。また、秘密を知ることは、却って身のためにならないこともある。 出典:「列子−説符」「周諺有言、察見淵魚者不詳、智料隠匿者有殃」
・淵底に玉を拾う(えんていにたまをひろう) ものごとを究極まで窮(きわ)める。
・円転滑脱(えんてんかつだつ) ものごとが滞(とどこお)りなく進むこと。人との応対などが角立たず巧みなこと。
・炎天の梅花(えんてんのばいか) 真夏の梅の花のように、実際には有り得ないものということで、珍しいものの喩え。また、心の中で作り出す悟りという意味で使う。俗を超越した禅家(ぜんけ)の悟りの境地。 出典:中国、宋代の陳与義(簡斎)の詩句「炎天梅蘂」
・縁と浮世は末を待て(えんとうきよはすえをまて) 良縁や好機は自然に来るのを待つべきで、焦っても駄目である。
・豌豆は日陰でも弾ける(えんどうはひかげでもはじける) 日陰の豌豆でも、時が来れば、成長して実が弾けるものである。 1.人も年頃になれば、自然に男女の情に目覚めるものであるということの喩え。 類:●薊の花も一盛り●毬栗も中から破れる●鬼も十八番茶も出花●蕎麦の花も一盛り●日陰の豆も時が来れば爆ぜる 2.ものごとが成就(じょうじゅ)するには時間が必要で、時節が到れば目的は達せられるものである。
・縁なき衆生は度し難し(えんなきしゅじょうはどしがたし) 全ての者に慈悲を垂れるという仏でも、仏縁のない者は救い難いという意味から、転じて、忠告を聞こうともしない者は救いようがない。 ★「釈迦の言葉」とするが、おそらく間違い。源典については調査中。
・縁に連るれば唐の物を食う(えんにつるればとうのものをくう)[=縁によって〜] 縁があれば思いも寄らない異国の食べ物をも口にすることができるということから、 何かの因縁で事の次第によっては疎遠なものとも関係ができる。
・縁の下の小豆の木(えんのしたのあずきのき) 日の当たらない縁の下ではひょろひょろとしか伸びず実らないというところから、世に出られない人、うだつがあがらない人のこと。
・縁の下の鍬使い(えんのしたのくわづかい) 窮屈で十分動きが取れないこと。充分に能力を発揮できないことの喩え。
・縁の下の筍(えんのしたのたけのこ) 立身出世できない人の喩え。 類:●縁の下の赤小豆
・縁の下の力持ち(えんのしたのちからもち)
・縁の下の舞(えんのしたのまい) 1.昔、陰暦二月二二日に天王寺で聖徳太子聖霊会に行なわれた舞楽。 ★舞台の脇で行なわれたことから。 2.人が見ていない所で虚しく苦労すること。 類:●縁の下の掃除番●空き家で声嗄らす●空き家で棒振る
・縁の目には霧が降る(えんのめにはきりがふる) 1.縁あって結ばれる者の目には、互いに霧が掛かったように、相手の欠点が見えないばかりか、却(かえ)って美しく見えるということ。 類:●痘痕も靨●恋は盲目 2.縁の繋(つな)がる者は、どうしても身贔屓(みびいき)になるものである。 類:●我が仏尊し●相撲も立つ方●弓も引き方
・縁は異なもの味なもの(えんはいなものあじなもの) 男女の縁はどこでどう結び付くか分からない。縁は不思議で面白い。
・焉馬の誤まり(えんばのあやまり) 「焉」と「馬」は字の形が似ていて書き誤り易いところから、文字の誤り。 類:●烏焉馬(うえんば)●魯魚烏焉の誤まり
・猿臂を伸ばす(えんぴをのばす) 「猿臂」は猿の肘(ひじ)のように長い肘という意味で、腕を長く伸ばすこと。
・閻浮の塵(えんぶのちり) 俗世の塵。煩悩。また、儚いこと。人の身のこと。 類:●浮世の塵 例:「明日は閻浮の塵ともならばなれ」 出典:世話尽(せわづくし) 俳諧語彙集。明暦2年(1656)。編者不詳(僧皆虚か?)。俳諧に関する諸注意、資料、いろは順のことわざが集められている。
・煙幕を張る(えんまくをはる) 1.煙幕を大気中に撒き散らすこと。こちらの居所や行動を隠す。2.真意や行動を隠すような言動をする。
・閻魔帳(えんまちょう) 1.閻魔大王が死者の生前の行ないを書き止めておく帳面。2.教師が、生徒の成績や行状などを書き止めておく帳面。
・延命息災(えんめいそくさい) 災いを抑(おさ)え、命を延ばすこと。 類:●息災延命 用例:宇津保−春日詣「女は、おしなべては延命息災を旨として」
・鳶目兎耳(えんもくとじ) 鳶のようによく見える目と、兎のようによく聞こえる耳。 類:●飛耳張目
・縁もゆかりもない(えんもゆかりもない) 類義である「縁」と「ゆかり」を重ねて強調した表現。繋がりも関係も一切ない。
・遠慮会釈もない(えんりょえしゃくもない) 他人に対して、控え目にすることも、手加減することもない。
・遠慮無ければ近憂あり(えんりょなければきんゆうあり) 遠い将来を見通して考えることもせずに、唯目先のことばかりに気を取られていると、必ず急な心配事が起こるものだ。 出典:「論語−衛霊公」
・遠慮は無沙汰(えんりょはぶさた)[=不沙汰] 訪ねていっては迷惑を掛けはしないかと遠慮するが、遠慮を重ねてしまうと、なんの挨拶(あいさつ)もしないのと同じで却(かえ)って失礼になるものである。
・縁を切る(えんをきる) 親子、夫婦などの関係を絶って、他人同士となる。あるものごととの関係をなくす。 類:●縁を断つ●手を切る 反:■縁を組む■縁を結ぶ