−えせ(ese)−
・似非(えせ) 1.見掛けはそれらしく見えるが、実はそうではないものごと。 類:●贋(にせ) 2.取るに足りないものごと。劣ること。 用例:枕−三〇七「右衛門の尉なりける者の、えせなる男親を持たりて」 3.悪質であること。一筋縄ではいかないこと。 ★古語「えしもの(荒賊)」(荒々しい賊徒の意)からか<日本国語大辞典(小)> ★上代の連語「えせず」(とても〜できないの意)からか。「似非」は当て字。 ★平安時代には実体の浅薄・劣悪なのを侮りそしる気持を表す語。室町時代以後、悪質・邪悪の意を表すのにも使われた<広辞苑第4版(岩)> 参考:似て非なり
・似非侍の刀弄り(えせざむらいのかたないじり) 武士としての自覚の足りない臆病な者に限って、なにかというと刀を抜いて人を脅すものである。臆病者や卑怯者ほど虚勢を張って人を脅すものだという喩え。
・似非者の空笑い(えせもののそらわらい) 可笑(おか)しくもないのに高笑いするのは、追従(ついしょう)笑いであり、人の機嫌を取ろうとしている人間だから気を付けなさいということ。また、そのような追従笑いをする者を嘲(あざけ)っても言う。 ★ここでの「似非者」は、いかがわしい者、軽薄な者の意。