−はい(hai)−
・灰後る(はいおくる)[=返(かえ)る] 紫色が色褪(あ)せる。 用例:源氏−末摘花「むらさきの紙の、年へにければ、はひをくれ」 ★紫色を染めるのに椿の灰を入れたところから、色が褪せてくるのを灰の力が不足したとして、後るといったもの<国語大辞典(小)>
・ハイカラ(はいから) 1.丈の高い襟(えり)。ハイカラー。2.明治時代、洋行帰りの人や西洋文学を好む官吏などがよく襟の高い服を着用していたところから、ものごとが、目新しく洒落ていること。西洋風なこと。また、そうした欧米風や都会風を気取ったり、追求したりすること。また、その人。 反:■蛮カラ 例:「ハイカラさん」 3.日本髪に対して、西洋風に結(ゆ)った頭髪のこと。束髪などの類(たぐい)。
・拝顔の栄(はいがんのえい) お顔を拝する栄誉という意味で、人に会うことを遜(へりくだ)って言う言葉。 類:●拝眉の栄
・肺肝を出だす(はいかんをいだす) 真心(まごころ)を示す。本当の気持ちを打ち明ける。 類:●肺肝を披く 出典:韓愈「柳子厚墓誌銘」
・肺肝を摧く(はいかんをくだく)・砕く 心力のある限りを尽くして考える。非常に苦心する。 類:●肺肝を苦しむ●肺胆を砕く●心を砕く 出典:「杜甫−垂老別」
・肺肝を披く(はいかんをひらく)[=明かす] 本心をさらけ出す。心の奥底を打ち明ける。心の中を明かす。 類:●肺肝を出だす●肺肝を抜く
・敗軍の将は兵を語らず(はいぐんのしょうはへいをかたらず)[=談ぜず] 戦に敗れた将軍は兵法について語る資格がない。失敗した者はその事について意見を述べる資格がない。失敗した者は、潔(いさぎよ)く非を認め、弁解がましいことを言うべきでないということ。 類:●敗軍の将は兵を談ぜず●敗軍の将は敢えて勇を語らず●敗軍の将は再び謀(はか)らず 出典:「史記−淮陰侯伝」
・杯水車薪(はいすいしゃしん) 僅(わず)か杯(さかずき)一杯の水で、車一台分もあろうという薪が燃えるのを消そうとする。余りにも微力で効果がないことの喩え。また、もどかし過ぎることの喩え。 類:●二階から目薬●焼け石に水 出典:「孟子−告子・上」「今之為仁者、猶以一杯水、救一車薪之火也」
・背水の陣(はいすいのじん)
・吐いた唾は飲めぬ(はいたつばはのめぬ) 一度口に出した言葉は、取り消すことができないということ。 類:●駟も舌に及ばず●口から出れば世間●覆水盆に返らず
・杯中の蛇影(はいちゅうのだえい・じゃえい) 何でもないことでも、疑えば神経を悩ます元になるということ。 類:●疑心暗鬼 故事:「風俗通義−怪神」 漢の杜宣(とせん)が酒を飲んでいたとき、杯中に映った弓の影を蛇と見誤り、蛇を飲んだと思って病気になった。 出典:風俗通義(ふうぞくつうぎ) 後漢。応劭(おうしょう)撰。10巻(付録1巻)。世俗の典礼で言語・風俗などについて、その誤まりを正し、義理に適(かな)うようにとの趣旨から上梓(じょうし)されたもの。「風俗通」と略称している。
・掃いて捨てるほど(はいてすてるほど) 箒(ほうき)で掃き集めて捨てるぐらい多い。物が非常に多くあって有り触れていること。 例:「代わりの業者など掃いて捨てるほどある」
・灰になす(はいになす)[=する] 1.燃やして灰にする。焼き払う。それまで築き上げてきたものをなくする。2.死者を火葬して、骨にする。 類:●荼毘に付す
・灰になる(はいになる)[=となる] 1.燃え果てて灰と化す。焼けてすっかりなくなる。築き上げたものが無価値なものになる。 類:●灰燼(かいじん)に帰す 2.死んで火葬に付されて骨となる。
・杯盤狼藉(はいばんろうぜき) 1.酒宴が酣(たけなわ)となり、酒席が乱れている様子。 類:●乱痴気騒ぎ 出典:「史記−滑稽伝・淳于伝」「杯盤狼藉、日暮酒闌、合尊促坐、男女同席、履セキ[寫-ウ]交錯、堂上燭滅」 2.酒宴の後、杯や皿鉢などが席上に散乱している様子。
・肺腑を衝く(はいふをつく)・突く 心の奥底まで突き通すという意味で、相手の心に深い感動・感銘やショックを与えること。 類:●肺腑を貫く
・灰撒くような嘘(はいまくようなうそ) 大風に灰を撒き散らすような出任せの嘘。根拠がない、その場を取り繕(つくろ)うための嘘。
・灰を飲み胃を洗う(はいをのみいをあらう) 白い灰を飲んで胃の中の汚(けが)れを洗い清める。心底から心を改めて、善人になることの喩え。 類:●腸を刮り胃を洗う 出典:「南史−荀伯玉伝」「若許某自新、必呑刀刮腸、飲灰洗胃。帝善其答即釈之」<もし、それがし自ら新たならんを許さるれば、必ず刀を呑み込んで腸をえぐり、灰を飲んで胃を洗わん。帝、その答えを善しとし、之を釈(ゆる)す>
・杯を銜む(ばいをふくむ) 沈黙を守り、息を凝(こ)らす。 用例:「太閤記−四」「轡(くつわ)のならざるやうに杯を銜ませ」 出典:「礼記−天官冢宰」「遂鼓行、徒銜枚而進」 ★「枚(ばい)」は、昔、夜討ちや待ち伏せのときに声を立てないように口に銜(くわ)えさせた道具。箸(はし)のような形で、横に銜え、両端に紐を付けて首の後ろで結ぶ。馬にも用いた。 用例の出典:太閤記(たいこうき) 実録。一代記。小瀬甫庵著。寛永2年(1625)成立、同3年刊。22巻。豊臣秀吉の一代記で、類書の多い「太閤記」の代表作。儒教的道義観をもって秀吉の行実を論述。代表的な類書には「川角太閤記」「絵本太閤記」「真書太閤記」などがある。