−はな(か)(hana2)−
・鼻が明く(はながあく) 相手との差が開くという意味で、人に出し抜かれることの喩え。また、当てにしていたことが外れてしまうということの喩え。
・鼻が胡坐を掻く(はながあぐらをかく) 鼻が低くて横に広がっていること。
・鼻が利く(はながきく) 1.嗅覚が敏感である。臭いを良く嗅ぎ分ける。2.自分の利益になりそうなことを目敏(ざと)く見付け出す。
・鼻が高い(はながたかい) 得意になっていること。誇らしい。自慢らしい。 例:「親として鼻が高い」
・鼻が凹む(はながへこむ) 得意になっていた者が遣り込められる。恥を掻かされる。 類:●恥を掻く●恥を見る●恥じを取る
・端から和尚はない(はなからおしょうはない) 仏門に入ったばかりの修行僧が、間を省いて一気に学徳を備えた高僧になることはできない。ものごとは順序や段階を踏まなければならないことの喩え。初めは、誰でも未熟であるということ。また、一足(いっそく)跳びの出世などを望むものではないということ。 類:●沙弥から長老にはなれぬ●仏になるも沙弥を経る●河童も一度は川流れ
・鼻薬を嗅がせる(はなぐすりをかがせる)[=飼(か)う・利かせる] 賄賂(わいろ)を贈る。贈賄(ぞうわい)する。 ★ここでの「鼻薬」は、少額の賄賂のこと。
・鼻毛が長い(はなげがながい) 1.鼻毛が伸びている。2.女の色香に迷い、溺(おぼ)れている。
・鼻が曲がる(はながまがる) 悪臭があまりに酷(ひど)いことの喩え。 例:「鼻が曲がりそうな靴下の臭い」
・鼻毛を数える(はなげをかぞえる) 1.女が、自分に惚れている男の心を見透かして、翻弄(ほんろう)する。 類:●鼻毛を読む 2.愚かな行動をそのまま黙って見過ごす。 3.相手の心の中を見抜いて、機嫌を取る。 用例:柳多留−二十四「お鼻毛かぞへてゐるが勤めなり」
・鼻毛を抜く(はなげをぬく) 出し抜く。騙す。 類:●鼻を明かす
・鼻毛を伸ばす(はなげをのばす)[=長くする] 女に現(うつつ)を抜かし、だらしなくなる。女に甘く、でれでれする。 用例:社会百面相 「密夫(まおとこ)する女房に鼻毛を伸ばす」 用例の出典:社会百面相(しゃかいひゃくめんそう) 社会小説。内田魯庵。2巻。明治35年(1902)。連作で、他に「くれの廿八日」「思い出す人々」などがある。
・鼻毛を読む(はなげをよむ)[=見抜く] 1.女が、自分に溺れている男の心を見透かして、好いように弄(もてあそ)ぶ。 類:●鼻毛を数える 用例:婦系図「恐入つたと、鼻毛を読まして讃(ほ)めて遣(や)るんだ」 2.愚弄する。嬲(なぶ)る。 用例の出典:婦系図(おんなけいず) 小説。泉鏡花。明治40年(1907)。半自伝的作品。後年お蔦と主税(ちから)の悲恋として脚色され、新派悲劇の代表的狂言となった。