−はら(か)(hara2)−
・腹が癒える(はらがいえる) 怒りや恨みなどが晴れる。怒りが治(おさ)まる。憤りが鎮(しず)まる。
・腹が痛む(はらがいたむ) 自分の腹を切れば、痛みを感じることが痛切であるところから転じて、費用や代金を自分で支出すること。 類:●自腹を切る●身銭を切る●腹を痛める●腹を切る
・腹が居る(はらがいる) 怒りが治(おさ)まる。鬱憤が晴れる。 用例:平家−九「梶原この詞に腹がゐて、<略>どっとわらいてのきにけり」 ★「腹が立つ」に対していう語<国語大辞典(小)>
・腹が大きい(はらがおおきい) 1.度量が大きい。包容力があること。心が広くて大きいこと。 反:■腹が小さい 2.女性が、妊娠中である。
・腹が来た(はらがきた) 腹が減ってきた。 用例:洒・通言総籬「少し腹が来たわえ」 ★「北」と掛けて「腹が北野天神」「腹が北山」などの地口(じぐち)に用いることが多い<大辞林(三)> 用例の出典:通言総籬(つうげんそうがまき) 洒落本。山東京伝作・画。天明7年(1787)刊。好評だった黄表紙「江戸生艶気樺焼」の人物たちを再登場させて、前半では遊里を巡る最新の話題や流行を語らせ、後半は、吉原の遊女を初め実在の人物をモデルとしてその風俗・言語を精細に描いた。洒落本の代表作。「総籬」。
・腹が北山(はらがきたやま)[=は北山時雨(きたやましぐれ)] 「北」を「来た」に掛けて、腹が空いてきたことをいう洒落(しゃれ)。
・腹が決まる(はらがきまる) 心や考えが決まるという意味で、決心すること。覚悟が決まること。
・腹かく(はらかく) 後悔する。悔しがる。 用例:浄・源義経将棊経−一「其痩馬共引上よ、蹴殺されてはらかくな」 用例の出典:源義経将棊経(みなもとのよしつねしょうききょう) 浄瑠璃。近松門左衛門。宝永3年(1706)?正徳元年(1711)? 判官物。戦場の駆け引き戦術を、女中を将棋の駒に見たてて動かし、面白く描く<近松門左衛門でござーい!>
・腹が下る(はらがくだる) 下痢(げり)をする。
・腹が黒い(はらがくろい) 心が汚れているという意味で、心が拗(ねじ)けていて意地が悪いこと。根性が悪い。心の中に悪巧みを持っている。意地が汚い。 類:●腹黒い
・腹が空く(はらがすく) 空腹になる。 類:●腹が減る
・腹が据わる(はらがすわる) 1.ものごとに動じない。落ち着く。度胸が据わる。2.心が決まっていて揺るがない。また、覚悟する。 類:●腹が決まる
・腹が立つ(はらがたつ) 怒りを抑えられない。怒る。立腹する。 類:●腹立つ●癪に障る
・腹が立つなら親を思い出せ(はらがたつならおやをおもいだせ)[=親を思い出すが薬] 腹が立ってならないとき、軽挙(けいきょ)に及ぶ前に、そこで暫(しばら)く親のことを思い出して気を鎮(しず)めなさいということ。短気を起こして暴力沙汰(ざた)になり、万一罪人にでもなったら、親がどんなに悲しむかを考えよということ。
・腹ができる(はらができる) 1.食事をして腹が一杯になること。2.転じて、覚悟や決心ができる、しっかりと考えが纏まること。 例:「中々腹ができた奴だ」
・腹が無い(はらがない) 1.度胸がない。胆力が据わっていない。2.度量がない。
・腹が煮える(はらがにえる) 腹の中が煮え返るようである。非常に激しく怒って興奮すること。
・腹が張る(はらがはる) 1.飽きるほど飲食して満腹する。2.太って腹が突き出る。
・腹が脹れる(はらがふくれる) 1.腹の部分が肥え太る。腹が太くなる。2.腹一杯になる。満腹する。飽食する。3.孕(はら)む。妊娠する。4.言いたいことを言わないので、不満が溜まる。 用例:大鏡−序「おぼしきことを言はぬは、げにぞ腹ふくるる心ちしける」
・腹が太い(はらがふとい) 1.腹が脹れている。腹一杯である。満腹である。2.度量が広い。胆力が大きい。 類:●太っ腹 3.横着(おうちゃく)である。
・腹が減っては軍が出来ぬ(はらがへってはいくさができぬ)[=は出来ぬ] 空腹では、何事も身を入れてやれない。
・腹が減る(はらがへる) 空腹になる。 類:●腹が空く
・腹から(はらから) 1.元より。元来。生まれながら。 用例:浄・夏祭浪花鑑−四「俺も腹からの町人でなければ」 2.本心から。心底から。 例:「腹から怒る」
・腹黒い(はらぐろい・くろい) 心が拗(ねじ)けていて意地が悪い。心中に悪巧みを持っている。 類:●腹が黒い 用例:苔の衣−二「いでやはらくろき人々の、まろがなきままにたばかり出して」 用例の出典:苔の衣(こけのころも) 鎌倉中期の擬古物語。4巻。作者未詳。建長年間(1249−56)の成立とされる。右大将が、思い叶って結ばれた北の方の死に悲嘆し遁世する前半と、二人の間に生まれた姫君への兵部卿宮の激しい悲恋を主題とする後半から成る、無常感に染め上げられた陰鬱な物語。