−はり(hari)−
・張り合いが抜ける(はりあいがぬける) 張り切っていた気持ちが失われる。がっかりする。やる気をなくす。
・張り合う(はりあう) 1.互いに負けないよう競争し合う。対抗する。 用例:曾我物語−一「まけじ、おとらじと、手をはなちて、はりあひける」 2.好きな異性に対して恋を争う。 用例:俗曲・妹背山縁苧環「お姫様と張りあふとは」 3.引っ叩き合う。撲(なぐ)り合う。〔日葡辞書〕 用例の出典:願絲縁苧環(ねがいのいとえにしのおだまき) 常磐津。宝田寿助。天保4年(1833)。『妹背山婦女庭訓』の四段目を元にしたもの。求女(もとめ…実は藤原淡海)に身分違いの一目ぼれをしたお三輪が、男の裾に苧環の糸を縫いつけて追って行き、行き着いた御殿で非業の最期を遂げる。「妹背山道行」とも。
・張り切る(はりきる) 1.ぴんと張る。一杯に張る。 例:「凧の糸が張る切る」 2.心が引き締まる。緊張する。 類:●張り詰める 3.ものごとに積極的に当たろうという意欲に満ちる。元気が漲(みなぎ)り溢(あふ)れる。 類:●意気込む 用例:伎・霊験曾我籬−六幕「今日行きたいと張り切ってゐらるる」 用例の出典:霊験曾我籬(れいげんそがのかみがき) 歌舞伎。鶴屋南北。文化6年(1809)。市村座。嫁切りもの。・・・調査中。
・馬力を掛ける(ばりきをかける)[=出す] 一段と精を出して仕事に励む。
・張子の虎(はりこのとら)
・張り込みを食う(はりこみをくう) 相手に鋭く追及されて、遣り込められる。 ★「張り込み」は、ここでは言い負かすことを意味する<国語慣用句辞典(集)>
・張り込む(はりこむ) 1.一杯に入れる。水などを入れて一杯にする。2.中に貼って固定する。貼り付ける。 例:「アルバムに写真を貼り込む」 3.力を入れる。精を出して努力する。意気込んでする。 用例:人情穴探意の裡外−三「何ぼう仕事を張込んでも」 4.奮発して買う。大いに散財する。奮発して大金を投ずる。奢(おご)る。 類:●奮発する 用例:雑俳・折句大全「金弐両はり込む」 5.理屈を言って屈伏させる。文句を言って捻(ね)じ込む。遣り込める。 用例:洒・浪花色八卦「客にもはりこむ事きびしく」 6.一定の場所に待機して見張り番をする。見張る。 例:「刑事が張り込んでいる」 用例の出典@:折句大全(おりくたいぜん) ・・・調査中。 用例の出典A:浪花色八卦(なにわいろはっけ) 洒落本。外山翁。宝暦7年(1757)。・・・詳細調査中。
・針刺すばかり(はりさすばかり) ごく僅(わず)かなことの喩え。 類:●針の先で突いたほど
・張り詰める(はりつめる) 1.一面に残す所なく覆(おお)う。一杯に張る。 用例:日葡辞書「コヲリガハリツメテアル」 例:「床にタイルを張り詰める」 ★自動詞的にも用いる<国語大辞典(小)> 2.気持ちを十分に張る。心を引き締(し)める。 類:●緊張する 用例:浄・最明寺殿百人上−道行「梓弓、やたけ心ははりつめて」 例:「道場の張り詰めた空気」 3.十分に緩みなく引き渡す。 用例:日葡辞書「ユミヲハリツメテヲク」
・針の穴から天を覗く(はりのあなからてんをのぞく)[=溝(みぞ)から〜・耳穴(みみず)から〜] 自分の狭い見識を基準にして、広大なことについて勝手な推測を下すことの喩え。 類:●管を以って天を窺う
・針の先で突いた程(はりのさきでついたほど) ごく僅(わず)かなことの喩え。
・針の筵(はりのむしろ) 針を植えた筵のこと。非常に恐ろしくて、まったく安心できない場所の喩え。いつも苦しめられている、辛く悲しい場所や環境。また、そういう境遇。 例:「針の筵に座らされた思い」
・針の山(はりのやま) 1.地獄にあって針を植えてあるという山。2.転じて、苦痛で、そこにいるのに耐えられない場所の喩え。 類:●針の筵
・針ほどのことを棒ほどに言う(はりほどのことをぼうほどにいう) 小さな事を大きく言い触らす。大袈裟に言う。 類:●針小棒大 ★「針を棒に言いなす」とも<国語大辞典(小)>
・針を蔵に積む(はりをくらにつむ) 長年に亘(わた)って、せっせと小金を貯め込むことの喩え。中々一杯にならないところから、少しも貯まらない、いくらあっても足りないなどの意味を含ませる。 用例:浮・日本永代蔵−三「尻も結ばぬ糸のごとく、針を蔵に積む内証」
・針を立つる土地無し(はりをたてるとちなし) 針を立てるほどの、ごく僅(わず)かな場所もない。余地が全然ない。人などが密集していることの喩え。 類:●立錐の余地もない
・針を含む(はりをふくむ) 針を懐(ふところ)の内に持っているという意味で、相手に悪意を持つころ。また、表面は穏やかなようだが、実は相手の心を傷付ける言動が隠されていること。 類:●刺(とげ)を含む
・針を以て地を刺す(はりをもってちをさす) 狭い見識で、高い見識に対して推測を加え、見当違いの判断を下すこと。また、到底達成できそうもないことを計画することの喩え。 類:●貝殻で海を測る●針の穴から天上覗く●鍵の孔(あな)から天を覗く●管を以って天を窺う 出典:「説苑−弁物」