−はる(haru)−
・春一番(はるいちばん) 立春(2月5日頃)後に最初に吹く、気温上昇を伴(ともな)った強い南風。日本海を発達した低気圧が通過すると起き、太平洋側の異常高温や日本海側のフェーン現象などを起こす。 類:●春一(はるいち)●春嵐(はるあらし) 用例:皆吉爽雨(みなよしそうう)「雀らも春一番にのりて迅し」 ★安政6年(1859)、旧暦2月13日、長崎県五島沖に出漁した壱岐の郷ノ浦の漁師53人は、春先の強い突風に遭って遭難、全員水死してしまった。これ以来、春の初めの強い南風を「春一(はるいち)」・「春一番」と呼ぶようになった。郷ノ浦町には「春一番の碑」もある。 ★倉嶋厚氏の気象歳時記によれば、春二番を「花起こし」春三番を「花散らし」と呼ぶという。
・春かたまけて(はるかたまけて) 1.春が近づいて。2.春になるのを待ち受けて。 用例:万葉−八三八「鶯鳴くも波流加多麻気弖(ハルカタマケテ)」
・春さる(はるさる) 「さる」は移動する、近付くなどを意味する。春になる。春がやってくる。
・春立つ(はるたつ) 春になる。 ★江戸時代、元禄(1688〜1704)以前は、夕方日没の頃が日付けの変わり目(一日の終わり)だったらしい。即(すなわ)ち、節分祭と立春節は、同じ日付に行なっていたことになる(現在の暦では前夜と当日)。
・春の限り(はるのかぎり) 春の終わり。 類:●春の果て
・春の心(はるのこころ) 1.春を人に見立てて、その春が持つ心をいう。また、春の季節の人の心。春の頃の、長閑(のどか)な人の心。2.恋する心。春情。 用例:人情・春色梅美婦禰−初「春の心を押ししづめ、種々胸をいためしが」
・春に会う(はるにあう) 春の季節に会うという意味で、巧いチャンスに出会って、大いに繁栄すること。
・春の目覚め(はるのめざめ) 青春期に達して、性の欲望が起こること。
・春の夜の夢(はるのよのゆめ) 1.春の夜に見る夢。2.短いこと、儚(はかな)いことの喩え。
・春を売る(はるをうる)[=鬻(ひさ)ぐ] 女が男に身を任せて報酬を得る。売春行為をする。