−はし(た)(hasi4)−
・端た金(はしたがね) 僅(わず)かの金銭。ある金額に達しない、半端な金銭。 類:●端銀(はぎん)●目腐れ金
・端たない(はしたない) 1.どっちつかずである。中途半端である。しっくりしない。 用例:伊勢−一「ふる里にいとはしたなくてありければ心地まどひにけり」 2.決まりが悪くて居た堪(たま)れない。間が悪くて引っ込みが付かない。 用例:枕草子−127「はしたなきもの、こと人を呼ぶに我ぞとてさし出でたる。物など取らする折はいとど」 3.迷惑である。思い掛けないことで不都合である。 用例:宇津保−蔵開中「大将の君、用なき物ども取り出でてけるかな、はしたなしと思ひ給へり」 4.礼儀に外れていて品がない。上品ではない。下品だ。無作法だ。卑(いや)しい。情けない。みっともない。 例:「そんな端たない言葉を口にするな」 用例:宇津保−俊蔭「さばかり乱れてはしたなかりつるに」 5.素(そ)っ気ない。つれない。無愛想である。 用例:源氏−紅葉賀「うち過ぎなまほしけれど、あまりはしたなくやと思ひ返して」 6.程度が甚(はなは)だしい。激しい。強(したた)かである。 用例:宇治拾遺−一1「雨風はしたなくて、帰るに及ばで」 ★「ない」は接尾語で、意味を強調し、形容詞化する働きを持つ。ここでは、「非常に半端である」が原義。 補注:語尾の「なし」は語源としては否定の意味をもたないが、形容詞「無し」と同形のため、次第に否定的な表現と一般に理解されるようになり、語意が変化した<国語大辞典(小)>
・箸で銜めるよう(はしでくくめるよう) 箸を使って食べさせるという意味で、十分に理解できるように懇切に教えること。 類:●噛(か)んで含める
・馬耳東風(ばじとうふう) 馬の耳に東風が吹いても感じないという意味で、人の意見や批評などに注意を向けず、聞き流すこと。他人の言葉に耳を貸さないこと。 類:●秋風耳を過ぐ●馬の耳に風●馬の耳に念仏●柳に風●犬に論語●兎に祭文●牛に経文●牛の角に蜂 出典:李白の詩「答王十二寒夜独酌有懐」「吟詩作賦北窓裏、萬言不直一杯水。世人聞此皆掉頭、有如東風射馬耳」