−はた(hata)−
・旗色が悪い(はたいろがわるい) 「旗色」は、旗、特に戦場での軍旗が翻(ひるが)る様子のこと。戦況が悪い。戦闘の形勢が悪い。また、広くものごとの成り行きや形勢が悪いことにも言う。 類:●風向きが悪い ★「旗色が怪しくなる」のようにも使う。
・肌が合う(はだがあう) 自分の性質と合う。気が合う。また、気に入る。 類:●気が合う●馬が合う
・裸一貫(はだかいっかん) 自分の身体以外に何もないこと。資本や財力などがまったくなくて、身一つであること。 類:●無一物 例:「裸一貫から財を築く」
・裸で道中はならぬ(はだかでどうちゅうはならぬ) 何も持たないで旅をする訳にはいかない。何事をするにも、それ相応の準備が必要である。
・裸で物を落とす例なし(はだかでものをおとすためしなし) 元々何も持たない者は何も失わない。
・裸百貫(はだかひゃっかん) 身一つの無一物であっても、銭百貫文の価値を持っているということ。多く、男にいう。 類:●裸百匹●裸の花婿百貫 用例:浮・好色五人女−1「男は裸百貫たとへてらしても世はわたる」
・バタ臭い(ばたくさい) 1.バターの臭いがする。また、西洋風な味がする。2.西洋的な傾向がある。また、人が、西洋気触(かぶ)れしている。西洋っぽい嫌味がある。多く、嫌悪する意味合いで使う。 例:「バタ臭い服装」 ★バタは英butter<国語大辞典(小)>
・畑水練(はたけすいれん) 畑の中で水泳の練習をするという意味で、理論や方法は立派だが、実地での練習をしていないので、実際の役には立たないこと。 類:●畳水練●机上の空論●畳の上の陣立て
・畑違い(はたけちがい) 1.自分の専門分野に属さないこと。自分が携(たずさ)わっている領域と異なった領域にあること。 例:「まったく畑違いの会社に転職した」 2.俗に、父が同じで母が違うこと。
・畑に蛤(はたけのはまぐり) 畑で蛤を求めるように、全く見当違いなこと。また、不可能なことを望むことの喩え。 類:●木に縁って魚を求む
・果たして(はたして) 1.思っていた通り。 類:●案の定●矢張(やは)り 用例:大唐西域記巻十二平安中期点「其の国に生れむと願す。果(ハタシテ)宿心を遂げて王子と為ること得つ」 2.終(つい)に。とうとう。 用例:世俗諺文鎌倉期点「与(ともに)戦ふに果(ハタシテ)下る」 3.本当に。まことに。 例:「果たしてできるものならばやってみろ」 4.一体(いったい)。 例:「果たして結末や如何に」 用例の出典:世俗諺文(せぞくげんぶん) 俗諺集(ことわざ事典)。源為憲。寛弘4年(1007)。藤原為光の子誠信のため「口遊」び、藤原道長の子頼通のため纏(まと)められた辞典。源為憲の著書には、他に『三宝絵詞』などがある。
・果たして然らば(はたしてしからば) その言葉の通りであるならば。もしそうであるならば。
・裸足で逃げる(はだしでにげる) その道に優れた人でさえも降参して、履く物も履かず、裸足のまま逃げ出すという意味で、ある分野で非常に優れていることの喩え。その分野で有名な人と比べて、勝(まさ)るとも劣らない。 参考:裸足(はだし) とても敵(かな)わないほど見事。顔負け。 例:「玄人跣(くろうとはだし)」
・裸足になる(はだしになる) 1.履物を履かないで素足になる。2.ものごとを形振(なりふ)り構わず、本気になってやること。
・果たせるかな(はたせるかな) 思った通り。やっぱり。 類:●案の定●果たして ★動詞「果す」に完了の助動詞「り」の連体形のついた「はたせる」に終助詞「かな」がついて一語化したもの<国語大辞典(小)>
・二十後家は立つが三十後家は立たぬ(はたちごけはたつがさんじゅうごけはたたぬ) 結婚して間もなく夫に死別された寡婦は、夫婦生活の喜びを十分には知らないので、操(みさお)を立てて独身を通すことができるが、長く夫婦生活を味わった寡婦は再婚することが多いということ。 類:●十八後家は立つが四十後家は立たぬ
・肌で感じる(はだでかんじる) 直接経験する。 例:「戦争の残酷さを肌で感じる」
・肌に粟を生ずる(はだにあわをかんじる) 恐怖や寒さなどのため、肌に粟粒のような粒々ができる。 類:●鳥肌立つ
・将又(はたまた) それともまた。或いは。 用例:方丈記「貧賤の報のみづから悩ますか、はたまた妄心の至りて狂せるか」
・肌身離さず(はだみはなさず) いつも身から離さないで。 例:「御守りを肌身離さず持っている」
・働かざる者食うべからず(はたらかざるものくうべからず) 1.働こうとしない者は食べることもしはならない。怠け者を戒(いまし)める言葉。2.戦後の日本では、支配階級・悪徳商人・怠け者などを批判し、労働者階級の闘争意欲を鼓舞(こぶ)するために使われた。 出典:新約聖書−「テサロニケ人への第二の手紙」
・働きがある(はたらきがある) ものごとを巧く行なう能力がある。仕事をテキパキと上手に片付ける。才覚があってよく稼(かせ)ぐ。
・働けば回る(はたらけばまわる) 働けば金回りがよくなる。働けば必ずそれなりに収入や報酬があって、経済的に余裕が出てくるものだということ。
・旗を揚げる(はたをあげる)[=立てる・開く] 1.兵を挙げる。戦(いくさ)を起こす。 類:●旗を立てる●旗を開く 反:■旗を巻く■旗を入る 2.新しく事を起こす。 類:●旗揚げする
・肌を合わせる(はだをあわせる) 1.示し合わせて、ものごとに当たる。 類:●ぐるになる●腹を合わせる 2.男女が肉体関係を結ぶ。男女が一緒に寝る。
・肌を入れる(はだをいれる) 肌脱ぎにした着物を、元のように着直す。 例:「肌を入れて桜吹雪を隠す」
・肌を脱ぐ(はだをぬぐ) 1.肌脱ぎになる。2.あるものごとに対して力を尽くす。 類:●一肌脱ぐ
・肌を触れる(はだをふれる) 1.肌と肌とを合わせる。2.男女が肉体関係を結ぶ。 類:●肌を合わせる
・旗を巻く(はたをまく)[=入(い)る] 1.掲(かか)げていた旗を下ろして巻き納める。 類:●旗を絞る 2.戦いに敗れる。降参する。3.戦いを止める。また、一般的に、見込みがないために、中途で手を引く。
・肌を許す(はだをゆるす) 1.警戒心を解く。心を許す。気を許す。信用する。 用例:浄・御所桜堀川夜討「餌(えば)にかうて肌を許さする一つの方便(てだて)」 2.身を任せる。また、女が男に身体を許す。 用例の出典:御所桜堀川夜討(ごしょざくらほりかわようち) 浄瑠璃。時代物。5段。文耕堂・三好松洛合作。元文2年(1737)。竹本座。「平家物語」「義経記」を踏まえ、土佐坊昌俊の堀川御所襲撃と静御前や武蔵坊弁慶の伝説を加味して作られた。「弁慶上使」
「藤弥太物語」。
・肌を汚す(はだをよごす・けがす) 女性が、守っていた純潔を失う。操(みさお)を破る。また、男性が女性を、無理に犯す。 類:●肌身を汚す