−へつ(hetu)−
・へったくれ 取るに足りないこと、つまらないことを、罵(ののし)って言う言葉。「〜もへったくれもない」の形で使われることが多い。 類:●ひょうたくれ 用例:浄・小野道風青柳硯−四「イヤ置け置け。断りもへったくれも入らぬ」 例:「道徳もへったくれもない」 ★「へったくれ」の語源は不明。「妙なことを言う」という意味の「剽軽(ひょうきん)」→「剽(ひょう)げる」からの成立とされる「へうたくれ(ひょうたくれ)」の転訛か?・・・根拠なし。 ★「へちまくれ」の変化。へちまのまくれたような形の意<新明解国語辞典(三)> ★『野乃舎随筆』には「今下ざまの人の悪言に、ヘウタクレといふは、ヘタクレといふ辞の転言なるべし。ヘタクレは、クソタクレといふ辞の転言ならん。もとはクナタブレを訛れるなるべし。クナタフレを、屎タフレと訛(あやま)りて、其対言に屁タクレといひしを、それを又、ヘウタクレと、音便にいへるならん」とある。 ★茨城方言に「へったくれる」が残る。もしかすると、これが関わっているか。「へたった」「へこたれた」と同義…参った、挫(くじ)けた、くたびれたなどの意。 用例の出典:小野道風青柳硯(おののとうふうあおやぎすずり) 浄瑠璃。3巻。近松半二・竹田出雲ら。宝暦4年(1754)。2段目には、小野道風が柳に跳び付く蛙を見て発奮する(帝位に危機が迫っているのを予感する?)場面もある。 出典:野乃舎随筆(ののやずいひつ) 随筆集。大石千引。文政3年(1820)。著者は大鏡や栄花物語などを専門とした人であり、史書の考証を中心とするが、そこに見聞談が入り交じる。娘による文政3年の跋があり、それによれば3巻あったというが、現在刊行されているのは1巻のみ。
・竃より女房(へっついよりにょうぼう) 生計を立てていく力もないのに女房を欲しがること。 類:●かまどより先に女房 ★「へっつい」は、かまどのことで、身代(しんだい)や生計の喩え。
・別嬪(べっぴん)・別品 1.別の品物。特別良いもの。取り分け良くできた人。 類:●別品(べつしな)●器量人 2.非常に美しい女性。 類:●器量好し ★俗に、素顔でも美しい女性を「素嬪(すっぴん)」とも言う。
・鼈人を食わんとして却って人に食わる(べつひとをくわんとしてかえってひとにくわる) スッポンが人を食おうとして逆に取って食われると言うことで、愚かな者が、他人を害しようとして、却って我が身を滅ぼすことのたとえ。 類:●人捕る亀は人に捕らえられる
・へっぽこ 技量が劣っている者や、役に立たない者、頼りにならない者などを罵(ののし)って言う言葉。 類:●へぼ●間抜け●頓馬●へな猪口 用例:滑・浮世床−初「あのへっぽこめヱ」 例:「へっぽこ議員め」