−ひく(hiku)−
・引く息が強い(ひくいきがつよい) 吐く息よりも吸い込む息の方が強いということ。自分の利益になるものは何でも手に入れようとする欲深いことの喩え。
・低き所に水溜まる(ひくきところにみずたまる) 1.水が低地に流れて溜まるように、そうなって当然の条件を備(そな)えたところに、結果は集中するものである。 類:●すべての道はローマに通ず 2.転じて、利益のあるところには人が集まるものだということ。 類:●百川(ひゃくせん)海に朝(ちょう)す 3.悪い者のところには悪い者が集まるものだということ。
・引く手(ひくて) 1.こちらへ来るようにと誘う人。誼(よしみ)を求める人。2.舞の手の名。手を手前へひく手振り。
・引く手数多(ひくてあまた) 誘いを掛ける人が多いこと。求める人が多いこと。 類:●引っ張り凧●娘一人に婿十人
・比丘尼に笄(びくににこうがい) 1.世俗の色恋を絶(た)ったはずの尼が髪飾りを持っていてはおかしい。似つかわしくないものの喩え。 類:●坊主の花簪 2.出家(しゅっけ)して剃髪(ていはつ)した尼(あま)には、笄は不要である。持っていても役に立たないものの喩え。 ★「笄」は、女性用髪飾りの一つで、髷(まげ)などに差すもの。
・引くに引かれず(ひくにひかれず)[=引けない] 退きたいと思っても、今更退く訳にいかない状況にある。 類:●のっぴきならぬ●進退谷(きわ)まる
・日暮れて途遠し(ひくれてみちとおし) 1.日は暮れたのに、前途の道程(みちのり)はまだまだ長いという意味で、年を取ってしまったのに、目的に達するには程遠いことの喩え。 類:●日暮道遠 出典:「史記−伍子胥列伝」「吾日暮途遠、吾故倒行而逆施之」 2.期限が迫っているのに、ものごとがまだまだできあがっていないことの喩え。