−ひん(hin)−
・ピンからキリまで(ぴんからきりまで) 1.ピンはポルトガルpinta(点)キリはcruz(十字架)から、1番目から10番目までという意味で、転じて、始めから終わりまで。2.また、最上のものから最低のものまで。
・牝鶏晨す(ひんけいあしたす)[=時を告ぐる] 女が男に代わって権勢を振るい、災いを招くことの喩え。家や国が滅びる前ぶれであるとする。 類:●雌鶏(めんどり)歌えば家滅ぶ●牝鶏時を告ぐる 出典:「書経−牧誓」 雌鳥が雄鶏に先んじて朝の時を告げる。
・品行方正(ひんこうほうせい) 行ないがきちんとしていて正しいこと。行ないが道徳に適っており、礼儀正しくて節度があること。 例:「品行方正な男」
・貧者の一灯(ひんじゃのいっとう) 貧しい者が苦しい生活の中から苦心して神仏に供える一つの灯明(とうみょう)。金持ちが供える万灯よりも尊く、功徳があるとされ、真心は尊いということの喩え。量や額の多少より誠意が大切だということ。 類:●長者の万燈より貧者の一燈
・顰蹙を買う(ひんしゅくをかう) 周りの人に、眉を顰(ひそ)めさせるような行為をして、嫌われたり、軽蔑されたりする。 例:「クラスメイトの顰蹙を買う」 ★「買う」は、自分がしたことによって、好ましくない結果を身に受けること。自分で招き寄せるの意味。 ★「顰」は、眉をひそめること。「蹙」は、顔をしかめること。→参照:顰に効う
・貧すれば鈍する(ひんすればどんする)[=すりゃ〜] 貧乏すると頭の切れる人でも愚かになる。貧乏すると生活に追われて、どんな人でもさもしい心を持つようになる。 類:●人貧しくて知短し●窮すれば濫(らん)す
・貧賤も移すこと能わず(ひんせんもうつすことあたわず) 意志が固くて立派な人物は、どんなに貧(まず)しい境遇に追い詰められても、その節操を変えることはない。 出典:「孟子−滕文公・下」「富貴不能淫、貧賤不能移、威武不能屈」
・びんた 1.鬢(びん=耳際の髪)のあたり。また、大まかに首や頭を指すこともある。2.1.から派生して、横っ面(よこっつら)を平手で叩くこと。近頃では、多く、頬(ほお)を平手で打つことを指して言う。 例:「往復びんたを食らう」 ★「ぴんた」とも<国語大辞典(小)>
・ピントが外れる(ぴんとがはずれる) 1.写真で、レンズの焦点が合っていないで、鮮明な像を結ばない。2.転じて、肝心な点を捉えていないで、ちぐはぐなものになる。
・ぴんと来る(ぴんとくる) 1.相手の態度や言葉などから、直観的にそれと感じ取る。瞬間的に気付く。 例:「この顔にぴんときたら110番」 2.自分の思考にぴったり合致する。自分の嗜好に訴えるものがある。しっくりする。 例:「最近の歌謡曲はぴんと来ない」
・貧に迫る(ひんにせまる) すっかり貧乏になる。 類:●貧(ひん)骨に迫る
・貧の盗みに恋の花(ひんのぬすみにこいのはな) 貧乏になれば盗みもするし、恋に悩めば歌も詠むようになる。人間は必要に迫られたり、切羽詰まったりしたら、何でもするものだということ。
・貧の花好き(ひんのはなずき) 1.貧乏をしていても花を好むような風流心があること。2.境遇に不似合いなことの喩え。
・貧の病(ひんのやまい) 貧乏の苦しさを病気にたとえた言葉。 類:●金欠病
・貧は世界の福の神(ひんはせかいのふくのかみ) 貧乏は、却(かえ)って人を奮起させ、他日の幸福を齎(もたら)すことからすれば、貧乏は福の神であるとも言えるという諺。
・ぴんぴん 1.勢いよく跳ね上がったり、反り返ったるする様子を表わす言葉。 用例:虎寛本狂言・文山立「何やら墨黒にぴんぴんとはねてかくは」 例:「魚がぴんぴん跳ねている」 2.取り澄まして愛想がない様子を表わす言葉。 類:●つんと●ぴんと 用例:伎・染屮竹春駒−大詰「何を云っても、ピンピンとして、おれが云ふ事は聞いてくれないから」 3.元気で生き生きとしている様子。健康であることを表わす言葉。 例:「80を過ぎたがぴんぴんしている」 4.刺激が強く伝わって響く様子や、相手の思いが強く心に伝わることなどを表わす言葉。 例:「ぴんぴんと頭に響く甲高い声」 用例の出典:文山立(ふみやまだち)・文山賊 狂言。各流。二人の山賊が獲物を逃がしたことから果たし合いとなるが、見物人がいないので、「見物もないのに死ぬのは犬死同様」と書置きをして死ぬこととする。しかし、二人は妻子がこれを見て嘆くことを思って泣き出し、結局仲直りする。
・貧乏神(びんぼうがみ) 1.俗に、人に取り付いて貧乏にさせるとされる神。また、貧乏を持ち込む者の喩え。 2.忌み嫌われる者の喩え。 類:●厄病神 3.相撲番付で、十両筆頭のこと。幕内力士と取り組むことが多く、その割りに収入は少なく、色々と損をするところから。
・貧乏籤(びんぼうくじ) 他と比べて不利益な籤。転じて、最も損な役回り。つまらない巡り合わせ。 例:「貧乏籤を引かされた」
・貧乏の子沢山(びんぼうのこだくさん)・貧乏人の〜 貧しい家庭では、遊蕩(ゆうとう)に耽(ふけ)らず、夫婦仲も良いので、自(おの)ずから子供が多く生まれる。揶揄(やゆ)して、または、自分を謙遜して言う。 類:●律義者の子沢山 ★貧しい農家などでは、働き手としての子供は多い方が生活の足しになるという考え方もあった。
・貧乏の花盛り(びんぼうのはなざかり) 貧乏の絶頂にあるという意味で、この上もない貧乏のこと。
・貧乏は達者の基(びんぼうはたっしゃのもと) 貧乏だと、早寝早起きをして一所懸命に働かなければならず、食事も美食や偏食のない粗食になるので、必然的に健康法に適(かな)った生活になるということ。 類:●貧乏は壮健の母
・貧乏隙なし(びんぼうひまなし)[=暇なし] 1.貧乏人は常に貧乏で、貧乏から抜け出す隙(すき)がない。貧乏人は、これから先もずっと貧乏だということ。 出典:「世話尽」 2.貧乏なため、生活に追われっぱなしで、少しの時間の余裕もない。 類:●稼ぐに追い付く貧乏神●Poor men have no leisure. 用例:浄・近江源氏先陣館「貧乏暇なしでお礼さへ延引」
・ピンを撥ねる(ぴんをはねる)[=行く] 人に渡すはずの金品の一部を先に取る。 類:●上前(うわまえ)を撥ねる●ピンはねをする●撥ねを取る ★ここでの「ピン」は、1割のこと。