−ひた(hita)−
・鐚一文(びたいちもん) 鐚銭の一文。きわめて僅(わず)かな金銭。 類:●鐚一銭 例:「鐚一文(たりとも)負からない」 ★「鐚銭」は、室町中期以後、わが国で私鋳した粗悪な銭貨。また、永楽銭以外の銭の称。京銭(きんせん)。江戸末期〜明治初期には鉄銭をいう<国語大辞典(小)> ★「鐚」の字は「しころ(=兜の付属品)」のこと。「質の悪い銭」という意味は、日本での特別な意味。
・額で見る(ひたいでみる) 顔を上げて見ないで、上目を遣って人を見る様子。
・額に汗する(ひたいにあせする) 汗を流して一所懸命に働く。 例:「額に汗して働く」
・額に筋を立てる(ひたいにすじをたてる) 額に青筋を浮き立たせて激怒する。 類:●額に筋を現す
・額に手を当てる(ひたいにてをあてる) 1.額に手を当てる仕種(しぐさ)をする。喜ぶ様子。2.額に両手を合わせて、神仏を熱心に祈る様子。
・額に箭は立つとも背に箭は立たず(ひたいにやはたつともせにやはたたず) 前進して額に矢傷を受けることはあっても、退却して背中に矢傷を受けるようなことはしない。敵に後ろは見せない。 反:■敵に後ろを見せる
・額の波(ひたいのなみ) 年を取って、額に現れる皺(しわ)。
・尾大掉わず(びだいふるわず) 獣の尾があまり大きいと自由に動かすことができないという意味で、上位の者が弱小で、下位の者が強大であると、思うように制御できないことの喩え。 類:●末重きものは必ず折る●末大必ず折る 出典:「春秋左氏伝−昭公十一年」「末大必折、尾大不掉」
・額を鳩む(ひたいをあつむ) お互いに額を付け合うように近寄って相談する。何人もの人が、集まって相談する。 類:●鳩首(きゅうしゅ)する
・額を集める(ひたいをあつめる) そこにいる者が、お互いにおでこを付け合うように近寄って相談する。真剣な内容で、集まって相談する。 類:●鳩首する
・額を合わせる(ひたいをあわせる) 互いに額が触れるほどに近く寄る。
・額を垂る(ひたいをたる) 額際を剃ること。 類:●額垂る ★「垂る」は「剃(そ)る」の忌み詞<大辞林(三)>
・左団扇(ひだりうちわ) 1.扇を左手でゆっくり使うこと。2.転じて、安楽に暮らすこと。また、得意になっていること。 類:●左扇(ひだりおうぎ) 例:「左団扇で暮らす」 ★利き腕の右手を使う必要もない余裕のある状態をいったもの。
・左が上がる(ひだりがあがる) 大工の鑿(のみ)を持つ手が上がる、つまり腕前が上がるという意味から、「鑿」を「飲み」に掛けて、酒量が増えること。 類:●左が利(き)く 関連:左党
・左褄を取る(ひだりづまをとる) 芸者になる。芸者の勤(つと)めをする。 ★左手で着物の褄を持って歩くことから<大辞林(三)>
・左前(ひだりまえ) 1.着物の右の衽(おくみ)を左の衽の上に重ねて着ること。死者に着せる経帷子(きょうかたびら)はそうする習慣がある。 類:●左衽(さじん) ★不吉なものとされる。 2.ものごとが順調にいかないこと。特に、金回り、商売などが巧く行かなくなること。落ち目になること。 類:●左回り●左向き 用例:浮・本朝二十不孝−四「する程の事ひだり前に成て」 例:「会社が左前になる」
・左右の眼(ひだりみぎのまなこ) 左右の目のように大切なもの。二つのうち、どちらも欠くことができない貴重なもののこと。
・左も右も(ひだりもみぎも) 左も右も両方という意味で、どちらか一方だけでなく、すべてを含んでいること。
・饑いときは不味いものなし(ひだるいときはまずいものなし) お腹が空(す)いていれば、どんなものでも美味しく食べられるものである。 類:●空き腹に不味いものなし●飢えては食を選ばず ★現代語の「ひもじい」は「ひだるし」の女房詞(「ひ文字」)の形容詞化<学研国語大辞典>
・火達磨(ひだるま) 1.全身に火が点(つ)いて燃え上がること。また、その人や物。 ★全身炎に包まれて、張り子の達磨のように赤く見えることから。 2.俗語。野球で、投手が滅多打ちになっている様子。