−ひと(た)(hito4)−
・一溜まりもない(ひとたまりもない) 少しの間も持ち堪(こた)えられない。簡単に打ち崩されてしまう。 例:「台風が直撃したら一溜まりもない」
・一つ穴の狢(ひとつあなのむじな)[=狸(たぬき)・狐(きつね)] 共謀して悪事を企(たくら)む者。また、一見無関係のようで、その実、悪者の仲間である者。 類:●同じ穴の貉
・一つ覚え(ひとつおぼえ) 唯一つのことだけしか頭になくて融通が利かないこと。また、その人。 例:「馬鹿の一つ覚え」
・一つ事は同じ事(ひとつことはおなじこと) 一つの事柄は、それをどのように言い替えても変わりはない。言い方は違っても、その事実の示すところは結局同じだということ。
・人っ子一人(ひとっこひとり) 人が一人だけであること。普通、後るに打ち消しの言葉を伴って、誰も居ないことを強めて言う。 類:●誰一人 例:「人っ子一人歩いていない」
・一つ鍋のものを食う(ひとつなべのものをくう) 同じ鍋で食物を煮たり炊(た)いたりして、それを一緒に食べること。生活を共にして、家族同様に非常に親しい間柄になること。 類:●同じ釜の飯を食う●一つ釜の飯を食う●一つ竈(かまど)の飯を食う
・一つなる(ひとつになる) 少しは酒が飲める。かなり酒が飲める。一杯いける。 用例:虎寛本狂言・包丁聟「聟殿は、一つ成ると見へました」 用例の出典:包丁聟(ほうちょうむこ) 狂言。各流。・・・調査中。
・一粒種(ひとつぶだね) 1.雑種でない、純粋の種子。2.大切にしている一人っ子。 類:●樫の実の一人子
・一粒の麦(ひとつぶのむぎ) 一粒の麦は地上に落ちて死ななければ一粒のままだけれど、死んで埋められればやがてたくさんの実を結ぶだろうというキリストの言葉。一人が犠牲となることによって、多くの人たちが救われるということの喩え。 出典:「新約聖書−ヨハネ福音書12」
・人でなし(ひとでなし) 人としての道に反する行ないをする者。人情や恩義を弁(わきま)えない者。 類:●人非人●人面獣心
・人手に掛かる(ひとでにかかる) 1.他人の手で殺される。傷を負わされる。2.他人の助けを受ける。他人に養育される。
・人となり(ひととなり) 1.生まれつき。生来の質(たち)。人柄。性質。性(さが)。持ち前。 例:「温和な人となり」 2.身体つき。背恰好。また、背丈。 用例:宇治拾遺−一一・一「ひととなり、すこし細高にて」
・人と成る(ひととなる) 1.人間に生まれてくる。また神などが人の姿を借りてこの世に現れる。2.大人になる。成人する。3.意識が回復する。常態の人となる。常態に返る。蘇生する。
・人と屏風は直ぐには立たず(ひととびょうぶはすぐにはたたず) 屏風は折らなければ立たないように、人間も意志を曲げて適当に妥協しないと、世の中に立って行けない。正論だけでは世間を渡って行けない。 類:●商人と屏風は曲がらねば世に立たず●曲がらねば世が渡られぬ
・人と入れ物は有り次第(ひとといれものはありしだい) 人の頭数と道具は、多ければ多いで使いこなせるし、少なければ少ないでどうにでもやり繰りができるということ。
・人捕る亀は人に捕らえられる(ひととるかめはひとにとらえられる) 鼈(すっぽん)は人を食おうなどとするから逆に取って食われるのだということ。愚かな者が、他人を害しようとして、却って我が身を滅ぼすことの喩え。 類:●鼈(べつ)人を食わんとして却(かえ)って人に食わる