−ひと(な1)(hito5-1)−
・人並み勝れる(ひとなみすぐれる) 普通の人よりずっと勝(まさ)っているという意味で、能力・性質・考え方などが、世間一般の程度より数段懸け離れて立派であること。 例:「人並み勝れた腕力」
・人並み外れる(ひとなみはずれる) 一般の人と違っているという意味で、能力や性質や考え方が普通の人と懸け離れていること。 例:「人並み外れた食欲」
・人に高下なし、心に高下あり(ひとにこうげなし、こころにこうげあり) 人間の優劣は財産や身分で決まるものではなく、心の高下によって決まるものであるということ。
・人に遠し(ひとにとおし) 人が住んでいるところから遠く離れていること。人里離れた寂しいところに住んでいること。
・人には添うてみよ、馬には乗ってみよ(ひとにはそうてみよ、うまにはのってみよ) 親しく交わってみなければ、その人の本質は良く分からない。何事も実際に働きかけて試してみなければ本当のことが分からない。 類:●人には逢(お)うてみよ馬には乗りてみよ●百貫の鷹も放さねば知れず
・人の秋(ひとのあき)[=秋風] 「秋」に「飽き」を掛けた言葉。人の交情が疎遠になること。男女関係で、一方が相手に飽きること。
・人の痛いのは三年でも辛抱する(ひとのいたいのはさんねんでもしんぼうする)[=人の病(やまい)は〜] 他人がどんなに困っていても、それが自分に関係しない限り、人はまったく平気でいられるものである。 類:●人の子の死んだより我が子の転けた
・人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し(ひとのいっしょうはおもにをおうてとおきみちをゆくがごとし) 人生の路は遠く長いから、一歩一歩を疎(おろそ)かにせず、努力と忍耐を重ねながら進まなければ歩み通すことはできない。 出典:徳川家康の遺訓の一つ
・人の上(ひとのうえ) 1.人間の身の上。運命。 用例:浄・百合若大臣「人の上のよしあしは人相・相生・生れ性」 2.他人の身の上。人事(ひとごと)。 用例の出典:百合若大臣野守鏡(ゆりわかだいじんのもりのかがみ) 浄瑠璃。近松門左衛門。正徳元年(1711)。蒙古征討の帰途、大将の百合若が家来の兄弟の謀計で孤島に置き去りにされ、復讐する話。幸若舞曲などの百合若物を基に、駕籠かきのやつし、有馬の湯女との情話という歌舞伎的な趣向を取り入れて、当世風に脚色<近松門左衛門でござーい!> 参考:百合若大臣(ゆりわかだいじん) 幸若舞の曲名。室町時代成立。嵯峨の帝の時代、左大臣きんみつの子の百合若大臣は蒙古襲来に大将として出陣し海戦で大勝するが、帰途玄海の孤島に家来の別府兄弟の悪計で置去りにされる。のち、その島に漂着した釣り人の舟で帰国し、九州を支配していた別府兄弟を成敗し、更に上洛して日本国の将軍になる。後世、説経節としても語られ、また、近松門左衛門作の「百合若大臣野守鏡」などの浄瑠璃にも影響を与えた。「大臣」ともいう。
・人の生まるるや柔弱なり、其の死するや堅強なり(ひとのうまるるやにゅうじゃくなり、そのしするやけんきょうなり) 人が生まれたときは柔らかく弱弱しいが、死んだときは固く強張(こわば)っている。堅強は死に属し、柔弱は生に属すということ。また、弱いものが勝(まさ)っているということ。 類:●柔能く剛を制す 出典:「老子−第76章」「人之生也柔弱、其死也堅強〈略〉故堅強者死之徒、柔弱者生之徒」
・人の海(ひとのうみ) 人がたくさん群がり集まっている様子。 類:●人波
・人の噂も七十五日(ひとのうわさもしちじゅうごにち) 世間が色々と噂をするのも一時のことで、暫(しばら)くすれば世間は忘れられてしまう。 類:●善きも悪しきも七十五日●人の上も百日●A wonder [Wonders] lasts but [only] nine days.(驚異も九日しか続かない)<「英⇔日」対照・名言ことわざ辞典> 用例:人情・春色辰巳園「人の噂も七十五日、過ぎたむかしは兎も角も、今じゃあ実の兄弟どうぜん」 参考:『源平盛衰記』の中に「人の上は百日こそ申すなれ」とある。
・人の親(ひとのおや) 1.人たるものの親。人倫に則(のっと)った存在としての親。親。 反:■人の子 例:「人の親としての自覚」 2.祖先。祖。3.他人の親。
・人の鑑(ひとのかがみ) 人々の手本、模範。
・人の皮を被る(ひとのかわをかぶる) 上辺の姿形だけが人間であるという意味から、人間とは思えないほど冷酷で残忍な事をする人の形容。人でなしを罵(ののし)って言う言葉。 類:●人面獣心
・人の口にあり(ひとのくちにあり) 広く人々に言い触らされている。世間で噂されている。有名である。
・人の口に戸は立てられぬ(ひとのくちにとはたてられぬ) 世間の噂や評判は止めることができない。 類:●世間の口には戸を立てられぬ●世の取り沙汰は人に任せよ
・人の苦楽は壁一重(ひとのくらくはかべひとえ) 1.壁を隔てた隣家が苦しんでいようが楽しんでいようが、所詮(しょせん)他人事でしかないということ。 ★長屋住まいの人たちのちょっとした幸不幸の差を言ったもの。 2.また、人生における苦と楽は、壁一枚で分けられているだけで常に表裏一体であるから、悲観する必要もないが、かといって楽観も禁物だということ。 類:●浮世の苦楽は壁一重●楽あれば苦あり