−ひや1(hiya1)−
・冷やかし(ひやかし) 1.張り見世の遊女を見て歩くだけで登楼しないこと。 類:●素見(すけん) 2.実際には買うつもりなどないのに商品を値踏みしたり、値段を尋ねたりすること。3.からかうこと。嘲弄すること。 例:「冷やかし半分に」
・冷やかす(ひやかす) 1.氷や水に浸(ひた)したり、冷風に曝したりして冷やす。冷えるようにする。 用例:観智院本名義抄「寒心ムネヒヤカス」 2.遊郭で、登楼しないで張り見世の遊女を見て回る。 用例:人情・郭の花笠‐二「どれ新町でも素見(ヒヤカ)して」 3.用もないのに盛り場や場内などをうろつくこと。買う気もないのに、品物の値段を尋ねたり商品などを見て回ったりする。 例:「夜店を冷やかす」 用例:滑・一盃綺言「これから両国をひやかすべい」 4.悪口などを言って興を冷ます。冷評する。また、からかう。 例:「アベックを冷やかす」 用例:伎・浮世柄比翼稲妻−二幕「人を好い加減に冷かすがいいわな」 用例の出典@:類聚名義抄(るいじゅみょうぎしょう) 平安末期の漢和辞書。法相宗の僧侶の編で、院政期の成立かという。仏・法・僧の三部仕立とし、漢字を偏旁によって分類、音訓・字体などを示す。和訓の部分に付された声点は平安時代のアクセントを知る手掛かりとなる。「三宝類字集」「三宝類聚名義抄」などの異称があり、原撰本系の「書陵部本」と改編本系の「高山寺本」「観智院本」「蓮成院本」「西念寺本」とがある。 用例の出典A:一盃奇言(いっぱいきげん) 滑稽本。2巻。本町庵三馬(式亭三馬)。文化10年(1813)。・・・詳細調査中。 用例の出典B:浮世柄比翼稲妻(うきよづかひよくのいなずま) 歌舞伎。時代世話物。9幕。四世鶴屋南北。文政6年(1823)江戸市村座初演。名古屋山三が父のかたき不破伴左衛門を討つ筋と、白井権八が鈴ケ森で幡随長兵衛に出会い、江戸で小紫になじむ筋とを仕組む。前者の「鞘当(さやあて)」、後者の「鈴ケ森」が独立して演じられる。
・百害あって一利なし(ひゃくがいあっていちりなし) たくさんの害悪はあっても、利益になるようなことは一つもない。災いとなる悪いことばかりで、良い条件や良い事柄が一つも見当たらない。
・百尺竿頭(ひゃくしゃくかんとう) 百尺もある竿の先端。また、到達できる極点、向上しうる極致の喩え。
・百尺竿頭に一歩を進む(ひゃくしゃくかんとうにいっぽをすすむ) 既に到達した極点より、更に向上の歩を進める。また、十分に言辞を尽くした上に、更に一歩を進めて説く。 出典:「景徳伝灯録−十」 「百尺竿頭須進歩、十方世界是全身」
・百術千慮(ひゃくじゅつせんりょ) 色々な方法を考えること。あらゆる手立てを工夫し、様々に考えを巡らすこと。
・百手の達者(ひゃくしゅのたっしゃ) 百本の矢を射るのに、一矢も外さないほどの名手のこと。
・百姓と油は搾るほど出る(ひゃくしょうとあぶらはしぼるほどでる) 人民から税金を取るのは、油を搾るのと同様に、いくら搾ってももっと取ることができる。為政者からすれば、人民は生かさず殺さず程度に税を取り立てるのが良いということ。 類:●茶と百姓は搾るほど出る●灰俵と百姓は叩くほど出る ★「百姓」は、人民・一般人を指す。
・百姓読み(ひゃくしょうよみ) 漢字を偏(へん)または旁(つくり)から類推して、我流に読むこと。 ★「垂涎(すいぜん)」を「すいえん」、「洗滌(せんでき)」を「せんじょう」、「絢爛(けんらん)」を「じゅんらん」と読む類<国語大辞典(小)>
・百川海を学びて海に至る(ひゃくせんうみをまなびてうみにいたる) 多くの川は絶えず海を目指して流れるから、ついには海に注ぐ。人も優れた人を目標に絶えず努力し続ければ、ついには目的に到達しうるということ。 出典:「法言−学行」「百川学海而至于海、丘陵学山而不至于山」<丘は山を目指しても山には至らない(進もうとしないからである)>
・百戦錬磨(ひゃくせんれんま) 1.たくさんの戦いを経験していて、十分に鍛(きた)えられていること。2.一般に、経験豊富なこと。 類:●海千山千
●千軍万馬
・百度を踏む(ひゃくどをふむ) 1.祈願のためにお百度参りをする。2.頼みを聞いてもらうために、同じ人や場所を何度も訪問する。3.同じことを何度も繰り返す。 ★「お百度を踏む」というようにも使う<国語慣用句辞典(集)> ★「洗滌(せんでき)」を「せんじょう」、「装幀(そうとう)」を「そうてい」と読む類<大辞林(三)>
・百に足らぬ(ひゃくにたらず) 江戸時代には、銭百文を銭差しという細い縄に通して一筋としたが、その一筋にも足りないという意味から、独り立ちができない者や愚か者を軽蔑して言う言葉。
・百日天下(ひゃくにちてんか) 僅(わず)かの期間だけ天下を支配すること。 類:●三日天下 故事:帝位を追われたナポレオンは、エルバ島を脱出してパリに入り再びフランス皇帝となったが、ワーテルローの戦いに敗れて今度はセントヘレナ島に流された。この期間が約百日であったところから<国語慣用句辞典(集)>
・百日の説法屁一つ(ひゃくにちのせっぽうへひとつ) 長い間の苦心も、僅かばかりの失敗で無駄になってしまうということの喩え。
・百に一つ(ひゃくにひとつ) 百あるうちの一つ。少し。僅(わず)か。ごく稀(まれ)。 「百に一つも〜ない」の形で用い、少しも〜ないの意味。
・百人力(ひゃくにんりき) 1.百人分の力があること。 類:●力持ち 2.援助を得て、非常に力強く感じること。 例:「君が加われば百人力だ」