−ほう2(hou2)−
・放題もない(ほうだいもない) 1.行動などが、この上もなく自由気ままであるということ。2.転じて、どのように対処して良いか分からず、困惑するほどである。 類:●途方(とほう)もない
・忙中閑あり(ぼうちゅうかんあり)[=自ずから閑あり] 忙しい中にも僅(わず)かな暇(ひま)はあるものだということ。また、忙しい中でこそ、心に余裕を持つべきであるということ。 反:■閑中忙あり ★安岡正篤氏の「六中観」の1つ。 参考:六中観(りくちゅうかん) 「忙中有閑」(忙しい中に心の余裕を見付ける)、「苦中有楽」(苦しみ抜く最中に楽しみを見付ける)、「死中有活」(死を背にしたその中に活路を見出す)、「壷中有天」(現実世界にあって、別天地見付ける)、「意中有人」(尊敬でき心の師がある)、「腹中有書」(腹中に哲学、信念がある)−『百朝集』58話。
・放蕩無頼(ほうとうぶらい) 《四熟》 酒色に耽(ふけ)り、勝手気ままに振る舞って、品行が悪いこと。 類:●放蕩三昧●放蕩不羈●流連荒亡
・棒に振る(ぼうにふる) それまでの努力や苦心の結果をすっかり無駄にする。 類:●ふいにする ★家屋などを棒手振(ぼてふり=天秤棒での行商)に掛けて売り払う意、つまり、「棒にぶら下げて振る」からか、という。
・忘年の友(ぼうねんのとも) 年齢の隔たりを忘れて親しく交わる友達。
・朋輩笑み難き(ほうばいえみがたき) 同僚同士は表面は仲が良いようだが、内心では互いに嫉(そね)み合うものであるということ。
・棒引き(ぼうびき) 1.線を引くこと。特に、帳簿などの記載を棒を引いて消すこと。2.転じて、金銭の貸し借りをなしにすること。 類:●帳消し 例:「借金を棒引きにする」
・抱腹絶倒(ほうふくぜっとう) 腹を抱えて、倒れそうになるほど大笑いすること。 類:●棒腹大笑 出典:「艸山集−復南紀澄公書」「想公読之、棒腹絶倒也」 参考:「史記−日者列伝」「司馬季主、棒腹大笑曰、…」 ★元は「棒腹絶倒」。「抱腹」は誤用が慣用化し、定着したもの。
・蜂房鵠卵を容れず(ほうぼうこくらんをいれず) 蜂の巣の小さな穴には、大きな鵠(こうのとり)の卵を入れられない。小さいものには、大きいものを包容できないということの喩え。 出典:「淮南子−氾論訓」「蜂房不容鵠卵、小形不足以包大体也」
・這う這うの体(ほうほうのてい) 酷(ひど)く恐縮したり、散々な目に遭ったりして、今にも這い出さんばかりに慌てて逃げ出す様子。 用例:日葡辞書「ハウハウノテイデニゲタ」 例:「這う這うの体で逃げ帰る」
・棒ほど願って針ほど叶う(ぼうほどねがってはりほどかなう) 願望は、なかなか叶えられるものではないということの喩え。
・報本反始(ほうほんはんし) 「本(もと)に報(むく)い始に返る」という意味。祖先の恩に報いること。儒教的理念の一つ。 出典:「礼記−郊特牲」
・砲門を閉じる(ほうもんをとじる) 火砲の射撃口を閉めるという意味で、砲弾による攻撃を止(や)めること。戦闘を止めること。 反:■砲門を開く
・忘憂の物(ぼうゆうのもの) 憂(うれ)いを忘れさせてくれるものという意味で、酒のこと。単に、「忘憂」ともいう。 類:●酒は憂いの玉箒(たまははき)●菊の水 出典:陶淵明「飲酒二十首−其七」「秋菊有佳色、[濡]露[摘]其英、汎此忘憂物、遠我遺世情」
・亡羊の嘆(ぼうようのたん) 1.学問の道が、あまりにも多岐に渡っており、容易に真理を得られないこと。2.方法が多いためどこから手を付けて良いか考えあぐね、途方に暮れること。 類:●多岐亡羊 故事:「列子−説符」 逃げた羊を追い求めたが、枝道が多く、とうとう羊を見失い途方に暮れた。
・亡羊補牢(ぼうようほろう) 羊が逃げてから囲いを修理する。過ちを犯してからその元を改めることの喩え。時機に遅れては用をなさないことの喩え。 類:●兎を見て犬を顧みる●泥棒を見て縄を綯う 出典:「戦国策−楚」「見兎而顧犬、未為晩也、亡羊而補牢、未為遅也」
・炮烙の刑(ほうらくのけい)・焙烙の〜 中国古代に殷(いん)の紂王(ちゅうおう)が行なった火焙りの刑。銅柱に油を塗り、それを炭火の上に掛けて罪人を渡らせ、滑り落ちた者を焼き殺した。この刑を見て、王妃の妲己(だっき)と共に楽しんだという。 出典:「荀子−議兵」「紂刳比干、囚箕子、為炮烙之刑」 人物:妲己(だっき) 中国、殷の紂王の妃。生年不詳〜前1046頃。もと殷に滅ぼされた有蘇(ゆうそ)氏の娘で、紂王の寵愛を恃(たの)んで淫楽に耽(ふけ)り、残忍な行為が多く、殷の滅亡の元となった。周の武王(ぶおう)の遠征軍に殺された。亡国の悪女の典型とされる。 →参考:傾国
・法律の網を潜る(ほうりつのあみをくぐる)[=網の目を〜] 網の目のように張り巡らされた法律を通り抜ける。法律の盲点を突いて、罰則を受けないで済むように考えて悪事を働く。
・焙烙の一倍(ほうろくのいちばい) 焙烙は欠(か)け易いから、初めからそれを計算に入れて、売り値をを倍にする。掛け値をして売ることの喩え。 用例:浮・世間胸算用−二「各別高い物ながら、これ焙烙の一倍とて何のやうなし」 ★この「一倍」は、現在の二倍(=二層倍)のこと。「焙烙」は、素焼きの平たい土鍋で壊れ易かった。
・焙烙の割れも三年置けば役に立つ(ほうろくのわれもさんねんおけばやくにたつ) 1.今は役に立たなくても、後で役立つ時がある。 類:●破れ鍋も三年置けば用に立つ●愚者も千慮に一得あり ★「焙烙」は、素焼きの平たい土鍋。 2.災難に遭って痛手を受けても、いつかそのことが原因となって幸せを掴むこともあるということの喩え。 類:●塞翁が馬
・暴を以って暴に易う(ぼうをもってぼうにかう) 1.一つの暴を取り除くために、他の暴を利用する。結局は、暴を取り除くことにならないことの喩え。 反:■怨みに報(むく)ゆるに徳を以ってす 出典:「史記−伯夷叔斉列伝」 参考:采薇の歌 2.暴力には暴力で立ち向かう。 類:●目には目歯には歯