−ふき(huki)−
・吹き込む(ふきこむ) 1.風が吹いて雨・雪や埃などを中に入れる。また、息で吹いて中に入れる。 用例:人情・春色梅美婦禰−初「口から直に吹込(フキコマ)なくっては飲みは仕ませんから」 例:「文壇に新風を吹き込む」 2.前もって教え込んでおく。言い聞かせておく。 類:●教唆(きょうさ)する 用例:浄・冥途の飛脚−中「梅川殿へもふきこんで此方から挨拶切り」 例:「悪い知恵を吹き込む」 3.上方の遊里言葉で、遊女に贈り物を送る。 用例:浮・傾城禁短気−三「宿屋へ内証をふき込(コミ)」 4.ボイスレコーダーやCDのような録音メディアなどに、音を入れる。録音する。 例:「新曲を吹き込む」
・吹き出す(ふきだす)・噴き出す 1.風が吹き始める。吹き立つ。吹き出(い)ず。2.内にあるも のが一気に外に出る。水などが勢いよく溢(あふ)れ出る。湧(わ)き出る。噴出する。3.堪(こら)えかねて、ぷっと笑う。我慢しきれず笑い出 す。 用例:浄・蝉丸−一「可笑しさどうもたまられず、ふっとふきだす斗也」 4.吹き出物・腫(は )れ物が皮膚に現れ出る。5.草木の芽が勢いよく出る。萌(も)え出る。 用例の出典:蝉丸(せみまる) 浄瑠璃。時代物。五段。近松門左衛門。元禄14年(1701)大坂竹本座初演。謡曲「蝉丸」に題材を取り脚色したもの。竹本義太夫が筑後掾(ちくごのじょう)受領の祝儀として上場。 参考:蝉丸(せみまる) 謡曲。四番目物。各流。世阿弥。延喜帝の第四皇子蝉丸の宮は幼少から盲目だったので、帝は逢坂山に捨てさせる。一方、髪がさか立つ病気を持つ姉の逆髪の宮は、さまよい歩いて逢坂山に至り、蝉丸の琵琶の音に惹(ひ)かれて弟と再会する。二人は互いの身の不幸を嘆き合う。古名『逆髪(さかがみ)』。
・不帰の客となる(ふきのきゃくとなる) 二度とこの世に戻らない人になる。死ぬ。 類:●黄泉の客
・不義にして富みかつ貴きは浮雲の如し(ふぎにしてとみかつたっときはふうんのごとし) 人道に外れたことをして得た富貴は、儚(はかな)いものである。 類:●富貴浮雲の如し 出典:「論語−述而」「飯疏食飮水、曲肱而枕之、楽亦在其中矣。不義而富且貴、於我如浮雲」<粗末な飯を食べて水を飲み、腕を曲げてそれを枕にする。楽しみはそんな中にも自然にあるものである>
・不義はお家の御法度(ふぎはおいえのごはっと) 男女の密通は厳禁であるということ。近世、特に武家で、家人や使用人への戒めとした言葉。
・俯仰天地に愧じず(ふぎょうてんちにはじず) 省(かえり)みて、自分の心や行動に少しも恥じるところがない。 出典:「孟子−尽心・上」「仰不愧於天、俯不圉於人」