−ふし(husi)−
・節が立つ(ふしがたつ) 刺々(とげとげ)しくて、相手の感情を刺激するような言動をすること。 類:●角が立つ
・無事是貴人(ぶじこれきにん) 禅語。為(な)すべきことが最早(もはや)ない者こそ貴(とうと)い人であるということ。一切の妄念を排除すれば、心は常に清浄平穏であるということ。 ★「無事」は、作為を以って行なわず自然のままであること。また、そのような境地。 出典:「臨済録」「無事是貴人、但莫造作、祇是平常」 2.誤った解釈で、人生行路において、災厄(さいやく)に見舞われず、平穏無事で過ごせるのが最上の人生であるということ。
・無事是名馬(ぶじこれめいば) 1.競馬では、なんの故障もなく、長い間第一線で活躍できる馬こそが名馬である。 ★競馬ファンだった小説家菊池地寛が禅語の「無事是貴人」を捩(もじ)って言った言葉。 2.一般に、華々しい手柄などなくても、大きな災禍(さいか)なく、長い間活躍するのが一番である。 類:●健康第一
・無事息災(ぶじそくさい) 《四熟》 事故や病気などの心配事がなく、平穏に暮らしていること。 類:●無事平安●無病息災●平穏無事
・ふしだら 1.締まりがないこと。生活態度に規律がないこと。 類:●だらしない 2.素行が良くないこと。品行が悪いこと。特に、男女間でけじめがないこと。 用例:人情・珍説豹の巻−前「段々の不行跡(フシダラ)、知らぬ振して見るに忍びず」 例:「ふしだらな女」
・武士に二言はない(ぶしににごんはない) 武士は信義を重んじるので、一旦口に出して言ったことは必ず守るということ。 類:●武士の誓詞は金鉄の如し●男子の一言金鉄の如し
・武士の一言(ぶしのいちごん) 武士は、一度承知したことは、約束を守って必ず実行するということ。 類:●然諾を重んず●武士に二言はない
・武士の商法(ぶしのしょうほう) 明治維新以後、武士であった者が商売をしても、威張ってばかりいて失敗することが多かったことから、商売の遣り方が下手(へた)であるとことの喩え。 類:●士族の商法
・節の間(ふしのま) 1.節と節との間。2.転じて、少しの間。暫(しばら)く。 用例:新古今−1049「なにはがた短かきあしのふしのまも」
・武士は相身互い(ぶしはあいみたがい) 武士同士は同じ立場であるから、互いに思い遣り、助け合わねばならないということ。また、そのような間柄。
・武士は食わねど高楊枝(ぶしはくわねどたかようじ)
・不始末(ふしまつ) 1.後始末をきちんとしないこと。ものごとをきちんと処理しないこと。だらしがないこと。2.他人に迷惑を掛けるような不都合な行ないをすること。また、そのような行為。 類:●不埒(ふらち)●しくじり 例:「不始末をしでかす」
・不定の雲(ふじょうのくも) 心が定まらず迷っている状態を、雲が月を覆い隠すことに喩えて言った言葉。 類:●心の雲
・不承不承(ふしょうぶしょう) 嫌々ながらする様子。 類:●渋々 用例:虎寛本狂言・止動方角「あとからうせいといふに、あのふしゃうぶしゃうなつらは」 例:「不承不承引き受ける」 ★「不請不請」とも書く<大辞林(三)>
・夫唱婦随(ふしょうふずい) 《四熟》 夫が言い出し、妻がそれに従うこと。夫婦仲が良いこと。 故事:「関尹子−三極」 後漢の梁鴻(りょうこう)は謹厳な人物で、結婚してから1年以上も妻と口を利かなかった。思い余った妻がその訳を尋ねると、「美しく着飾って顔に紅まで差している女は自分の妻ではない」と言う。妻は「私は礼儀に厳格なあなたのことを気づかってこのような格好をしてきましたが、それが意にそぐわないのであれば、質素な身なりも用意してあります」と答え、質素な服に着替えて荊(いばら)の冠を被(かぶ)った。梁鴻は「それでこそ我が妻である」と言い、以後睦まじく暮らした。 出典:関尹子(かんいんし) 中国、道家の書。周代。老子が西遊した際の函谷関の長(関尹かんいん)であった尹喜(いんき)の作とされるが、後世(唐代か?)の偽作。
・不精髭(ぶしょうひげ) 剃るのを怠(おこた)って、薄汚く生えている髭。
・負薪之憂(ふしんのうれい・うれえ・ゆう)[=病(やま)い] 《四熟》 士(し)が自分の病気を謙遜して言う言葉。禄(ろく)が十分でなく、薪(たきぎ)を背負って働いたので病気になったという意味。「負薪」は、生活のために雑用や力仕事をすることの喩え。 類:●采薪の憂 出典:「礼記−曲礼・下」<君主から弓を射るように命じられて、もしできなかったらこう答えるものだと記されている>
・不審を打つ(ふしんをうつ)[=立てる] 怪しく思う。訝(いぶか)しく思う。また、疑わしく思う点を挙げて尋ねる。