−ふた(huta)−
・譜代相伝(ふだいそうでん) 《四熟》 その家に代々受け継いで伝えること。
・不退転(ふたいてん) 1.仏教用語。修行において退歩(たいほ)しないこと。勤行(ごんぎょう)を、怠(おこた)りなく続けること。 類:●不退 2.転じて、志(こころざし)を堅く持って、決して屈しないこと。退(しりぞ)くことなく突き進むこと。 類:●不退 例:「不退転の決意で望む」 参考:退転(たいてん) 仏語。菩提心を失ったために、それまでに得たさとりの位や修行などを失ってあともどりすること<国語大辞典(小)> 出典:「無量寿経−下・第十八願成就文」「願生彼国、即得往生、住不退転」 出典:無量寿経(むりょうじゅきょう) 浄土宗および真宗の根本経典。浄土三部経の一つ。魏の康僧鎧の訳とされてきたもの。上巻には阿弥陀の四八の願とその修行によってえられた浄土の荘厳を説き、下巻に衆生の極楽往生の相などを説く。浄土教の諸宗では「大経(だいきょう)」とも呼ぶ(天台宗では「大般涅槃経」を大経と呼ぶ)。
・蓋が開く(ふたがあく)[=明く] 1.覆(おお)っていた蓋が取り除かれて中の様子が分かるという意味から、ものごとが実際に始まること。2.劇場などで、初日が始まること。 例:「芝居の蓋が明く」
・札が落ちる(ふだがおちる) 入れ札で、落札する。 用例:柳多留−11「売色(ばいしよく)を一割入れて札が落ち」
・札が付く(ふだがつく) 評判が世間に知れ渡る。札付きになる。主に、悪い意味で使われる。 用例:柳多留−10「出あるくな札が付いてはならぬぞよ」
・札削る(ふだけずる) 日給の簡(ふだ)から姓名を除く。殿上の籍を除く。 用例:宇津保−国譲中「御返り持て参らずは、札削らむと仰せられつる物を」
・二心(ふたごころ) 1.同時に相反する二通りの心を持つこと。浮気な心。 類:●徒(あだ)し心●浮気心●二心(にしん) 用例:源氏−宿木「二心おはしますはつらけれど」 2.味方や君主に背(そむ)こうとする心。裏切ろうとする心。 類:●謀反心●逆心●二心(にしん) 例:「二心を抱く」
・二言となく(ふたこととなく) 色々と議論するまでもなく直ちに決定すること。
・二言目(ふたことめ) 1.二度目に言うこと。2.何かというと口にする決まり文句や口癖になっている言葉。 例:「二言目には『今日日の若いもんは』と言う」
・札付き(ふだつき) 1.札が付いていること。2.正札(しょうふだ)が付いていること。また、その商品。 類:●正札付き 3.世間に知れ渡っていること。また、その人。多く、悪い評判が世間に広まっている人を指して言う。 類:●正札付き 例:「札付きの不良」 ★「正札付き」からか。または、高札や配符が回ったことによる。・・・未詳。 ★江戸時代、久離帳(きゅうりちょう=出奔者名簿)に名が載ると、本人だけでなくその親族や近所の者まで連座させられていた。そこで、人別帳(にんべつちょう)の出奔しそうな者のところに札を付け、要注意人物としていたことから、とも言われる。
・二つの海(ふたつのうみ) 生と死の世界。 用例:万葉−3849「生き死にの二海(ふたつのうみ)を」
・二つの道(ふたつのみち) 1.忠と孝との道。 用例:続後拾遺−雑中「とにかくに二つの道を思ふこそ世に仕ふるも苦しかりけり」 2.貧と富との道。特に、貧しい家の女の行ないと、豊かな家の女の行ない。 出典:白居易「秦中吟・議婚」 用例の出典:続後拾遺和歌集(しょくごしゅういわかしゅう・ぞくごしゅういわかしゅう) 鎌倉末期。16番目の勅撰集。20巻。元享3年(1323)後醍醐天皇の命により藤原為藤・為定が撰し、嘉暦元年(1326)成立。歌数は1,355首。代表歌人は為家・為世・定家・後宇多院・後醍醐天皇など。『続後拾遺集』。
・二つ返事(ふたつへんじ) 1.「はい、はい」と二つ重ねて返事をすること。また、その返事。2.躊躇(ためら)うことなく、すぐに気持ちよく承知の返事をすること。快(こころよ)く承知すること。 例:「二つ返事で請け合う」
・二つ物賭け(ふたつものがけ) 二つのうちどちらかに賭けて、勝負すること。また、その勝負。
・豚に真珠(ぶたにしんじゅ)
・豚に念仏猫に経(ぶたにねんぶつねこにきょう)[=〜犬に経] 理解できないものに、どんな有り難い教えを説いても無駄である。その身を思って有意義なことを話しても、なんの効果もないこと。 類:●馬の耳に念仏●馬耳東風●猫に小判●犬に論語●暖簾に腕押し
・二股掛ける(ふたまたかける)・二股を〜 1.一つだけでなく、同時に二つの事をすること。2.結果の利益を考えて、立場や方法が違う二者のそれぞれに働き掛けておくこと。 類:●両天秤を掛ける 例:「同じクラスの人と部の先輩とに二股掛けていた」
・二股膏薬(ふたまたごうやく・ふたまたこうやく) 《四熟》 内股に貼った膏薬のように、あちらに付きこちらに付きして、態度や意見が一定しないこと。定見がないこと。節操がないこと。また、そういう人。 類:●内股膏薬
・二目と見られない(ふためとみられない) あまりにも不快で見るに堪えない。あまりに醜悪で二度と見る気がしない。 例:「二目と見られない御面相(めんそう)」
・豚も煽てりゃ木に登る(ぶたもおだてりゃきにのぼる) 1.褒(ほ)め上げると木に登れない豚でも登ってしまうという意味で、能力の低い者でも煽てると懸命にやって、ともすると遣り遂げてしまうということの喩え。2.愚かな者でも使い方によっては役に立つということ。また、愚か者は煽てるとなんでもするということ。 類:●馬鹿と鋏は使いよう ★福島県で昭和30年(1955)前後から言われていたというが、定かではない。昭和52年(1977)放映のTVアニメで一般化した。
・蓋を開ける(ふたをあける) 1.事の実情や結果などを見る。非公開で行なわれていたことを公開する。 例:「成否は蓋を開けるまで分からない」 2.事を始める。3.劇場などで、興行を始める。初日を開ける。 類:●幕を開ける
・豚を盗んで骨を施す(ぶたをぬすんでほねをほどこす) 盗んだ豚の肉を自分で食べてしまってから、その骨を他人に恵んでやって、ありがたがられる。大きな悪事の償(つぐな)いにと、僅(わず)かな善行(ぜんこう)をする喩え。 類:●Steal a pig and give the feet for alms.(英国の諺)