−ふち(huti)−
・打ち上げる(ぶちあげる・うちあげる) 1.取り上げてしまう。奪い取る。 用例:浄・丹波与作待夜の小室節−中「海道筋の御器の実をぶちあげ」 2.すっかり上げる。 用例:滑・浮世床−初「血道をぶち上居るぜ」 3.大言を吐く。大きなことを言う。 類:●大言壮語する●大風呂敷を広げる 用例:滑・浮世床−初「ぬけぬけとした事をぶち上るぜ」 例:「一大構想をぶち上げる」
・打ち噛ます(ぶちかます) 1.相撲で、立ち上がったとき相手の胸に額から勢いよく体当たりを喰らわせる。2.転じて、強い力で相手に一撃を喰らわせる。3.俗な用法。一般に、勢いを込めてものごとをする。 例:「独自の恋愛論を打ち噛ます」「昼寝を打ち噛ます」
・打ち壊し(ぶちこわし) 1.打ったり叩いたりして物を壊すこと。2.でき上がったり、整ったりしている状態を駄目にすること。 類:●台無しにする 例:「折角のムードが打ち壊しだ」
・淵に臨みて魚を羨むは、退いて網を結ぶに如かず(ふちにのぞみてうおをうらやむは、しりぞきてあみをむすぶにしかず) 岸辺に立って魚が欲しいとただ眺めているよりは、家に帰って魚を捕る網を編(あ)んだ方が良い。ただ幸福を思い望むより、具体的に努力すべきであるという戒め。 出典:「漢書−董仲舒伝」「古人有言、臨淵羨魚、不如退而結網」
・淵は瀬となる(ふちはせとなる) 水が淀んで深くなっているところが、忽(たちま)ちのうちに浅瀬に変わるという意味で、世の中が激しく移り変わることの喩え。
・打ちまける(ぶちまける) 1.容器を引っくり返して、中の物をすっかり出し散らす。 例:「バケツの水を打ちまける」 2.包み隠さずすっかり言う。本心を全て打ち明ける。 例:「憤懣(ふんまん)を打ちまける」 用例:伎・御摂勧進帳−三立「大きな寝言をぶちまけたな」 用例の出典:御摂勧進帳(ごひいきかんじんちょう) 歌舞伎。初世桜田治助。安永2年(1773)。源義経主従もの。義経が平泉へ下る「義経記」の内容を中心に据える。
・釜中魚を生ず(ふちゅううおをしょうず) 非常に貧しいことの喩え。 出典:「後漢書−独行伝・范冉」 故事:後漢の范冉(はんぜん)は貧しく、久しく飯を炊かないでいたら釜の中に孑孑(ぼうふら)が湧いた。
・釜中の魚(ふちゅうのうお)[=魚鼈(ぎょべつ)] 釜の中で煮られようとしている魚という意味で、死が目前に迫(せま)っていて、逃れられない状態の喩え。 出典:「資治通鑑−漢紀・順帝漢安元年」 出典:資治通鑑(しじつがん) 中国の編年書。294巻。宋の司馬光撰。英宗の命で1065年着手、1082年完成し神宗に献上。初め「通志」と称したが、治世に役立ち、為政上の鑑(かがみ)と賞されてこの名を賜わった。戦国時代から五代末まで1362年間の編年通史で、周紀に始まり後周紀で終わる。「春秋左氏伝」を手本に「春秋」の書き継ぎを目し、正史を初め実録、物語など322種を資料参考にしている。
・不調法(ぶちょうほう)・無調法 1.配慮が行き届いていないこと。ものごとが下手なこと。 類:●不束 例:「口の方は不調法でして」 2.不始末。しくじり。 類:●粗相 用例:虎寛本狂言・鐘の音「私の不調法で御ざる」 3.酒や遊びごとを嗜(たしな)まないのを、謙(へりく)って言う。また、一般的に至らないこと。 例:「不調法な娘ですがお願いします」
・符帳を付ける(ふちょうをつける) 1.商店で商品に値段を示す記号を付ける。2.一般に、覚えにするための目印を付けること。