−ふつ(hutu)−
・普通の身体でない(ふつうのからだでない) 通常の身体の状態でない。健康でない。 1.病気である。また、障害などがある身体。 2.妊娠している。
・吹っ掛ける(ふっかける) 1.息などを吹き掛ける。2.大袈裟に言う。また、法外な要求をする。値段などを不当に高く言う。 例:「高値を吹っ掛ける」 3.相手が困るようなことをする。喧嘩などを仕掛ける。 用例:人情・閑情末摘花−五「難題を吹かけた所が」 ★「ふきかける」の転<大辞林(三)>
・ぶっきら棒(ぶっきらぼう) 言動に愛嬌(あいきょう)や思いやりがないこと。素っ気ないこと。 類:●無愛想(ぶあいそう) 例:「ぶっきらぼうな返事をする」 ★「ぶっきりぼう(打切棒)」の変化<国語大辞典(小)> ★ものごとを途中で終わりにする意味の「打ち切り」に、人の様態を表わす接尾語「ぼう」(「けちん坊」「朝寝坊」などの「坊」と同じもの)が付いたものからか。「打っ切り飴」を「打っ切り棒」と呼んだため、「棒」の字に変化したとも考えられる。
・吹っ切れる(ふっきれる) 1.物音などが急に途絶(とだ)える。2.腫(は)れ物などが破れて、膿(うみ)が全部出る。 例:「首の腫れ物がやっと吹っ切れた」 3.内部に溜(た)まっているものが一気に全部出る。特に、心に蟠(わだかま)っていたものや躊躇(ためら)いなどが、一気に発散してすっきりする。 例:「彼のことはもう吹っ切れたわ」 ★「ふききれる(吹切)」の変化<国語大辞典(小)> ★「噴き切れる」が原義か。「切れる」は、「出尽くすされる」の意味。
・物議を醸す(ぶつぎをかもす) 世間の人々の論議や騒ぎを引き起こす。 例:「物議を醸す放言」
・物色(ぶっしょく) 1.物の色。また、風物や景色(けしき)。 用例:菅家文草−一「物色と人情と計会することおろそかなり」 2.多くのものの中から適したものを選び出す。また、あれこれと見繕(みつくろ)う。 ★秋の祭礼で生贄(いけにえ)の家畜の毛色を確かめることから転じて、品定めをすることの意味になった。 出典:「礼記−月令」「視全具、按芻豢、瞻肥瘠、察物色、必比類。量大小、視長短、皆中度」 3.産物や貢納(こうのう)品。国家間の贈り物。また、貢(みつ)ぎ物として贈られる品。 4.人相書きや容貌(ようぼう)によって、その人を捜すこと。 用例:史記抄−11「尹喜が老子を物色して求めて著させたぞ」 5.適した人や物を、多くの中から探し出すこと。 例:「通学に便利なアパートを物色している」 用例の出典:菅家文草(かんけぶんそう)・道真集(みちざねしゅう) 詩文集。菅原道真。平安前期、昌泰3年(900)。道真自ら編し、醍醐天皇に献上した。12巻。1〜6巻に詩4000余首、文170編を収める。詩は唐代の詩人元(げんしん)の影響が強く、文は四六駢儷(べんれい)体。正称は「道真集」。
・打っ手繰る(ぶったくる) 1.暴力などで無理に奪い取る。強奪する。 類:●ふんだくる 用例:談・八景聞取法問−四「能うも能うも大金をぶったくらうとしたな」 例:「遣らず打っ手繰り」 2.価格以上の利益を貪(むさぼ)る。 類:●ぼる●ぼったくる
・仏頂面(ぶっちょうづら) 無愛想な顔付き。不機嫌に膨(ふく)れた顔付き。 類:●膨れっ面 ★仏頂尊の恐ろしい面相によるとも、不承面(ふしようづら)の転ともいう<大辞林(三)>
・不束(ふつつか) 1.太く、丈夫である。太くて立派である。 用例:宇津保−蔵開上「いとおほきやかにふつつかにこえ給つるが」 2.太く卑しげである。下品で不恰好である。不細工。 用例:蜻蛉−中「この大夫のさもふつつかにみゆるかな」 3.風情がない。無風流である。繊細でない。 類:●無骨●野暮 用例:仮・浮世物語−三「大かたみな礼義をもしらず、よろづふつつかなる緩怠をいたし」 4.思慮や能力が足りない。軽率な。また、行き届かない。不調法な。 用例:徒然草−五「不幸に愁にしづめる人の、かしらおろしなどふつつかに思ひとりたるにはあらで」 例:「不束な娘ですが」 ★「ふと(太)つか(束)」の変化かという<国語大辞典(小)>
・降って湧く(ふってわく) 「天から降る」と「地から湧く」の両方を併せた言葉。思い掛けずにものごとが起こる。突然生ずる。 用例:浄・扇八景「降つて湧いたる御機嫌と勇み給ふぞ道理なる」 例:「降って湧いたような幸運」 ★多く連体修飾語として用いる<国語大辞典(小)> 用例の出典:曾我扇八景(そがおおぎはっけい) 浄瑠璃。近松門左衛門。正徳元年(1711)。時代物。曽我物。仇討を側面から描いた作品で、十郎が母を扇で叩く場面あり。全体に華やいだ雰囲気のある作品。変則の上中下3巻。