−いえ(ie)−
・家売れば釘の価(いえうればくぎのあたい)[=縄の値] 大枚を使って手に入れた家屋も、売る時には釘(縄)に掛かった費用程度の値段でしか売れない。
・家柄より芋茎(いえがらよりいもがら) 家の格式などという腹の足しにもならないものより、芋茎の方が増しだということ。家柄などは、芋茎ほどの値打ちもないということ。
・家給し人足る(いえきゅうしひとたる) 全ての家も人も豊かで生活に困らないこと。天下が太平で、民が安心して生活している様子。 出典:「淮南子−人間訓」
・家高(いえたか) 家の格式が高いこと。また、そのような家柄。 用例:咄・醒睡笑−四「人これを見れば、なにとしたる家高(イエタカ)ぞや」 類:●名門●名家●家(いえ)高し 用例の出典:醒睡笑(せいすいしょう) 咄本。8巻。安楽庵策伝著。元和9年(1623)頃の成立。戦国末期から近世初期、お伽衆によって語られていた笑話を中心として42項に分類。集大成した一大笑話集。後代の落語や咄本などに大きな影響を与えた。
・家徒四壁(いえただしへき) 家にはただ四方の壁が立っているのみで、他に何もない。酷く貧しい家のこと。 類:●居徒四壁(きょただしへき)
・家に諫むる子あればその家必ず正し(いえにいさむるこあればそのいえかならずただし) 父が不義を企てても、それを諌める子があれば、その家は安泰である。 出典:「孝経−諫争章」「父有争子、則身不陥於不義」 出典:孝経(こうきょう) 中国の経書。1巻。十三経の一つ。孔子の弟子、曾子の学派の撰とされる。戦国時代に成立。古文と今文の二種がある。その多くは孔子と曾子との問答形式を取り、孝道を理論的根拠として、封建社会における家族を中心とした道徳を説く。
・家に杖突く(いえにつえつく) 家の中で杖を突く年齢という意味で、50歳のこと。 出典:「礼記−王制」「五十杖於家、六十杖於郷、七十杖於国、八十杖於朝」
・家に無くてならぬものは上り框と女房(いえになくてはなならぬものはあがりかまちとにょうぼう) 家庭には、女房はなくてはならない存在であるということ。家が栄えるか衰えるかは、女房の才覚に掛かっているということ。 類:●女房は家の大黒柱●女と俎板は無ければ敵わぬ●女房は半身上 ★「上り框」は、玄関の上り口の化粧横木。日本式の家屋では、これのない家はない。「あがりがまち」とも。
・家の風(いえのかぜ) 1.代々、家に伝えて来た流儀、伝統。また、家の威風。 類:●家風(いえかぜ) 用例:拾遺−四七三「久方の月の桂も折るばかり家の風をも吹かせてし哉」 2.家庭内で起こる波風(なみかぜ)。家の中に起こった揉め事。 用例:浮・本朝二十不孝−三「静かなる浦に家の風を吹かし」 ★「家風(かふう)」の訓読み<国語大辞典(小)>
・家の乱れは女から(いえのみだれはおんなから) 家庭の乱れは女性が原因で起こることが多い。主人の女性関係や、主婦の軽はずみな行動などを指して言う。
・家は弱かれ主は強かれ(いえはよわかれぬしはつよかれ) 家屋は弱くても良いが、主人はしっかりしていなくては駄目だ。
・家貧しくして孝子顕わる(いえまずしくてこうしあらわる)・出ず[=孝を顕わす] 家が貧乏だと、孝行な子の善行がはっきり人に知られるものだということ。逆境に陥ったとき、誠実な人間が表面に現れるものだ。 類:●六親和せずして孝慈有り 出典:「宝鑑」「家貧顕孝子、世乱識忠臣」 出典:明心宝鑑(めいしんほうかん) 箴言(しんげん)集。高麗時代。に編まれた儒学の箴言集。高麗の忠烈王の文臣・秋適(しゅうてき)編といわれる。19篇、のち5編増補。孔子を始めとする中国儒学の先人達の名言を集めたもの。
・家貧しくて良妻を思う(いえまずしくてりょうさいをおもう) 家が貧しくなると、家庭を切り盛りしてくれる良い妻が欲しいと思う。国や組織が乱れると、良き大臣や補佐役が必要になるという喩え。 類:●国乱れて良相を思う 出典:「史記−魏世家」「先生嘗教寡人曰、家貧則思良妻、国乱則思良相」 中国戦国初期の政治家・李克(りこく)の言葉。
・家持ちより金持ち(いえもちよりかねもち) 高い金額を使って家を購入して持ち家に住むよりは、借家に住もうとも金持ちでいた方が気楽である。 ★一説に、家作を持つより、現金を運用した方が有利であるの意とする<国語大辞典(小)>
・家を傾ける(いえをかたむける) 家の財産を使い果たす。身代を潰す。 類:●家を潰す●家を破る●家崩し
・家を破る鼠は家から出る(いえをやぶるねずみはいえからでる) 家や国家を破滅させる者は、外部から来るのでなく、内部から出るものだという喩え。