−いい2(ii2)−
・唯々諾々(いいだくだく) 少しも逆らわずに、言いなりになる。 類:●言う成り地獄 出典:「韓非子−八姦」「此人主未命而唯唯、未使而諾諾」
・言い出し屁(いいだしべ・っぺ) 1.押並(な)べて、身の潔白や無実を最初に言い出した者が犯人であるものだということ。2.転じて、言い出した者が最初にそれをすること。この場合、普通「いいだしっぺ」という。 類:●言い出し兵衛 ★「いいだしっぺ」とも。くさいと言い始めた者が放屁(ほうひ)の犯人であるというところから<国語大辞典(小)>
・意到りて筆随う(いいたりてふでしたがう) 詩歌や文章を作るとき、自分の思う儘に筆が動くということ。詩歌などがすらすら作れる様子。 出典:春渚紀聞(しゅんしょきぶん) 中国・宋代。何遠撰。・・・詳細調査中。
・言い付ける(いいつける) 1.ものごとを人に頼む。目下の者に命じる。また、出前などを注文する。 類:●申し付ける 用例:源氏−手習「かの人のいひつけし事など」 例:「用事を言い付ける」 2.その人にとって好ましくないことを、誰かに告げる。告げ口をする。密告する。 用例:源氏−葵「さるうとましきことをいひつけらるる」 例:「父親に言い付ける」 3.渾名(あだな)などを付ける。命名する。 用例:栄華−日蔭のかづら「大宰相の君などいふ人、おばおとどなどいひつけ給ひ」 4.言い慣れる。 用例:徒然草−七八「ここもとにいひつけたることくさ、物の名など」 5.叱り付ける。厳しく言い聞かせる。 用例:狂言記・牛馬「急度(きっと)いひ付て被下(くだされ)」
・好い面の皮(いいつらのかわ) とんだ恥曝し。良い迷惑。再三再四悪い目に逢って、馬鹿馬鹿しくなるようだ。不幸や失敗を自嘲して、また、不幸な相手に同情したり、嘲ったりするときに使う。 用例:人情・春色辰巳園−初「手めへの自由にされたらいいつらの皮だ」 用例の出典:春色辰巳園(しゅんしょくたつみのその) 人情本。4編12冊。為永春水作。挿絵は歌川国直。天保5(1834)〜6年刊。「春色梅児誉美」の後続作品。
・好い仲(いいなか) 親密な間柄。また、相思相愛の男女の仲。 類:●恋愛関係 例:「好い仲になる」
・許婚(いいなずけ) 1.結婚の約束をした相手。 類:●婚約者●フィアンセ 2.双方の親同士の合意で、幼いうちから子供の結婚を約束しておくこと。また、その間柄。 用例:浮・好色二代男−四「七明年なる親共云名付して」 ★動詞「言い名付く」の連用形から<大辞林(三)> ★かつて日本では、女性は名前を公にしないのが普通であった。婚儀が整った折、夫となる男子が相手を呼ぶときの名前=「言い名」を付けたことによる。
・言い成り(いいなり) 言う通り。言うが儘。言う成り。 例:「親の言いなり」
・言い含める(いいふくめる) 懇切丁寧に話して聞かせ、その旨を覚らせる。説明して納得させる。良く言い聞かせる。 用例:今昔−二七・一五「此の女の童に、此の由を云ひ含て」
・言い旧す(いいふるす) 珍しいと感じなくなるくらい何度も口に出す。陳腐の説となる。 用例:蜻蛉−中「いひふるしたるかひもありけり」
・言い紛らす(いいまぎらす) 論点をぼかしたり、話題を反らしたりして、誤魔化してしまう。また、嘘を言って誤魔化す。言い紛らわす。 類:●言いはぐらかす●話をぼかす●有耶無耶にする 用例:浄・神霊矢口渡−三「箱根へ湯治に参る者と、云い紛らして」 用例の出典:神霊矢口渡(しんれいやぐちのわたし) 浄瑠璃。時代物。5段。福内鬼外(平賀源内)。明和7年(1770)初演。「太平記」に拠り、新田義興が武蔵国矢口の渡で討たれたあと、義興の弟義岑や遺臣たちの、新田家再興までの苦心を、義興をまつる新田明神の縁起に結びつけて脚色。江戸浄瑠璃の代表作。
・好い迷惑(いいめいわく) 自分に直接関係のないことなのに迷惑を受ける。 例:「私こそいい迷惑だ」 ★「いい」は反語的表現<国語大辞典(小)>
・言い寄る(いいよる) 異性に話し掛けたり手紙を出したりして近付く。口説く。求愛する。 類:●モーションを掛ける 用例:源氏−帚木「むすめども多かりと聞き給へて、はかなきついでにいひよりて」
・依依恋恋(いいれんれん) 恋い慕うあまり離れるに忍びない様子。 類:●依依 用例:読・桜姫全伝曙草紙−二「依々恋々として、轟坊にぞ帰りける」 用例の出典:桜姫全伝曙草紙(さくらひめぜんでんあけぼのそうし) 読本。5巻。山東京伝。歌川豊国挿絵。文化2年(1805)刊。丹波桑田の鷲尾家のお家騒動に絡む復讐談を骨子とし、清玄桜姫の伝承を導入し、因果談的趣向をあわせた伝奇小説。「曙草紙」。