−いき(た)(iki4)−
・行き倒れ(いきだおれ・ゆきだおれ) 病気、寒さ、飢えなどのため、路上で倒れること。または、倒れて死ぬこと。また、その人。 類:●野垂れ死に
・生きた化石(いきたかせき) シーラカンス、蘇鉄(そてつ)、公孫樹(いちょう)など、絶滅を免れて古代から生き残っている生物・植物。比喩的に、時代遅れの人や流行に疎い人のことを指す。 類:●シーラカンス●時代の遺物
・生きた心もせぬ(いきたこころもせぬ)[=心地もしない] 非常に危うい状況に置かれて、生きているような気がしない。
・生きた空がない(いきたそらがない)[=生きている〜] 恐ろしさ、悲しさなどがあまりに強くて、生きている気持ちがしない。 類:●生きた心地もしない
・行き違い(いきちがい・ゆきちがい) 1.擦れ違うこと。行き交うこと。 類:●道交(みちか)い 2.訪(たず)ねて行ったのに会えないこと。入れ違いに出掛けていて会い損(そこ)なうこと。 類:●行き違え 例:「手紙が行き違いになった」 3.ものごとがちぐはぐになること。噛み合わないこと。手筈(てばず)が狂うこと。 類:●行き違え 4.どこかへ出掛ける時、それが忌(い)むべき方角に当たっている場合、前夜に別の方角へ行って泊まり、改めて目的の場所へ行くこと。平安頃の風習であった。 類:●方違(かたたが)え
・生き血を絞る(いきちをしぼる)[=吸う・啜(すす)る] 冷酷な手段で絞り取るようにして自分の利益を得ること。 類:●生き血を吸う●生き血をすする●紅血を絞る
・息杖を立てる(いきづえをたてる) 駕籠掻きが客に酒代を強請(ねだ)るとき、駕籠を止め、息杖を突いて苦しそうな振りをするところから、酒代や金銭を強請る。
・行き付け(いきつけ) 行き慣れていること。また、その場所。 同:●ゆきつけ 例:「行きつけの床屋」
・行き詰まる(いきづまる) ものごとが巧く進まないで、どうにもならない状態になる。また、ものごとの極限に達する。ゆきあたる。ゆきづまる。 用例:浄・凱陣八島−四「あらけなくとがめられ、べんけいほうど行つまり」 類:●二進(にっち)も三進(さっち)も行かない●暗礁(あんしょう)に乗り上げる●進退これ谷(きわ)まる 用例の出典:凱陣八島(がいじんやしま) 貞享2年(1685年)。近松門左衛門(井原西鶴という説もある)の作。・・・詳細調査中。
・生きて海月の骨いためず(いきてくらげのほねいためず) 「海月(水母)の骨」は、ある筈がないものや珍しいものの喩え。長生きしていれば、滅多にはない良いことに巡り合うことができる。
・生きて五鼎に食わずんば死して五鼎に烹られん(いきてごていにくわずんばししてごていににられん) 一生涯に五つの鼎(かなえ)に盛った五種のご馳走を供えて食べるほどに立身出世できなければ、むしろ大罪を犯して五鼎の中で煮られて死んだ方が増しだ。 出典:「史記−主父偃伝」「丈夫生不五鼎食、死即五鼎烹耳」
・生きての名聞、死しての訴え(いきてのめいぶん、ししてのうったえ)[=生きての望み〜]・[=死しての満足] 自分が受けた評価は、この世では名誉であり、あの世では閻魔(えんま)に晴れの報告ができるほど光栄なことだ。
・意気天を衝く(いきてんをつく) 意気込みが、天を衝くほど、非常に高まった様子。
・意気投合する(いきとうごうする) お互いの心と心が、ぴったり一致すること。 類:●意気相投ず
・生きとし生けるもの(いきとしいけるもの)[=とせ生けるもの] この世に生きている全ての生物。 用例:今昔−仮名序「いきとしいけるもの、いづれか歌をよまざりける」 ★ト・シともに強めの助詞<広辞苑第四版(岩)>
・行き届く(いきとどく) 1.ある所、または、ある程度に至り付く。 類:●到達する●及ぶ●行(ゆ)き届く 用例:浮・元禄太平記−五「女郎の総数は、京・大坂を一つにからげても、中々ゆきとどく事ではない」 2.遍(あまね)く行き渡る。万事に抜け目なくする。隅々まで気が付く。用意周到である。 類:●行(ゆ)き届く 例:「行き届いた心遣い」 用例:虎寛本狂言・素襖落「何から何までも行届いた、あの様な御方が」