−いん(in)−
・隠逸の花(いんいつのはな) 菊のこと。 出典:周敦頤の「愛蓮説」 「菊、花之隠逸者也」とある。 人物:周敦頤(しゅうとんい) 中国北宋の儒学者。1017〜73。字は茂叔。居所の名をとって濂渓先生と呼ばれた。唐代の経典の注釈にかわり、仏教や道教の哲理を応用した儒教哲学を創始した。著に「太極図説」「周子通書」がある。
・陰影に富む(いんえいにとむ) 「陰影」は、光の当たり具合によってできる暗い部分のこと。その暗い部分が非常に多様で変化に富んでいること。平凡でない性格や、深みある表現を誉めて言う。 類:●趣が深い
・因果応報(いんがおうほう) 仏教用語。善悪の因縁に応じて吉凶禍福の果報を受けること。善因には富楽などの善果を受け、悪因には貧苦などの悪果を受けること。 類:●因果報応●身から出た錆●自業自得●生得の報い 出典:「法華経」
・因果覿面(いんがてきめん) 悪事の報いがすぐさま眼前に現れること。 類:●因果は皿の縁(ふち)●悪の報いは針の先●因果歴然●天罰覿面
・因果の小車(いんがのおぐるま) 善悪を行なえば、相応の果報(かほう)が、小さな車輪がくるくる回るように早く巡ってくるものである。多く、悪い行ないに対しては、悪い報いが直ぐに巡ってくるという意味で言う。 類:●因果は車の輪の如し
・因果は車の輪の如し(いんがはくるまのわのごとし)[=巡(めぐ)る車の輪] 因果は車輪が回転するように、確実に巡り来るものである。または、因果は迅速に巡ってくるものである。 類:●因果の小車
・因果は皿の縁(いんがはさらのふち)[=端(はた)] 因果の循環は皿の縁を一周するほど速いということ。 類:●悪の報いは針の先●因果歴然●天罰覿面●因果覿面
・因果を含める(いんがをふくめる) 原因結果の道理を言い聞かせるという意味から転じて、事態の止むを得ない状況を説明して諦(あきら)めさせる。
・殷鑑遠からず(いんかんとおからず)
・慇懃無礼(いんぎんぶれい) 1.丁寧(ていねい)過ぎて、却(かえ)って無礼と受け止められること。2.表面ではとても丁寧だが、実は甚(はなは)だ尊大であること。 出典・人物:楊巨源(ようきょげん) 中唐の詩人、770〜?。字は景山。蒲州(一説に河中)の人。貞元5年(789)に進士し、太常博士、国子司業、礼部郎中など歴任した。比較的順調な官僚生活を送り、元槙や白居易とも付き合いがあった。声律に力を入れて詩を作ったという。
・因業親父(いんごうおやじ) 頑固で思い遣りのない父親。片意地を張る父親。
・隠公左伝(いんこうさでん) 春秋左氏伝を読む決心をしながら、最初の「隠公の条」で止(や)めてしまうこと。勉学の長続きしないことの喩え。 類:●桐壺源氏
・隠者上戸(いんじゃじょうご) 酔えば酔うほど気が塞いでゆく癖のある酒飲み。また、その癖。
・因循姑息(いんじゅんこそく) 1.古い習慣や習俗によりしたがって、改めず一時逃れをすること。2.決断力に欠けていて、ぐずぐずすること。
・蚓操(いんそう) 蚯蚓(みみず)の生き方のような、小さな世界での節操。蚯蚓が、土を食い水を飲むだけで、それ以上のものを求めないように、自分の分際(ぶんざい)や小さな生活の枠に篭もり、そこに甘んじること。 ★孟子が、廉潔(れんけつ)の士として評判の高い陳仲子(ちんちゅうし)の態度を嘲(あざけ)って言ったもの。 出典:「孟子−滕文公・下」「若仲子者、蚓而後充其操者也」<仲子のごとき者は、蚓にして後その操を充たす者なり>
・いんちき 1.博打(ばくち)で、不正な手段によって相手の金品を騙(だま)し取ること。また、その人。 類:●如何様(いかさま) 2.一般に、本物でないもの。誤魔化しがあるもの。また、無責任であること。 例:「どうもいんちき臭い」 ★語源未詳。昭和初期に一般語化したという<国語大辞典(小)> ★安斎随筆、印地鎗の図説に見える、遠江国小笠郡の方言で、餌を用いない釣針のことをいうインチキ(「餌え無き鉤ち」の転)からか<広辞苑第四版(岩)> ★「ちき」は、「とんちき」の「ちき」と同義の造語成分。「いん」の「い」は、「いかさま」の意という<新明解国語辞典(三)>
・インディアンサマー(いんでぃあんさまあ) 1.冬の初めの、暖かい穏やかな気候。アメリカ北部などで、晩秋の南西の風によって起こる、乾燥して霞(かすみ)の掛かった暖かい日和(ひより)。数日間続く。 類:●小春日和 ★1778年頃からアメリカンインディアンの間で使い始められたという。 2.年の終わりが近付いた頃の上天気を人生に準(なぞら)えて、生涯の晩年の落ち着いた幸福な時期の喩え。
・引導を渡す(いんどうをわたす) 1.「引導」は、仏教用語で、死人を葬る前に、迷わずに悟りが開けるように、棺の前で、僧が唱える経文や法語のこと。引導を説いて聞かせる。2.転じて、相手に教え諭(さと)すように言うこと。また、最終的な宣告をすること。
・陰徳あれば必ず陽報あり(いんとくあればかならずようほうあり) 人知れず善いことを行なえば、後日必ず善い報(むく)いを受ける。 類:●陰徳の陽報 出典:「淮南子−人間訓」「夫有陰徳者、必有陽報。有陰行者、必有昭名」
・陰に籠もる(いんにこもる) 1.表に現われず心の中に籠もっている。 例:「陰に籠もった不平」 2.陰気な様子。 例:「陰に籠もった声」
・員に備わる(いんにそなわる) 集団の中に入る。一員となる。 例:「私などは員に備わるにすぎない」 ★限定の語を伴って、その職や地位などに加わっているだけで実際には役に立たないことや実権のないことをいう場合が多い<国語大辞典(小)>
・陰に閉ず(いんにとず) 1.物の内側に篭もる。 反:■陽に開く 2.全くの静寂となる。
・陰に陽に(いんにように) あるときは密かに、また、あるときは公然と。 類:●陰になり日向になり 例:「陰に陽に援助する」
・因縁を付ける(いんねんをつける) 無理な理屈を付けて困らせる。 類:●言い掛かりを付ける
・韻を踏む(いんをふむ) 詩歌を作るときの技法で、同じ韻の文字を句の末に用いる。 類:●韻を押す●押韻(おういん)
・印を結ぶ(いんをむすぶ) 1.仏教用語。仏像の手指の示す特定な形を形作ること。また、仏菩薩などの悟りの内容を、真言行者が描いたり手指を組んだりして表わすこと。2.芝居で、幻術使いなどが術を使って姿を消すとき、1を行なうところから、姿を消す。逃げる。 類:●韻を作る ★文政・天保頃の流行語<国語大辞典(小)>