−いな(ina)−
居直る(いなおる) 1.座り直す。居住まいを正す。 用例:枕−222「扇してかくし、ゐなほり、ひさしく待つもくるしく」 2.急に態度を変える。多く、自分の立場が不利になったり、欠点や弱点を突かれたりしたときなど、相手に対して逆に強い態度や威(おど)すような態度に出る。 類:●ケツを捲る●尻を捲る 用例:愚管抄−三「心うく、くちをしきことに侍るものかなと申させ給ひける時、ゐなをらせ給ひて」 3.仮りの地位から正式の地位に改まる。 例:「番頭が主人に居直る」 4.決まった場所に身を落ち着ける。 用例:日葡辞書「イナヲル」
田舎学問(いなかがくもん) 時勢の進歩に遅れた古くさい学問。
田舎者(いなかもの) 1.田舎の人。田舎育ちの人。田舎から出てきた人。 類:●田舎人●田夫●いなかもん 2.粗野で教養のない人を嘲って言う言葉。または、自分自身のことを遜(へりくだ)って言う言葉。 類:●田夫野人●いなかもん ★「いなか」は歴史的仮名遣いだと「ゐなか」で、その語源は「田居中(たゐなか)」で、はないかと言われている。 ★「田舎」は、当て字で、農地と居宅を意味する中国語を借りたもの。
田舎者の国自慢(いなかもののくにじまん) 田舎者は、よその土地のことをあまり見たことがないので、自分の生まれた故郷が最高だと自慢しがちだということ。 類:●夜郎自大●井の中の蛙●遼東の豕(いのこ)
鯔背(いなせ) 粋(いき)で男気があり、威勢が良い若者の様子。また、その容姿や気風(きっぷ)。若い男性に言う。 用例:清元・忍岡恋曲者「まだ新宅の見世前を、そそるいなせの地廻り衆」 ★一説に、江戸日本橋魚河岸(うおがし)の若者が髪を「鯔背銀杏」に結っていたところから<広辞苑第四版(岩)> 参考:鯔背銀杏(いなせいちょう) 江戸時代、日本橋の魚河岸の若者の結った髷(まげ)で、鯔(いな=ボラ)の背に似た形のもの。
稲荷の鳥居を越える(いなりのとりいをこえる) 1.狐が年功を経るという意味で、年功を経ること。長年経験を積むこと。 俗説:狐は稲荷の鳥居を多く越すほど格が上がるという。 2.年を取って狡(ずる)くなり人をよく騙(だま)す。