−いさ(isa)−
委細構わず(いさいかまわず) 細かいことに拘(こだわ)らず。一切気にせず。事情の如何(いかん)に関わらず。 用例:伎・傾情吾嬬鑑−序幕「舟へ乗ったら、委細構はず乗出してくれろ」 用例の出典:傾情吾嬬鑑(けいせいあずまかがみ) 歌舞伎。6幕。初世桜田治助。天明8年(1788)江戸中村座初演。白井権八・幡随院長兵衛に亀山のあだ討ちをからませて脚色。権八と長兵衛の出合いが見せ場で「鈴ケ森」の原型をなす。
委細承知之助(いさいしょうちのすけ) 全て承知したという意味の「委細承知」を人名に準(なぞら)えて言った言葉。転じて、早呑込みをする人。または何事につけ知ったか振りをする人。 類:●承知之助
異彩を放つ(いさいをはなつ) 1.普通とは異なった彩りや光を出す様子。 類:●紅一点 2.才能、技量などが他と懸け離れて、際立(きわだ)って優れている。 類:●紅一点
諍い果てての棒乳切り木(いさかいはててのぼうちぎりぎ)[=過ぎての〜] 喧嘩が終わってから棒を持ち出すという意味で、時機に遅れて何の役にも立たないことの喩え。 類:●泥棒を見て縄を綯う ★「ちぎり木」は中央をやや細くけずった棒<国語大辞典(小)>
いざ帰りなん(いざかえりなん) さあ、帰ろう。 出典:陶淵明の詩「帰去来辞」の冒頭、「帰去来兮、田園将蕪、胡不帰」 出典:帰去来辞(ききょらいのじ) 中国の辞。晋の陶淵明。406年頃成立。全編240余字に韻を押し、官を辞して帰郷する決意と喜び、自然を友とする田園生活の自由な心境がうたわれている。
いざ鎌倉(いざかまくら) さあ一大事が起こったという意味。鎌倉時代、大事件が起こると諸国の武士が鎌倉幕府に非常召集されたことから言った言葉。 ★謡曲「鉢の木」で、佐野源左衛門常世が、宿を貸した回国の僧、実は執権北条時頼に語る言葉が出典とされる<国語大辞典(小)> 出典:鉢の木(はちのき) 能楽。四番目物。自鬢(じびん)物。各流。作者不明。零落の身の佐野源左衛門常世は、寒夜に秘蔵の盆栽の枝を切り、薪木として旅の僧(実は北条時頼)を持て成した。そのことがあって、後に、本領安堵と鉢の木に因(ちな)む三箇庄を与えられた。
潔しとしない(いさぎよしとしない) 自分の信念に照らして、好ましいと思わない。不満であり、受け入れない。
砂長じて巌となる(いさごちょうじていわおとなる) 1.砂が成長して大きな岩となる程の長い期間のことを喩えて言った言葉。人の命や権勢が長く続くことを祝って言う言葉。2.小さくて取るに足りないものでも、たくさん集まれば大きなもの、価値あるものとなる。 類:●人跡繁ければ山も窪む●釣瓶縄井桁を断つ
砂の波(いさごのなみ) この世。現世。 ★娑婆(しゃば)の省略字「沙波」の訓読み<国語大辞典(小)>
いざ知らず(いざしらず) 一つの事柄を挙げて、それについてはどうだか分からないがと前置きして、後述するもう一つの事柄を強調する言い回し。 用例:談・古朽木−二「内証向はいざしらず福々敷ぞ見えし」 ★正しくは「いさ知らず」。副詞「いさ」と感動詞「いざ」との混同<国語大辞典(小)>
鯨寄る浦虎伏す野辺(いさなよるほとらのふすのべ) 鯨の泳ぎ寄る浦や虎の伏している野辺という意味から、遠い未開の土地のことを指す言葉。
勇み足(いさみあし) 1.相撲で、相手を土俵際に追い詰めながら、勢い余って自分から土俵の外へ足を踏み出して負けること。2.ものごとを行なう場合、調子に乗って、目的を外れたり仕損じたりすること。 例:「逸(はや)った検察官の勇み足だった」
勇みを付ける(いさみをつける) 勇気を付けてやる。発憤させる。 類:●鼓舞(こぶ)する