−いち(か)(iti2)−−
・市が栄える(いちがさかえる) 物語や昔話などの終わりに言う決まり文句で、「めでたし、めでたし」と同意。 ★「栄えた」という形で用いられることが多い<国語大辞典(小)>
・一河の流れを汲む(いちがのながれをくむ) 同じ川の流れを共に汲み合うという意味。そのようなちょっとした人間関係もみな前世からの因縁だということ。 類:●一樹の陰 用例:義経記−二「一がのながれをくむも皆これ他生の契(ちぎり)なり」
・一か八か(いちかばち)[=六か] 1.運を天に任せて思い切ってやってみる。2.二つのうちのどちらであるか考える。 用例:浄・嵯峨天皇甘露雨−二「もし青馬の腹へなど、生れては行れぬか、但し釈迦になられたか、いちかばちかが知りたい」 類:●伸るか反るか●一か六か●出たとこ勝負●乾坤一擲●一擲乾坤に賭(と)す●千番に一番の兼ね合い ●Sink
or swim. (溺れるか泳ぐか)<「英⇔日」対照・名言ことわざ辞典> ★カルタ賭博から出た語<国語大辞典(小)> ★「一か八か釈迦十か」などと言ったという。 ★丁半賭博の「丁(一の字からできた)」と「半(八の字からできた)」とによるとも言う。 用例の出典:嵯峨天皇甘露雨(さがてんのうかんろあめ) 浄瑠璃。時代物。近松門左衛門。正徳4年(1714)。人間の力や意志を超えて因果の力が働く、自覚しないままの悲劇を描く<近松門左衛門でござーい!>
・一から十まで(いちからじゅうまで) 何から何まで。全部。 類:●一部始終
・一から出直す(いちからでなおす)・やり直す 一旦ものごとの最初に立ち戻って、改めてやり直すこと。習得した技芸などが、満足できるものでなかった場合などに言う。 ★「出直す」は、一度引き返し、改めて出掛けること。 ★「一」は、「ものごとの最初」の意味。
・一議に及ばず(いちぎにおよばず) 少しの議論もしない。異論を述べることもない。また、問題にしない。
・一牛鳴地(いちぎゅうめいち・いちごみょうち) インドの尺度で、一匹の牛の鳴き声の聞こえるほどの近い距離ということ。 類:●一衣帯水
・一金二男(いちきんになん) 遊郭などで女を得るには、金力が第一で、男振りはその次であるということ。
・一隅の管見(いちぐうのかんけん) 物のほんの一部しか見ない狭い考え方や見解。
・一隅を挙げて三隅を反そうず(いちぐうをあげてさんぐうをかえそうず) 一部分だけを指摘して、その他のことを自覚させる。 出典:「論語−述而」「挙一隅不以三隅反、則不復也」
・一隅を照らす(いちぐうをてらす) 各人が自分に与えられた分野で努力する、それが、ひいては天下を照らすこととなる、ということ。 参考:現在では、「照于一隅」ではなく、「照千一隅」とする説が主流。「照千里、守一隅」を縮めて引用したものだとし、「一隅を守り、千里を照らす」(一隅を守っては千里を照らす者こそが、国の宝である)と解釈される。 出典:山家学生式(さんけがくしょうしき) 上奏文。最澄(伝教大師)。「天台法華宗年分学生式(六条式)」、「勧奨天台宗年分学生式(八条式)」、「天台法華宗年分度者回小向大式(四条式)」の総称。それぞれ、弘仁9年(818)5月、8月、翌年3月成立。南都旧仏教に対し天台宗の修行規定を示し、大乗戒による一宗独立を意図して桓武天皇に上程したもの。
・一工面二働き(いちくめんにはらたき) 大切なことは、第一に工夫、第二に勤勉である。
・一言一行(いちげんいっこう) 一つの言葉と一つの行ない。一つ一つの言動。また、ちょっとした言動。
・一見着(いちげんぎ) 婿と舅(しゅうと)の初対面の時に双方が着る衣服のこと。転じて、晴れ着。
・一見客(いちげんきゃく) 馴染みでない、初めての客。 類:●初会(しょかい)の客 反:■馴染み客 ★上方の遊里で初会の客をいう<国語大辞典(小)>
・一言居士(いちげんこじ) 何事についても、自分の意見を言わないと、気が済まない人。 ★「一言抉(こじ)る」を人名になぞらえたもの<国語大辞典(小)>
・一言以ってこれを蔽う(いちげんもってこれをおおう・いちごん〜)
・一期一会(いちごいちえ) 一生に一度会うこと。また、一生に一度限りであること。茶道で、茶会では常に誠を尽くすべきだという考え方。 出典:安土桃山時代の茶人、山上宗二の著「山上宗二記−茶湯者覚悟十体」「一期に一度の会」(茶会に臨む際には、その機会は一生に一度のものと心得て、主客ともに互いに誠意を尽くすべし)
・一伍一什(いちごいちじゅう) 一から十まで。始めから終わりまで。 類:●一部始終
・一合取っても武士は武士(いちごうとってもぶしはぶし) どんなに僅かな禄しか取っていなくとも、武士には武士の誇りと本分があり、町人、農民などとは違うということ。
・一合飯(いちごうめし) 婦女の一度の食事。 ★貞享・元禄期の武家の扶持米は下女一食に一合であったところから<国語大辞典(小)>
・一期栄えた(いちごさかえた) 一生涯栄えたという意味で、昔話などの結末の決まり文句。「めでたし、めでたし」などと同意。 類:●市(いち)が栄える
・一石日和(いちこくびより) 定まらない天候。 ★筑紫で「降ろうごと(=如ク)降るまいごと」と言う「ごと」を「五斗」に当てて、二つ合わせると一石になることからという<大辞林(三)>
・一期の不覚(いちごのふかく) 生涯における大失敗という意味で、取り返しの付かない大きな失敗。 類:●生涯の不覚●一生に一度の大失敗
・一期の浮沈(いちごのふちん) 一生の大事。一生の浮き沈みを左右する大事な時。運命の分かれ目。 類:●生死を賭けた瀬戸際
・一期末代(いちごまつだい) 一人の命は一生涯だが、未来は永劫、この世はいついつまでも続く。
・一ころ(いちころ) 容易く勝ち、または、負けること。極めて簡単であるということ。 例:「いちころでやっつける」 ★「一度でころりと倒れる」の意<国語大辞典(小)>
・一言一句(いちごんいっく) ちょっとした言葉。 類:●一言半句●片言隻句(へんげんせっく) ★「いちごん」を強調した語で、多く否定文に用いる<国語大辞典(小)>
・一言既に出ずれば駟馬も追い難し(いちごんすでにいずればしばもおいがたし) 一度口から出た言葉は駟馬(四頭立ての馬車)で追っても取り返せないということの喩え。言葉は慎みなさいという戒め。 出典:「論語−顔淵」「駟不及舌」
・一言半句(いちごんはんく) ちょっとしたことば。 用例:早雲寺殿廿一箇条−一四条「一言半句にても虚言を申べからず」 用例の出典:早雲寺殿廿一箇条(そううんじどのにじゅういっかじょう) 相模国小田原を本拠とした戦国大名北条早雲(伊勢長氏)の作と伝える家訓。江戸初期には既に早雲のものと伝えられていた事は確実。神仏の崇敬、日常の起居を規則正しくすること、刀剣衣装の心得、出仕の時の注意、読書乗馬のすすめ、友人を選ぶべき事など、武士の日常生活の具体的な注意事項を列挙したもの。ただし、これが北条氏または早雲のものであることは、この家訓自体からは分からない。
・一言芳恩(いちごんほうおん) 一言を賜わったことを恩に感じて主(あるじ)と仰ぎ頼むこと。また、その人。 類:●一言千金の重み
・一言もない(いちごんもない) 一言も言わない。また、一言も弁解できない。 用例:黄・文武二道万石通−下「なんときめられても、一言もない」 類:●ぐうの音も出ない