−いち(な)(iti5)−
・一難去ってまた一難(いちなんさってまたいちなん)
・一に看病二に薬(いちにかんびょうににくすり) 病気の治療には、薬の効き目よりも、手厚い看護や心の篭もった世話の方が重要である。 類:●一に養生二に介抱●薬より養生
・市に帰するが如し(いちにきするがごとし) 市に人が集まるように、徳のある者に人は慕い集まる。 出典:「孟子−梁恵王・下」「仁人也。不可失也。従之者如帰市也」
・一日一善(いちにちいちぜん) 些細なことでも良いから、毎日何か一つ善い行ないをすること。また、そういう心掛け。
・一日これを暴して十日これを寒す(いちにちこれをさらしてとおかこれをかんす) 一日陽光に曝して暖め、十日間冷やす意から、勤勉に努めることが少なく、怠けることが多いということ。また、一方で努力して、一方で怠けること。 類:●一暴十寒 出典:「孟子−告子・上」「雖有天下易生之物也。一日暴之、十日寒之、未有能生者也」
・一日猿楽に鼻を欠く(いちにちさるがくにはなをかく) 得る所が少なく、失うことの多い。
・一日三秋(いちにちさんしゅう・いちじつ〜) 一日が非常に長く感じられること。思慕の情が甚だしく、待ち焦がれる気持ちにいう。 類:●一日千秋 出典:「詩経−王風・采葛」「彼采蕭兮。一日不見如三秋兮」
・一日千秋(いちにちせんしゅう・いちじつ〜) 「千秋」は千年のこと。一日が非常に長く感じられること。とても待ち遠しいこと。 類:●一日三秋●一刻千秋
・一日の計は朝にあり、一年の計は元旦にあり(いちにちのけいはあさにあり、いちねんのけいはがんたんにあり・はかりごとはあしたにあり〜)[=一年の計は春にあり] 一日の計画は朝早いうちに立てるべきであり、一年の計画は年の初めの元日に立てるべきである。ものごとは最初が肝心であるということ。 類:●一年の計は春にあり 出典:「風流志道軒伝−2」「一日の計(はかりごと)は朝にあり、一年の計は元日にあり」 源典:「梁元帝纂要」「一年之計在于春、一日之計在于晨」 出典:梁元帝纂要(りょうげんていさんよう) 中国の史書。梁の元帝統治(在位552〜554年)中のできごとの、要点を抜き出した書。・・・詳細調査中。
・一日の長(いちにちのちょう・いちじつの〜) 他人より少しだけ年上であること。転じて、経験や知識、技能などが他の人より少しだけ優れていること。 出典:「論語−先進」「以吾一日長乎爾、亟吾以也」
・市に虎を放つ(いちにとらをはなつ) 多くの人が集まる市場のような場所に虎を放つという事で、危険極まりない行為をたとえていう。
・市に虎あり(いちにとらあり)[=三虎を致す] 事実無根の噂や風説も、言う人が多ければ、ついに信ずるようになる。また、存在しないことや偽りなどが、実(まこと)しやかに言われること。 故事:「戦国策−魏策」 一人、または二人の人間が、町に虎が出ると言っても信じないが、三人まで同じことをいうと、事実は虎が出なくても信じられるようになる。
・一二に及ばず(いちににおよばず) 一つ何々二つ何々と、細かく分けて触れないということから、詳しく書かない。あれこれ言わない。多く手紙の結びなどに用いた。 類:●不一(ふいつ)
・一にも二にも(いちにもににも) 他のことを考えないで、先ずそのことを頭に置く。何を置いても先ず。 例:「一にも練習、二にも練習」 ★「一にも」と「二にも」の間に語句がはいる場合もある<国語大辞典(小)>
・一に養生二に介抱(いちにようじょうににかいほう) 病気や怪我(けが)を治すときは、周囲の手当てや介抱も大切だが、むしろ静養するのが一番である。 類:●薬より養生●一に看病二に薬
・一二を争う(いちにをあらそう) 多数の中で、一位二位を争う。また、最も優れているか、そうでなくても三位以下には下がらないということ。
・一人虚を伝うれば万人実を伝う(いちにんきょをつたうればばんにんじつをつたう) 一人が嘘を言い触らすと、これを聞いた大勢の人が事実として言い触らすものだ。 類:●一犬形に吠ゆれば百犬声に吠ゆ
・一人当千(いちにんとうせん) 一人の力で千人に匹敵できる力や勇気があること。 出典:「北史−唐[川/邑]」
・一人当百(いちにんとうひゃく) 一人で百人に匹敵するほどの力量であること。 類:●一騎当千●一人当千●一以って十に当たる 出典:「戦国策−韓策」
・一人前(いちにんまえ) 1.一人に振り当てられる分量。 類:●一人分 例:「上寿司を一人前ください」 2.成人であること。また、成人としての資格や能力があること。 例:「嫁を貰って一人前になる」「一人前の分別(ふんべつ)」 3.技能などが人並みの域に達すること。 例:「二人合わせて一人前」
・一念岩をも徹す(いちねんいわをもとおす)[=岩にも徹る] 強固な信念、至誠でことに当たれば、いかなることも成し遂げることができる。
・一念天に通ず(いちねんてんにつうず) 専心すれば、その心が天に通じて、いかなることでも成し遂げることができる。 類:●蟻の思いも天に登る●石に立つ矢●念力岩をも通す●一念岩をも通す
・一年の計は春にあり(いちねんのけいははるにあり・はかりごとは〜)[=元旦にあり・正月にあり・元日にあり] 一年の計画は年の初めの元日に立てるべきであり、一日の計画は朝早いうちに立てるべきである。ものごとは最初が肝心で、先ず計画を立ててから事に当たるべきだ。 出典@:「梁元帝纂要」「一年之計在于春、一日之計在于晨」 出典A:「風流志道軒伝−2」「一日の計(はかりごと)は朝にあり、一年の計は元日にあり」
・一年麦は馬鹿の薬(いちねんむぎはばかのくすり) なんにもならぬことの喩え。 ★「一年麦」は、年が明けてから蒔(ま)く麦のこと。
・一の腕(いちのうで) 肩から肱(ひじ)までの間の腕。 類:●二の腕
・一の裏は六(いちのうらはろく) 善と悪は巡り巡る。 ★さいころの目の「一」の裏は「六」であることから<国語大辞典(小)>
・一のかしら(いちのかしら) 第一番。 類:●いの一番 用例:虎寛本狂言・釣狐「殺生を一のかしらに戒めておかれた」
・一の筆(いちのふで) 1.最初に筆を入れること。最初に記名すること。転じて、最初。第一。 類:●筆頭。 用例:浮・御前義経記−二「女郎買ひの一の筆」 2.軍陣で一番首を取ったことを首帳の最初にしるすこと。第一の功労者。 用例:平家−九「其日の高名の一の筆にぞ付きける」 3.年頭の書き初め。 用例の出典:御前義経記(ごぜんぎけいき) 江戸時代の浮世草子。8巻8冊。西沢一風。元禄13年(1700)刊。「義経記」、謡曲などの義経伝説を近世の好色生活に翻案する。主人公元九郎今義が母と妹とを捜し求めて、さまざまな色道修行を積みながら、諸国の遊里を遍歴する物語。浮世草子が西鶴風のコントから八文字屋風ロマンへ展開する過渡期の作品として注目される。
・一の物(いちのもの)・者(もの) 1.優れた物、または、人。2.最も気に入っている物、または人。3.楽所(がくそ)の職階の一つ。勾当(こうとう)の別称で、左楽と右楽にそれぞれ一人ずつ定めた最高の技芸者。今の宮内庁楽部の楽長に当たる。