−いち(は)(iti6)−
一暴十寒(いちばくじっかん) 一日陽光に曝して暖め、十日間冷やすという意味から、勤勉に努めることが少なく、怠(なま)けることが多いということ。また、一方で努力して、一方で怠けること。 類:●一日これを暴(さら)して十日(じゅうじつ)これを寒(ひ)やす●一日暖めて十日寒す 出典:「孟子−告子・上」「雖有天下易生之物也。一日暴之、十日寒之、未有能生者也」
一番乗り(いちばんのり) 1.戦(いくさ)で、第一番に敵陣や敵城に攻め込むこと。また、その人。 類:●一番駆け●先駆け 2.その場所へ最初に到着すること。また、その人。 例:「海上に一番乗りをする」
一姫二太郎(いちひめにたろう) 子を持つには、最初は女で次は男が良いということ。 ★跡継ぎの男児を望んでいたのに女児が生まれたとき、がっかりした親を慰める意味もあった。 ★女は一人で男は二人が良いという解釈もある<国語辞典(旺)>
一病息災(いちびょうそくさい) 無病で健康な人よりも、一つぐらい病気のある人の方が健康に気を配り、却(かえ)って長生きできる。
一分一厘(いちぶいちりん) 後ろに、打消しを伴なって、ほんの僅かも。少しも。 例:「一分一厘、狂いがない」「一分一厘、違わない」
一富士二鷹三茄子(いちふじにたかさんなすび) 夢に見ると縁起が良いとされているものを順にならべた文句。多く初夢にいう。 類:●一富士 ★語源には諸説あり、以下が有力。「笈埃随筆・俚言集覧・嬉遊笑覧」など。 本来は駿河の国の諺で、駿河の国の名物を順に挙げたもの。徳川家康が言ったとする説〔甲子夜話〕もある。 参考:「増補俚言集覧−上」「瑞夢の次第を云一説に駿河国の名物を云といへり一富士二鷹三茄子四扇五多波姑(たばこ)六座頭」 出典@:笈埃随筆(きゅうあいずいひつ) 諸国見聞記。百井塘雨。文化元年(1804)頃。12巻。安永初年(1772)〜天明末(1789ごろ)の旅行随筆。 出典A:甲子夜話(かっしやわ) 随筆集。平戸藩の藩主、松浦静山(松浦清)。文政4年(1821)〜天保12年(1841)。278巻。当時の風俗・社会・自然現象など、多岐に亘(わた)って記されたもの。霜月(しもつき)の甲子(きのえね)の夜に、突然書き始めたので『甲子夜話』と名付けた。
一部始終(いちぶしじゅう) 1.一部の書物の、始めから終わりまで。2.ものごとの始めから終わりまで。ものごとの詳細。ことの成り行き、顛末(てんまつ)。 類:●一伍一什(いちごいちじゅう) 用例:浄・曾根崎心中「一ぶしじうを聞てたも」 ★「一部」は、一冊全部、または一揃え全巻のこと。
市兵衛(いちべえ) 1.江戸浅草の市に集まる商人や客のこと。 類:●市客(いちきゃく) 2.桑の一品種。近世、芝居者の間で、桑の隠語としても用いられた。 ★元禄時代、佐藤市兵衛が初めて栽培したところからいう<国語大辞典(小)>
一別以来(いちべついらい) 別れてからこのかた。この前に会ってからこのかた。 類:●一別来 用例:浄・近江源氏先陣館−七「一別以来御意得ねど兄じゃ人にも御堅勝」
一望千里(いちぼうせんり) 一目で千里の遠くまで見渡せること。眺めが良く広々としている様子。
一木大廈の崩るるを支うる能わず(いちぼくたいかのくずるるをささうるあたわず) 「大廈」は大きな建物のこと。 大きな家が倒れるときは、一本の木で支えることなど到底無理である。大勢が傾きかけている時は、一人の力ではどうすることもできない。