−いち(ま)(iti7)−
一枚岩(いちまいいわ) 一枚の板のようになっている岩は大きくがっしりしているところから、国家や組織、団体などの結束が強固で、一つに良く纏まっていることを表わす。 類:●磐石(ばんじゃく)
一枚噛む(いちまいかむ) 一員として仲間に加わる。あることに、関わりがある。 類:●一役買う 例:「この件にはあのお方も一枚噛んでいるらしい」
一枚看板(いちまいかんばん) 1.上方(かみがた)の歌舞伎劇場の前に掲げる大きな飾り看板。外題(げだい)を勘亭流で大きく書き、その上部に主要な役者の絵姿を描き表わしたもの。江戸では大名題(おおなだい)といった。 類:●名題看板●外題看板 2.歌舞伎などの一座で、その中心となっている役者。転じて、多数の仲間のうちで、他に誇り得る中心人物。 例:「此の家の一枚看板」3.他に取り柄はないが、たった一つ他に誇り得るものがあること。また、そのもの。4.武家で、中間(ちゅうげん)や小者(こもの)などに与えた法被(はっぴ)を「かんばん」と呼んだところから、一枚の着物の他に、着替えがないこと。また、その一枚しかない着物。 類:●一張羅
一枚の紙にも表裏あり(いちまいのかみにもひょうりあり) 一枚の紙にも表と裏があるように、ちょっと見た感じでは単純なようでも、実際は思いの外(ほか)複雑なものである。人の心は見掛けだけでは分からないものだということ。 類:●裏には裏がある
市松でないが腹で泣け(いちまでないがはらでなけ) 心の中でだけ泣いて、泣き顔を人に見せるな。 ★「いちま」は「いちまつ」の変化。市松人形は腹に泣く笛の仕掛けがあるところから<国語大辞典(小)>
一味同心(いちみどうしん) 同じ目的のために力を合わせ、心を一つにすること。また、その人々。 類:●一味徒党(ととう)●同志
一脈相通ずる(いちみゃくあいつうずる) 性質や考え方などが、ある程度類似したり、共通したりする。
一面の網(いちめんのもう) 仁政の喩え。転じて、法の執行、適用が苛酷でないこと。 故事:「呂氏春秋−孟冬紀・異用」 殷(いん)の湯王が、四面に網を張って鳥を捕えているのを見て、その三面の網を解かせ、一面の網に掛かるものだけを捕えさせ、仁政を施した。
一毛不抜(いちもうふばつ) 1本の毛さえ惜しむほどけちであること。利己主義であること。 出典:「孟子−尽心・上」「楊子取為我、抜一毛而利天下不為也」 ★楊朱という人は、自分の髪一本を抜けば天下が救われるという状況でも、そうしない。
一網打尽(いちもうだじん) 1.一度だけ網を打って多くの魚を取り尽くすこと。 出典:「宋史」・「十八史略−宋・仁宗」「一網打去盡矣」(一網に打ち去り尽くす) ★王拱辰(きょうしん)の言葉。 2.転じて、捕り物などで、一挙に一味の者を残らず捕えること。 反:■大山鳴動して鼠一匹
一目置く(いちもくおく) 囲碁で、黒が先に一目打って始めるところから、自分より優れている者に対して、一歩譲る。 類:●後塵(こうじん)を拝(はい)す●一歩を譲(ゆず)る
一目散(いちもくさん) 多く「に」を伴って、脇目も振らずに逃げる様子。
一目十行(いちもくじゅうぎょう) 一目で十行も読み下すこと。書物を速く読む力が、とても優れていること。
一目瞭然(いちもくりょうぜん) ものごとのありさまが、一目見ただけではっきりと分かる様子。
一も二もない(いちもにもない) 1.とやかく言うことない。意義がない。無条件に。 例:「一も二もなく承諾した」 ★副詞的に用いて、いやおうなしに、すぐさまの意にいう<国語大辞典(小)> 2.全てが駄目になる。 用例:人情・毬唄三人娘−五「高飛されちゃア一も二もねえから」 用例の出典:毬唄三人娘(まりうたさんにんむすめ) 人情本。松亭金水編、; 山々亭有人補綴。・・・詳細調査中。
一文惜しみの百失い(いちもんおしみのひゃくうしない)[=百損(ひゃくそん)・百知らず] 目先の僅(わず)かな金銭を惜しむばかりに、将来の大きな利益を取り損(そこ)なうこと。また、それに気付かないこと。
一文は無文の師(いちもんはむもんのし) たった一字でも知っていれば、文盲(もんもう)の者より優れているという意味で、自分より僅(わず)かでも優れている人がいたら、その人を師と仰(あお)ぐべきだいうこと。