−いつ(た)(itu4)−
一体全体(いったいぜんたい) 結論的になんだか全く分からないという、「一体」を強調した言い方。
一旦緩急あれば(いったんかんきゅうあれば) ひとたび大事が起きたときには、という意味で、緊急事態になればいつでも、という覚悟を示す。 故事:「史記−袁孛(えんおう)錯(ちょうそ)列伝」「今、公常従数騎、一旦有緩急、寧足恃乎」 休職中の袁孛が劇孟(げきもう)という博徒を厚遇した。ある金持ちがそれを窘(たしな)めたのに対して袁孛は、「人の危急を救えるのは、季心(きしん=季布の弟)と劇孟しかいない。あなたは数騎もの人を抱えているが、そんなもの、いざとなったらなんの役に立たない」と答えた。 ★「緩」は意味がなくなって語調を整える働きとなったもの<国語大辞典(小)>
一箪の食一瓢の飲(いったんのしいっぴょうのいん) 窮めて貧しい生活のこと。 出典:「論語−雍也」「一箪食、一瓢飲、在陋巷人不堪其憂回也不改其楽」
一知半解(いっちはんかい) ちょっと知っているだけで十分には分かっていないこと。 類:●生齧(かじ)り●半可通●知ったか振り 出典:滄浪詩話(そうろうしわ) 中国の詩論書。1巻。宋の厳羽著。1230年代に成立。当時の散文化した詩風を批判し、詩の理想を杜甫・李白らの盛唐詩におく。
一着を輸する(いっちゃくをゆする) 相手に勝ちを取られる。遅れを取る。 類:●一籌を輸する ★「いっちゅう(一籌)を輸する」に倣(なら)って慣用されるようになったもの<国語大辞典(小)>
一籌を輸する(いっちゅうをゆする)[=遜(ゆず)る] 「輸する」は負けるの意味で、一段階劣る。遅れを取る。 例:「敵に一籌を輸する」 類:●一着を輸する
一朝一夕(いっちょういっせき) 「一日か一晩か」の意味から、僅かの時間。ほんの少しの間。また、後に否定の語を伴って、簡単に。 例:「一朝一夕には解決しがたい」「一朝一夕には論じられない」
一長一短(いっちょういったん) 長所もあるが短所もあるということ。 例:「一長一短があって甲乙決めがたい」 類:●帯に短し襷に長し
一町に三所(いっちょうにみところ)[=二所(ふたところ)] 1.極めて稀(まれ)なこと。2.疎(まば)らに、点在して在ること。 用例:浮・永代蔵−三「人倫絶えて、一町に三所ばかり」
一朝の怒りに其の身を忘る(いっちょうのいかりにそのみをわする)[=一生を過(あやま)つ] 一時の怒りのために前後を忘れて行動し、自分の身を滅ぼす。 出典:「論語−顔淵」「一朝之忿、忘其身、以及其親」
一丁前(いっちょうまえ・いっちょまえ) 1.成人であること。また、成人としての資格や能力があること。 類:●一人前 例:「一丁前の口を利くじゃないか」 2.技能などが人並みの域に達すること。 類:●一人前 例:「これでやっとお前も一丁前だ」
一張羅(いっちょうら)[=一丁羅] 1.所有している衣服の中で、たった一着きりの上等のもの。取って置きの晴れ着。「羅」は「うすもの」の意味。 類:●替え着なしの晴れ着なし 用例:浮・男色大鑑−六「一てうらを取出して思ひ思ひに立出」 2.たった一枚きりの衣服。または、たった一つだけで掛け替えのないもの。 ★ 語源は「一丁蝋燭(ろうそく)」とされる。中世になって蝋燭が出回ったが、非常に高価なものであった。蝋燭が一本だけで、予備がない状態が一丁蝋燭である。それが「一丁ろう」「いっちょうら」と訛(なま)ったもの。江戸時代になって、晴れ着の場合にもその表現が使われて「一張羅」という字が当てられた。なお、方言には、一張羅のことを今も一丁蝋燭と言う地域もあるらしい。 用例:滑・浮世風呂−二「なけ無し一(イ)ってうらを着殺に着切て仕まふだ」 類:●取って置きの晴れ着 用例の出典@:男色大鑑(なんしょくおおかがみ) 浮世草子。8巻40章。井原西鶴。貞享4年(1687)。傍題「本朝若風俗」。前半は武家社会を中心に男色の意気地に絡む話、後半は歌舞伎界の内実などを素材にした随想風のものが多い。当時の男色を巡る話題を総合的に取り上げた作品。 用例の出典A:浮世風呂(うきよぶろ) 滑稽本。式亭三馬。4編9冊。文化6年(1809)〜10年(1813)。江戸町人の社交場でもあった銭湯を通して、庶民生活の種々相を描写している。
一丁字を識らず(いっていじをしらず) 全く文字が読めない。無学文盲である。 類:●眼に一丁字なし●無学文盲●一文不知 ★「丁」は「个(か)」の字の篆書(てんしょ)から誤ったもの。「个」は個・箇に同じで、一つの文字の意<国語大辞典(小)>
一擲乾坤を賭す(いってきけんこんをとす) 賽子(さいころ)を投げてその一回で天地を賭けるという意味から、天下を取るか失うか、全てを運に任せて思い切ってやる。伸るか反るかの冒険をする。 類:●千番に一番の兼ね合い●一か八か●一か六か●伸るか反るか●出たとこ勝負
一滴舌上に通じて大海の塩味を知る(いってきぜつじょうにつうじてたいかいのえんみをしる) 海水の一滴を舌で味わえば、海全体の潮水が塩辛いことが分かる。ものごとの一部を知れば、全体が推測できるということ。
一擲千金(いってきせんきん) 一度に惜しげなく大金を使うこと。豪快な振る舞い。 出典:呉象之(ごしょうし) ・・・調査中。
一滴万粒(いってきまんりゅう) その一滴が多くの米粒からできているところから、酒は高価であるということ。
一徹者(いってつもの) 一途に思い込んで、どこまでもそれを押し通そうとする人。 類:●一徹人
逸哲者(いってつもの) 賢人ぶって振る舞う人のこと。似非(えせ)賢人を罵っていう言葉。
一点張り(いってんばり) 1.賭博で、一つ所にばかり金銭を賭けること。2.他を顧みないで、唯一つのことだけを対象としてすること。また、唯それだけを押し通すこと。 例:「知らないの一点張り」 類:●一本槍
一桃腐りて百桃損ず(いっとうくさりてひゃくとうそんず) 1つの桃が腐ると、周りの桃も腐り始める。集団の中に一つ悪い者が出ると、その影響が広く及ぶこと。悪いことは影響し易いことの喩え。 類:●朱に交われば赤くなる
一燈照隅、万燈照国(いっとうしょうぐう、ばんとうしょうこく) 一つの燈は一つの隅しか照らせないが、多くの燈が集まれば、点が線になり線が面になり、国全体を照らすであろうということ。 出典:伝教大師(=最澄)の言葉と言われる。 ★「一燈照隅、万燈遍照」は、安岡正篤がこれを準(なぞら)えて言ったもの。
一頭地を抜く(いっとうちをぬく) 多くの人よりも一段と優れている。 例:「同輩の上に一頭地を抜いている」 出典:「宋史」
一刀両断(いっとうりょうだん) 1.一太刀で物をまっ二つに切る。2.比喩的に、曖昧なところを残さず、速やかに、決定したり処理したりすること。 例:「一刀両断の解決などありえない」 出典:「朱子語類」
一時三里犬走り(いっときさんりいぬばしり) 一時(約二時間)で三里を行くためには、犬のように小走りに歩かなくてはいけない。転じて、足の速いこと。
一得一失(いっとくいっしつ) あるものごとが、一方で利益があると同時に、他方では損失を伴っていること。 類:●一長一短●一失一得
一途を辿る(いっとをたどる) ある一筋の道に向かって進む。ある一定の方向へその傾向で進んでいく。 例:「衰退の一途を辿る」