−いや(iya)−
・否々三杯(いやいやさんばい)[=十三杯(じゅうさんばい)] 盃(さかずき)を受けるときなどに、口では「いやいや」と辞退する風を見せながら、勧められるままに何杯も続けて飲むこと。口先では遠慮するようでいながら、実際は厚かましいこと。
・否応なし(いやおうなし) 嫌と言おうが良いと言おうが、聞き入れず、文句を言わせないでものごとをさせる様子。 例:「否応なしに連れていく」
・嫌気が差す(いやけがさす・いやきが〜) もう嫌だという気持ちになる。飽き飽きする。 類:●うんざりする 例:「田舎暮らしに嫌気が差す」
・否でも応でも(いやでもおうでも)[=が〜] 好むと好まざるとに拘(かか)わらず。承知でも不承知でも。 類:●なんとしてでも●是非とも 用例:狂言記・針立雷「いやでもおふでも、今とらねばなりませぬぞ」 用例の出典:針立雷(はりだていかづち) 狂言。藪医者に助けられた雷が、お礼に豊作を約束するというもの。
・嫌と言うほど(いやというほど) 1.もうそれ以上いらないと言うくらいたくさん。嫌になるほど何回も。 用例:虎明本狂言・福の神「中酒には古酒を、いやというほどもるならば」2.酷く。甚だしく。 例:「嫌と言うほど殴られる」 用例の出典:福の神(ふくのかみ) 狂言。各流。年の暮に二人の信者が出雲大社に参詣すると、福の神が現れ、富貴になるには福の神に十分お供えをし神酒をあげなさいと言う。
・厭味たらしい(いやみたらしい)・厭味ったらしい[=嫌味〜] いかにも厭味である。 1.にやけて嫌らしい。気障(きざ)っぽい。 用例:人情・梅の春−初「なんのいやみたらしい、そんなものを男が持ってたまるものか」 2.嫌がらせが酷(ひど)い。 例:「厭味ったらしく恩にきせる」 用例の出典:梅の春(うめのはる) 人情本。為永春水・歌川貞重共作。天保9年(1838)。隅田川周辺の叙景を歌った清元節「梅の春」(毛利元義作詞)文政10年(1827)を元にしている。
・嫌らしい(いやらしい)・厭らしい 1.感じが悪く、不愉快な気持ちにさせる。様子、態度、行為、状態などが、好ましくない。また、嫌味な感じである。 類:●厭(いと)わしい 用例:浮・好色袖鑑−上「なれて後、いやらしく思ふなりふりの」 2.性に関して節度がなく、嫌悪感をそそる。下品、好色な感じである。淫(みだ)らである。 用例:浄・主馬判官盛久−一「鎧の脇より手をさしいれ〈略〉たはぶるるむくつけにも又いやらしし」 用例の出典@:好色袖鑑(こうしょくそでかがみ) 浮世草子。好色物。天和2年(1682)。・・・調査中。 用例の出典A:主馬判官盛久(しゅめのほうがんもりひさ) 浄瑠璃。近松門左衛門。貞享3年(1686)。「薩摩守忠度」の後編。平家の侍大将で主馬判官と呼ばれた平盛久を主人公にした作品。竹本座のあと宇治座でも上演<近松門左衛門でござーい!>