−かえ(kae)−
・替え着なしの晴れ着なし(かえぎなしのはれぎなし) いつも上等な服を着てはいるが、それ一枚だけで着替えを持っていないこと。着替えがないから、やがてそれも襤褸(ぼろ)になるだろうということ。 類:●着た切り雀●一張羅 参考:常常綺羅の晴れ着なし
・返す返す(かえすがえす) 1.繰り返し繰り返し、何度も。くれぐれも。よくよく。 類:●再三再四 用例:続日本紀−天平宝字元年七月二日・宣命「私(ひそか)に兵を備ふと聞し看して、加遍須加遍須(カヘスカヘス)念ほせども」 例:「礼を返す返す述べる」 2.どのように考えても。何度考えても。本当に。用例:竹取「侍らで過ぎ別れぬる事、かへすかへすほいなくこそ覚え侍れ」 例:「返す返すも残念だ」 3.偏(ひとえ)に。非常に。重々(じゅうじゅう)。 用例:古今−515「唐衣日もゆふぐれになる時は返す返すぞ人はこひしき」 4.念には念を入れて。懇(ねんご)ろに。丁寧に。用例:十六夜日記「みづぐきの岡の葛葉、かへすがへすも、書きおく跡たしかなれども」
・返す刀(かえすかたな) 1.斬り付けた刀を素早く翻(ひるがえ)して、更に他方に斬り掛けること。2.一方を攻撃した後、すぐさま矛先(ほこさき)を転じて他方を攻めること。
・返す言葉(かえすことば) 1.後に打ち消しを伴って、相手の言葉に応じる言葉。返事・反論など。 例:「返す言葉もない」 2.江戸時代の文法用語。否定を伴う逆接表現、疑問の副詞、助詞などによる反語表現。
・帰らぬ人(かえらぬひと) 二度と帰ってこない人という意味で、死んでしまった人。 例:「帰らぬ人となる」
・顧みて他を言う(かえりみてたをいう) 答えに窮したときなど、問題を回避しようとして、辺りを見回して別なことを言う。 出典:「孟子−梁恵王・下」「顧左右而言他」
・蛙の行列(かえるのぎょうれつ) 蛙が後足で立つと目が後ろ向きなために前が見えないところから、向こう見ずなこと。また、そのような人々の集まりのこと。 類:●かわずの行列
・蛙の子は蛙(かえるのこはかえる)
・蛙の相撲(かえるのすもう) 蛙は立ちあがると目が後ろになり巧く立ち会えないことから、、互いに行き違うことの喩え。
・蛙の面に水(かえるのつらにみず)
・蛙の頬冠り(かえるのほおかむり) 蛙の目は背後にあるので頬冠りをすると前が見えないところから、向こうが見えないこと。目先が利かないこと。
・蛙の目借り時(かえるのめかりどき・めかるどき) 春暖の蛙が鳴きたてる頃の眠くて堪らない時期のこと。蛙に目を借りられるため、眠気を催すという意味。 類:●かわずの目借り時●かえるどき●目借る時 ★「目借」は蛙がめすを求める意の「妻狩(めか)る」から転じた語という<国語大辞典(小)>
・蛙は口から呑まるる(かえるはくちからのまるる)[=口故(ゆえ)〜](かえるはくちからのまるる) 蛙は鳴くから居場所が分かって蛇に呑まれるということから、余計なことを言って、自ら、禍(わざわい)を招くこと。 類:●藪を突付いて蛇を出す