−かい2(kai2)−
・咳唾珠を成す(がいだたまをなす) 1.咳や唾までが珠玉のようである。何気なく口にする言葉さえ珠玉のように美しいということから、詩文の才能が極めて豊かで優れている喩え。 類:●咳唾成珠(がいだせいじゅ) 出典:「晋書−夏侯湛伝」「咳唾成珠、揮袂出風雲」 2.権力者や勢力が盛んな人の言葉は、一言一句が珠玉のように尊(とうと)ばれるばかりでなく、咳や唾まで畏(おそ)れ敬(うやま)われるということ。 出典:李白の詩「妾薄命」「咳唾落九天、随風生珠玉」
・書いた物が物言う(かいたものがものいう) 証文や契約書などが動かぬ証拠になる。
・掻い摘む(かいつまむ) 1.指先で挟(はさ)んで持つ。摘む。2.ものごとの必要な点だけを取り出して、大雑把に捉(とら)える。 類:●概括(がいかつ)する 用例:伎・お染久松色読販−中幕「かいつまんで申ませふが」 例:「状況を掻い摘んで話す」
・開店休業(かいてんきゅうぎょう) 1.開店してはいるが、客が来なかったりして、営業を休んだも同然のこと。2.比喩的に、発足したはいいが、何もすることがないような会のこと。 例:「会の活動は実質開店休業である」
・改頭換面(かいとうかんめん) 1.表面だけを改めて、内容が変わらないこと。頭を取り替え、面を付け替えても中身は同じということ。 出典:「古今風謡」「汾河謡伝、漢似胡児胡似漢、改頭換面総一般」 2.転じて、似たり寄ったりのこと。 出典:古今風謡(ここんふうよう) 楊慎(ようしん・升菴)撰。明代。・・・調査中。
・海棠睡り未だ足らず(かいどうねむりいまだたらず) 美人が酔って眠った後の、まだ眠り足りない、艶(なま)めかしく弱々しい美しさをいう。唐の玄宗(げんそう)皇帝が楊貴妃を評した言葉。 出典:「唐書−楊貴妃伝」「此眞海棠睡未足耶」 ★「海棠」は、バラ科の落葉低木。
・海棠の雨に濡れたる風情(かいどうのあめにぬれたるふぜい)[=雨を帯びたる〜] 美人が打ち萎(しお)れた姿を、海棠が雨を帯びて趣(おもむき)がある様子に喩えていう。
・快刀乱麻を断つ(かいとうらんまをたつ) 麻のように乱れ縺(もつ)れたものごとを、見事(みごと)に処理すること。 出典:杜甫・戯題画山水図歌「焉得并州快剪刀剪取呉松半江水」 ★略して「快刀乱麻」でも、同じ意味として使う。
・貝になる(かいになる) 1.二枚貝が閉じるように、口を閉ざして何も語らない様子。 例:「報道陣を前に首相は貝になっている」 2.自分の部屋や殻(から)に閉じ篭もる様子。また、引き篭もること。自閉。 類:●殻に閉じ篭もる
・貝の城(かいのしろ) 蜃気楼(しんきろう)のこと。 ★昔、大蛤(はまぐり)が気を吐くためと考えたところからいう<国語大辞典(小)>
・櫂は三年櫓は三月(かいはさんねんろはみつき) 小舟を操(あやつ)るのに櫓のような一見したところ簡単な作業でも、それを覚えるのには最低三月掛かる、更に櫂を使って舟を自在に動かすには三年掛かるものである。 類:●櫓三年に棹八年●首振り三年ころ八年●ぽつぽつ三年波八年
・開闢以来(かいびゃくいらい) 天地が開けて以来。または、世界が始まって以来。 類:●有史以来
・貝吹いて逃ぐる(かいふいてにぐる) そら惚(とぼ)けて逃げること。 ★「貝吹いて」は「掻伏いて(身をかがめて)」に、山伏が、逃げる合図のほら貝を吹くことを掛けていったもの<国語大辞典(小)>
・開物成務(かいぶつせいむ) 人知を開発し、事業を完成させること。 類:●開成●物を開き務めを成す 出典:「易経−繋辞・上」「夫易、開物成務、冒天下之道」
・外聞欠く(がいぶんかく) 体裁(ていさい)の悪い思いをする。恥を掻くこと。
・垣間見る(かいまみる) 隙間から密かに覗き見る。また、ちょっと見る。 類:●かいまむ●かいばみる●かいばむ 例:「富士の頂が雲間からかいま見られた」 用例:竹取「穴をくじり、かひまみ、まどひあへり」 ★「かきまみる(垣間見)」の変化<国語大辞典(小)> 出典:竹取物語(たけとりものがたり) 物語。2巻。作者未詳。平安初期の成立。竹取の翁が竹の中から得た娘、なよ竹のかぐや姫が、五人の貴公子の求婚に難題を出して失敗させ、天皇の召しにも応ぜず8月15夜に月の世界に去る。羽衣説話を軸に、化生説話、致富長者説話、求婚難題説話など各種説話を配して物語化したもの。作り物語の祖とされる。竹取翁物語。竹取の翁。かぐや姫。たかとりものがたり。
・外野席(がいやせき) 直接そのことに関係を持っていない傍観者であるということ。 類:●外野
・隗より始めよ(かいよりはじめよ)
・怪力乱神(かいりょくらんしん) 怪異と怪力と悖乱と鬼神の意味から、理性では説明が付かないような不思議な存在や現象。 出典:「論語−述而」「子不語怪力乱神」
・偕老同穴(かいろうどうけつ・かいろうとうけつ) 「偕老」は偕(とも)に老いること。「同穴」は、死んで同じ穴に葬られること。夫婦が、最後まで添い遂げること。夫婦の契りが堅いということ。 用例:保元−上「偕老同穴の御契り」 出典:「詩経−王風・大車」 参考:カイロウドウケツ科に属する海綿動物の総称。
・偕老の契り(かいろうのちぎり) 年老いるまで長く連れ添う、睦(むつ)まじい夫婦の関係。 類:●偕老同穴の契り●同穴の契り
・貝を作る(かいをつくる) 泣き出す時の口つきが蛤(はまぐり)の形に似ているところから、口をへの字に曲げて、泣き出すこと。 類:●べそをかく 用例:源氏−明石「今日の御送りに、つかうまつらぬ事など申して、かひをつくるも、いとほしながら」
・櫂を振り回す(かいをふりまわす) 金の遣り繰りをする。暮らし向きを楽にする。 用例:浮・世間妾形気−二「私が内証の械(カイ)もふり廻し易う成りましたも」 用例の出典:世間妾形気(せけんてかけかたぎ) 浮世草紙。4巻4冊。上田秋成。明和3年(1766)。10の短編から成る。欲深女・浮気女・売春婦・貞婦・詐欺女・超長生き女など種々の妾(めかけ)が引き起こす事件を、諧謔(かいぎゃく)を交えて描いたもの。