−かく(kaku)−
・郭巨得釜(かくきょとくふ) 孝行を尽くせば必ずその報いがあるということ。 故事:「蒙求」 孝子郭巨が貧しさのあまり、わが子を殺しても母を飢えさせまいとした孝心を天が賞し、土中より黄金の一釜を得させた。
・学者の取った天下なし(がくしゃのとったてんかなし) 学者は机上(きじょう)で政治を論じるが、現実には疎(うと)くて、自(みずか)ら政治を行なうことはできない。理論だけでは国家を治(おさ)めることができないということ。
・矍鑠たる哉(かくしゃくたるかな) 老人が、きびきびとしていて血色が良く、元気な様子。 出典:「後漢書−馬援伝」「帝笑曰、矍鑠哉是翁也」 後漢の老将・馬援(ばえん)が、高齢にも拘(かかわ)らず出陣を願い出たとき、光武帝(こうぶてい)が笑って言った言葉。結局、馬援はこの戦(いくさ)の陣中で病没した。 ★「矍」は、鳥がきょろきょろするように素早く反応する様子。「鑠」は、熱せられた金属が溶けるように赤々と輝く(血色が良い)様子。
・鶴首(かくしゅ) 1.鶴の首のように長い首のこと。転じて、首を長くして待つこと。 類:●首を延べ踵を企つ●鶴企(かっき)●鵠企(こっき)●鶴望●鶴立 例:「鶴首して待つ」 2.白髪(しらが)頭のこと。
・確信犯(かくしんはん) 法律で、政治的・思想的・宗教的、または道義的な確信に基づく義務感または使命感によって行なわれる犯行、またはその犯人。政治犯、思想犯、国事犯など。 ★ 「悪いことであると分かっていながらなされる犯罪」「過失のように見えるが、実はわざとやった犯罪」「成り行きでそうなったように見えるが、実は計画的である犯罪」などとして使うのは、「故意犯」などとの誤用。また、「自分の行為が正しいと信じて行なう犯罪」も、正確には「確信犯」からずれる。誰もが「崇高な動機」と認めるもの、であるものをのみ言う。
・隠すより現わる(かくすよりあらわる)[=ことほど顕(あら)わる] 隠し事は、隠せば隠すほど却って人に知られるものだ。
・各星帝座を犯す(かくせいていざをおかす) 身分の卑しい者が天子の位を狙うこと。 出典:「後漢書−逸民伝」「客星犯御座甚急」
・隔世の感(かくせいのかん)[=思い] 世の中が著しく変化したという感覚。時代がすっかり変わってしまったという感慨。
・掻く手数多(かくてあまた) 引き寄せてくれる手がたくさんあるという意味から、誘いを掛けてくれる人が数多くいること。 用例:蜻蛉−下「かくてあまたに」 類:●引く手数多 用例の出典:蜻蛉日記(かげろうにっき) 右大将藤原道綱の母の日記。3巻。天延2年(974)以後の成立。天暦8年(954)に兼家と結婚してのち、不安定な結婚生活に苦悩や嫉妬や絶望を重ねながらやがて一子道綱への愛や、芸術の世界に平安を見いだしていく21年間の心の遍歴を自伝風に綴る。
・鶴髪童顔(かくはつどうがん) 《四熟》 鶴のように白い髪と子供のように赤味を帯びた顔色。老人の血色の好い顔の形容。また、老いてなお精気盛んなこと。 類:●白髪童顔●童顔鶴髪 ★「鶴髪」は、白髪(しらが)の雅称。
・格物致知(かくぶつちち) 理想的な政治をするための第一と第二の段階。「格物」は、朱子によれば、個々のものごとについての道理を徹底的に究明すること。王陽明によれば、対象に向かう心の動きを正しくすること。「致知」は、朱子によれば、自分の知識を極限にまで推(お)し広めること。王陽明によれば、自然な心情、本来的な心の働きを徹底的に発現させること。 出典:「礼記−大学」「致知在格物」 人物:王陽明(おうようめい) 中国明代の儒学者、政治家。1472〜1528。名は守仁。字は伯安。陽明は号。浙江省余姚の人。知行合一、致良知の説を唱えた。その一門を陽明学派という。著「伝習録」「王文成公全書」など。
・鶴望(かくぼう) 鶴が首を伸ばして待ち望む様子から、首を長くして待つこと。 類:●鶴首 用例:「後漢書・巻七十四・下」「憤躍鶴望して、冀(こいねが)うは和同之声を聞くことである」
・額面通り(がくめんどおり) 1.有価証券、切手、貨幣などの表面に記(しる)された額面価格のまま通用すること。 例:「旧札も額面通りの価値を持つ」 2.表現された事柄の内容そのまま。推測や想像を加えない、聞いた言葉そのまま。 例:「宣伝文句を額面通りに受け取るべきではない」
・学若し成らずんば死すとも帰らず(がくもしならずんばしすともかえらず) もし学業が成し遂げられなかったら、死んでも故郷には帰らない。故郷を出て勉学を志(こころざ)す者の決心を述べたもの。 出典:月性の詩「題壁」「男児立志出郷関、学若不成死不還、埋骨何期墳墓地、人間到処有青山」
・学問に王道なし(がくもんにおうどうなし) 学問をするのに安易な方法はない。誰が学んでも、等しく経(へ)なければならない過程がある。 故事:紀元前300年ごろ、エジプト王トレミー一世が、ギリシャの数学者ユークリッドに「幾何学を簡単に学べないか」と尋ねた時に、ユークリッドが「幾何学に王道なし」と答えた。
・楽屋話(がくやばなし) 楽屋内での話。転じて、内輪同士の話。 類:●内緒話
・獲麟(かくりん)
・鶴林(かくりん) 仏教用語。 1.釈迦入滅の、拘尸那(くしな)城の阿利羅跋提河の辺(ほとり)に生えていた沙羅双樹(さらそうじゅ)の異称。2.転じて、釈迦の死。また一般に、僧寺や、僧寺の樹林、あるいは人の臨終の意味でも使う。 類:●鶴の林 用例:本朝文粋−一四「臣等鶴林雲帰、鱗水義絶」 ★沙羅双樹が、釈迦が入滅した時、あたかも白鶴のようにまっ白に枯れたというところからいう<国語大辞典(小)>
・隠れたる信あらば顕われたる験(かくれたるしんあらばあらわれたるしるし) 神仏への信仰は隠れて密かにしていても、ご利益(りやく)は必ず顕われてくるものだ。 ★「隠れての信は顕われての徳」とも<国語大辞典(小)>
・隠れたるより見わるるは莫し(かくれたるよりあらわるるはなし) 1.他人に隠れて悪事を行なって、それを知る者がないと考えるのは誤まりで、自分が知っているのだから、これ以上明白なことはない。2.転じて、秘密は隠しても、却(かえ)って世間に知れ易いということ。 類:●隠すより現わる●微かなるよりも顕かなるは莫し 出典:「中庸−一章」「莫見乎隠、莫顕乎微」
・隠れ蓑(かくれみの) 1.着ると身を隠すことができる想像上の蓑。 用例:枕草子−一〇四「かいまみの人、かくれみの取られたる心地して」 2.転じて、実体を隠すための表向きのもの。 類:●世を忍ぶ仮の姿
・学を好むは知に近し(がくをこのむはちにちかし) 学ぶことを好んで嫌がらないのは、知ではないが知に近い。学問を好む人は、知識を少しずつ蓄積して、やがては真の知者に近付くことができるのである。 出典:「中庸−二十章」「子曰、好学近乎知、力行近乎仁、知恥近乎勇」