−かん(か)(kan2)−
・函蓋相応ず(かんがいあいおうず・かんかい〜) 函(はこ)と蓋(ふた)とがぴったりと合致しているという意味から、ものごとがよく合っている様子。 出典:大日経疏(だいにちきょうしょ) 中国唐代の仏教書。20巻。善無畏説、一行記。8世紀初めころの成立。大日経の根本注釈書。単なる字句の解釈にとどまらず、大日経の思想を再構成し、密教の発展に大きな役割を担ったもの。わが国には空海によって伝えられ、東密ではこれに依存して研究が進められた。台密ではこの改定本の「大日経義釈」14巻を用いる。正称は大畏盧遮那成仏経疏。
・冠蓋相望む(かんがいあいのぞむ) 冠蓋は、冠と馬車の覆い。車と車が絶えず続く様子。特に、使者などが引き続いて行く様子を表わす。 出典:「戦国策−魏」「魏使人求救於秦、冠蓋相望」
・感慨無量(かんがいむりょう) 《四熟》 感慨が量(はか)り切れないほど大きい様子。何ともいえないほど、深く感じいるようす。 類:●感無量
・勧学院の雀は蒙求を囀る(かんがくいんのすずめはもうぎゅうをさえずる) 勧学院の軒先の雀は、学生が「蒙求」を読むのを聞き習って、それを囀る。常に見聞きして慣れ親しんでいると、自然に覚え込んでしまうという喩え。 類:●門前の小僧習わぬ経を読む 反:■習わぬ経は読めぬ
・鰥寡孤独(かんかこどく) 《四熟》 妻のない夫と、夫のない妻と、孤児と、老いて子のない者。寄る辺のない独り者のこと。 類:●鰥寡独(かんかけいどく)
・欠が立つ(かんがたつ)[=付く・行く] 1.物の数量、目方が減る。 用例:日葡辞書「カンガイタまたは、タッタ」 2.身体が痩(や)せ細る。 用例:雑俳・手引草「大好きじゃ・女夫の顔に欠がたつ」 用例の出典:口合秘事手引草(くちあいひじてびきぐさ?) 雑俳。明和8年(1771)。桂山人序。紫山跋。口合の手引書。并に桂亭・紫山共撰の吟集。
・癇が立つ(かんがたつ)[=昂(たか)ぶる] 神経質になっていらいらすること。
・雁が飛べば石亀も地団駄(がんがとべばいしがめもじだんだ) 自分の分際を忘れて、みだりに他人の真似をしようとすること。 類:●石亀の地団駄
・干戈に訴える(かんかにうったえる) 争い事を解決するために、武力を使う。武力でことを解決する。
・眼下に見る(がんかにみる)[=見下(みくだ)す] 1.高い所から見下ろす。2.他を低いものとして見下げる。 類:●軽視する 3.世間の動向や評価に捕らわれない生き方をする。 例:「世間を眼下に見る」
・頷下の珠(がんかのたま) 得難い大事な宝のこと。 類:●頷珠 故事:「荘子−列禦寇」 驪竜(りりゅう)の頷(あぎと)の下にあるという珠玉。それを得るには竜の眠っている隙に危険を冒して探り採るしかない。
・干戈を動かす(かんかをうごかす) 戦争を始める。
・侃侃諤諤(かんかんがくがく) 「諤」はありのままに正しく言うという意味。遠慮なく直言すること。大いに議論すること。 類:●侃諤
・汗顔の至り(かんがんのいたり) 顔に汗が吹き出るほど恥ずかしいこと。これ以上ないほど恥ずかしいこと。 類:●穴へ入りたい●面目ない●恥ずかしながら
・雁木に鑢(がんぎにやすり) 押しても引いても削ることができるところから、二重に損をすることの喩え。 類:●雁木鑢●雁木 用例:雑俳・川柳評万句合−明和二「身あがりでおごるはがんぎやすりなり」
・雁木鑢(がんぎやすり) 1.太くて目の粗い鑢。2.がさがさした肌の女を罵っていう語。3.がりがりと擦(こす)るように、無闇にせっつくこと。 用例:黄・啌多雁取帳「諸方のかり金がんぎやすりとせつかれて」 4.押しても引いても削ることができるところから、二重に損をすることの喩え。 類:●雁木に鑢●雁木
・汗牛充棟(かんぎゅうじゅうとう) 引っ張るには牛馬が汗を掻き、積み上げては家の棟木にまで届くくらいの量ということで、蔵書が非常に多いことのたとえ。 類:●擁書万巻(ようしょまんがん) 出典:柳宗元「唐故給事中陸文通墓表」「其為書、処則充棟宇、出則汗牛馬」 ★「牛に汗し棟(むなぎ)に充(み)つ」ともいう<国語慣用句辞典(集)>
・感極まる(かんきわまる) この上もなく感動すること。感激が極限に達する。 例:「感極まって泣き出す」
・雁首を揃える(がんくびをそろえる) 「雁首」は、煙管(きせる)の頭に当たる金属部分で、「頭」を乱暴に言う言葉。頭数を揃えることから、人数が集まること。特に、無能な者ばかりが揃う様子を罵(ののし)って言う。 例:「これだけの雁首が揃っていて正解も出せないのか」
・艱苦奮闘(かんくふんとう) 《四熟》 艱難や辛苦に耐え、奮闘すること。頑張って困難を乗り越えること。
・勘繰る(かんぐる) 色々と気を回して考える。隠し事をしているのではないかと悪い方向へ推測する。 用例:情・春色梅児誉美−初「おまへはんのことを少はかんくって居る〈略〉ものだから」
・寒暄を延ぶ(かんけんをのぶ)[=叙(じょ)す] 時候の挨拶(あいさつ)をする。
・眼光紙背に徹る(がんこうしはいにとおる)[=徹(てっ)す] 書かれている紙の裏まで見透(とお)すという意味から、書物を読んで、字句の解釈だけでなく、その深意までも掴み取ること。読解力が鋭く、優れていること。
・眼高手低(がんこうしゅてい) 《四熟》 1.他人の作品を批評するのは上手いけれど、自分で作るのは下手であること。2.理想ばかり高いが、それを実践する力が伴っていないこと。
・眼光人を射る(がんこうひとをいる) 鋭い目付きで人を威圧すること。また、そういう人。
・諌鼓苔深く鳥驚かぬ(かんここけふかくとりおどろかぬ)[=苔むし〜] 君主が善政を施すので、諫鼓を用いる必要もなく、諫鼓に苔が生えてしまったから鳥がその音に驚くこともないということで、世の中がよく治まっていることの喩え。
・換骨奪胎(かんこつだったい) 1.外形はそのままに、骨を取り換え、胎(=子宮)を奪って使うという意味で、先人の詩文などの、発想や表現法などを活(い)かし、表現形式や語句などに新たな工夫を加えて、独自の作品を作り上げる技法。 類:●換骨 出典:「冷斎夜話・一」「然不易其意、而造其語、謂之換骨法、窺入其意、而形容之、謂之奪胎法」 2.誤用されて、他の作品の焼き直しの意味で使われることがある。 類:●改頭換面●焼き直し●(俗)ぱくり 出典@:冷斎夜話(れいさいやわ) 雑記集・評論集。宋代(1120年前後か)。覚範慧洪(けいこう)編。10巻。己の見聞を雑記し、更に、詩人の逸話とその作品の評論を併せ記したもの。 出典A:捫蝨新話(もんしつしんわ) 宋代(南宋)。陳善(ちんぜん)撰。8巻(上下各4巻)。・・・詳細調査中。
・閑古鳥が鳴く(かんこどりがなく)[=歌う] 客が来なくて、商売などが流行らない様子。人の訪れがない閑散とした様子を言う。また、生活が貧しくてぴいぴいしていることの喩えとしても使う。 ★「閑古鳥」は、カッコウの異称。