−かん(さ)(kan3)−
・雁札(がんさつ) 音信の書。手紙。 類:●雁の便り(玉梓)●雁書●雁信●雁文●雁帛 参照:雁書
・雁字搦め(がんじがらめ) 1.糸・紐・縄などで、ぐるぐる巻きにすること。 例:「下手人を雁字搦めに縛る」 2.転じて、ものごとに束縛されて身動きが取れない境遇、心境。 例:「厳しい校則で雁字搦めにされている」 ★「雁字」は当て字か<国語大辞典(小)> 参考:がんじ〔副〕 1.動かないように堅く締めるさまを表わす語。*幸若・大職冠「こがねのくつはかむしとかませ」<国語大辞典(小)>
・閑日月(かんじつげつ) 1.これといってなすことなく過ごす月日のこと。2.心にゆとりがあり、ゆっくりしているときのこと。 類:●胸中閑日月あり●余裕綽々(しゃくしゃく)
・感謝感激雨霰(かんしゃかんげきあめあられ) 非常にありがたい気持ちを表わす言葉。近しい間柄の相手に、少しおどけて言う。 ★戦時、日本軍優勢の戦況を報じる新聞の見出しで使われた「乱射乱撃雨霰」を捩(もじ)った言葉。 参考:雨霰(あめあられ) 雨や霰のように矢などが盛んに降りそそぐことの喩え。 用例:浄・雪女五枚羽子板−下「雨あられととびくる矢」
・館舎を捐つ(かんしゃをすつ) 貴人の死をいう。 類:●捐館(えんかん)
・雁書(がんしょ) 音信の書。手紙。書簡(しょかん)。 類:●雁の便り●雁札●雁信●雁文●雁帛(がんぱく) 故事:「漢書−蘇武伝」 漢の蘇武(そぶ)は、武帝の天漢元年(前100)捕虜交換のため匈奴に行ったが、内紛に巻き込まれて捕えられた。時を経て昭帝の始元六年(前81)、漢使が遣わされ、蘇武の返還を求めたが「死んだ」と言われ、相手にされなかった。常恵(じょうけい)という者の策を容れて、漢使が「漢の天子が狩りで捕らえた雁の足に『蘇武は大沢の中にある』という帛(はく)が付いていた。生きているのは明白である」と言うと、単于(ぜんう)もそれを認め、迎えに行くことを許した。蘇武が帰還したのは十九年後であった。 参考:「万葉集」遠江守桜井王が遠い奈良の都を慕って詠んだ歌。「九月之其始雁乃使尓も念心者可聞来奴鴨」<九月(ながつき)のその初雁の使いにも、思う心は聞こえ来ぬかも>
・勘定合って銭足らず(かんじょうあってぜにたらず) 勘定に間違いはないが現金が不足しているという意味で、理論と実際が巧く一致しないことの喩え。
・勘定高い(かんじょうだかい) 金銭などの計算が細かく、損得に敏感である。けちけちしている。打算的である。 類:●計算高い●算盤高い 用例:雑俳・柳多留−二「母親の勘定高いさかおくび」
・勘定に入れる(かんじょうにいれる) 1.計算するものの中に繰り入れること。2.考えること、予想することの対象に入れる。考慮に入れる。
・顔色無し(がんしょくなし)[=を失う] 恐れ、驚き、羞恥などのせいで平常の顔色が失われること。顔色が青くなること。また、相手に圧倒されて元気がなくなる様子。
・肝腎要(かんじんかなめ)・肝心要 特に重要な部分。極めて大切なこと。 類:●肝心肝文(かんもん) 例:「肝腎要の主役が遅れている」 ★同義語を重ねて強調した語。
・韓信の股潜り(かんしんのまたくぐり) 1.大志を抱く者は、小さな恥辱には耐えなければならないということ。 用例:浄・源氏大草紙−二「韓信が股漂母の食、皆勘忍を守りし故、人の鑑(かがみ)と云るるぞや」 用例:浄・鬼鹿毛無佐志鐙−二「韓信が股をくぐるの心を持ち大事の命と思ふべし」 2.「韓信」に感心を掛け、「感心、感心」という気持ちを洒落(しゃれ)て言った言葉。 用例:洒・夜色のかたまり「イヤおきついおきつい、肝心またくぐりもちと古川やくしとはどふで御座り升(とふるいしゃれをいふ)」
故事:「史記−淮陰侯伝」 韓信は、若い頃、人の股を潜(くぐ)らされるという屈辱に耐えて、後年大成し、蕭何(しょうか)・張良(ちょうりょう)と共に漢の三傑の一人と呼ばれるに至った。 用例の出典@:源氏大草紙(げんじおおぞうし) 浄瑠璃。福内鬼外(平賀源内)作。明和7年(1770)。・・・詳細調査中。 用例の出典A:鬼鹿毛無佐志鐙(おにかげむさしあぶみ) 浄瑠璃。紀海音作。宝永7年(1710)。小栗判官の物語。 用例の出典B:夜色のかたまり(よいろのかたまり) 洒落本。・・・調査中。
・甘井先ず竭く(かんせいまずつく) 良質の水が湧き出る井戸は、利用者が多いので直ぐに水が涸れてしまうという意味から、才能のある者は、早くその才能を使い果たして衰退するものだということ。 出典:「荘子−山木」「直木先伐、甘井先竭」
・寒蝉枯木を抱く(かんせんこぼくをいだく) 秋の蝉は枯れ木に縋(すが)り付くという意味から、幾ばくの余命もない人は、身近な生きがいを唯一の頼りとするものだということ。
・間然する所がない(かんぜんするところがない)[=事がない] 少しも非難するところがない。 類:●非の打ち所がない 用例:俳・誹諧破邪顕正返答「梅翁の句に間然する事なし」 用例の出典:誹諧破邪顕正返答(はいかいはじゃけんしょうへんとう) 雑俳。延宝8年(1860)。岡西惟中。延宝7年(1679)、京談林の高政編『誹諧中庸姿』に対し貞門の随流は『誹諧破邪顕正』をもってその作風を非難。これを起因に談林の惟中と貞門の随流の論戦へと発展した。 人物:岡西惟中(おかにしいちゅう) 江戸中期の俳人、儒医。1639〜1711。通称、平太。字は赤子。号は一時軒、一有、閑々堂、時適など。鳥取の人。宗因の俳諧の評価をめぐり中島随流と論争。著「近来誹諧風体抄」「誹諧破邪顕正」など。
・勧善懲悪(かんぜんちょうあく) 《四熟》 善行を賞し勧め、悪行を戒め懲らすこと。 類:●勧懲 例:「勧善懲悪のTV番組」