−かせ(kase)−
・風当たりが強い(かぜあたりがつよい) 人や世間からの非難や攻撃・圧迫などが厳しい。
・加勢立て(かせいだて) 助けの兵を与えて勢いを加えるという意味から、自ら進んで助けようとする気持ちや様子。
・苛政は虎よりも猛し(かせいはとらよりもたけし)
・風枝を鳴らさず(かぜえだをならさず) 世の中が平和に治まっている様子。 類:●風も鳴らさず
・風が吹けば桶屋が儲かる(かぜがふけばおけやがもうかる) 思わぬ結果が生じることの喩え。あるいは、当てにならぬ期待をすること。 補足:「今日の大風で土ほこりが立ちて人の目の中へ入れば、世間にめくらが大ぶん出来る。そこで三味線がよふうれる。そうすると猫の皮がたんといるによって世界中の猫が大分へる。そふなれば鼠があばれ出すによって、おのづから箱の類をかぢりおる。爰で箱屋をしたらば大分よかりそふなものじゃと思案は仕だしても、是も元手がなふては埒(らち)明ず」(浮・世間学者気質−三)と見え、「箱屋」が後に「桶屋」に転じたと思われる。いきなり「三味線弾きが増える」となっているのは、江戸時代の通俗的な概念として、目の見えない人は三味線弾きだと相場が決まっていたから。 出典:世間学者気質(せけんがくしゃかたぎ) 浮世草紙。無跡散人(むせきさんじん)。明和4年(1767)。・・・詳細調査中。
・稼ぐに追い付く貧乏神(かせぐにおいつくびんぼうがみ) いくら働いても、貧乏からは抜けられないものである。 類:●貧乏隙なし ★「稼ぐに追い付く貧乏なし」の捩(もじ)り。
・稼ぐに追い付く貧乏なし(かせぐにおいつくびんぼうなし)[=貧乏追い付かず] 毎日毎日真面目(まじめ)に働いていれば、貧乏することはないということ。怠(なま)けてばかりいてはいけないという戒(いまし)め。 類:●A
hard worker is a stranger to poverty.●Poverty is a stranger to industry.
反:■稼ぐに追い付く貧乏神■貧乏隙なし
・風に草靡く(かぜになびく) 風の吹くままに草が靡(なび)き従うという意味から、人民が権力者の言うがままになること。また、小人物が有徳者に服すること。
・風に櫛り雨に沐う(かぜにくしけずりあめにかみあらう)[=沐(ゆするあみ)す] 風雨に曝されて奔走し、酷く苦労をすること。様々な苦労を体験すること。 類:●櫛風沐雨 出典:「荘子−天下」「沐甚雨、櫛疲風」
・風に順いて呼ぶ(かぜにしたがいてよぶ) 風上から風下に向かって呼ぶと声がよく通るところから、勢いに乗じて行なえば、早く、容易に成功する。
・風に柳(かぜにやなぎ) 柳が風の吹くままに靡(なび)くように、相手に逆らわないで、それを受け流すこと。 類:●風の柳
・風の便り(かぜのたより) 1.風が知らせてくること。また、風が吹き送って来たような取り止めのない手紙。 類:●風の使い 用例:古今−一三「花の香を風のたよりにたぐへてぞ鶯さそふしるべにはやる」 2.手紙などを送るべき僅かな機会。ちょっとしたついで。 類:●風の伝(つて) 用例:源氏−末摘花「さりぬべきかぜのたよりある時は」 3.どこから伝わってきたとも分からない噂。なんとなく聞こえてきたこと。 類:●風聞 例:「結婚したことを風の便りに聞く」 ★「風の噂」は、誤用。 4.単に、「手紙」を指す。 用例:仮・恨の介−上「一筆のかぜのたよりをも」 用例の出典:恨之介(うらみのすけ) 江戸前期の仮名草子。2巻2冊。作者未詳。慶長17年(1612)以降まもなくの成立とされる。葛恨之介と関白豊臣秀次の家臣木村常陸の遺児雪の前との悲恋物語。
・風の吹き回し(かぜのふきまわし) その時の模様・加減・具合い次第で。一定しないことに言う。 類:●物の弾み 例:「どういう風の吹き回しか」
・風の前の灯火(かぜのまえのともしび)[=雲・塵] ものごとが儚(はかな)く脆(もろ)いこと。また、危険が迫っている状態。 類:●風前の灯し火●風口の蝋燭
・風波窓を射る(かぜはそうをいる) 窓が破れていて風が吹き込むようである。貧しい侘(わ)び住まいのこと。 出典:杜荀鶴の「旅中臥病詩」「風射破窓灯易滅、月穿疎屋夢難成」 人物:杜荀鶴(とじゅんかく) 晩唐の詩人。846〜904(907?)。字は彦之、号は九華山人。池州石台の人。杜牧の庶子といわれる。大順2年(891)、進士に及第した。朱全忠に仕えて、翰林学士・主客員外郎・知制誥などを歴任した。権勢に驕って人を見下したので、命を狙われたこともあったという<枕流亭> しかしその詩は精緻で韻律に忠実であり、また、弦楽にも巧みだった。
・風邪は百病の長(かぜはひゃくびょうのちょう・おさ)[=元・本・基] 風邪はあらゆる病気の元である。 類:●風邪は万病の元
・風は吹けども山は動ぜず(かぜはふけどもやまはどうぜず) 混乱した状態の中にあって、少しも動じない。
・風吹けば木安からず(かぜふけばきやすからず) 事件があると、その影響を受けて人の心も落ちつかなくなるものだということ。
・風を食らう(かぜをくらう) 事を察知する。感付いて逃げ去る。例:「風を食らって逃げる」 ★多くは、悪事が露見した場合などにいう<国語大辞典(小)>
・瓦全(がぜん) 瓦となって安全に残るという意味で、何もしないで生き長らえていること。無為に命を保つこと。 類:●甎全(せんぜん) 反:■玉砕 出典:「北斉書−元景安伝」「大丈夫寧可玉砕、何能瓦全」