−かし(kasi)−
・貸し借りは他人(かしかりはたにん) 親しい親子兄弟の間柄でも、金銭の貸し借りは、他人同様のような冷たい関係になりがちであるということ。
・火事と喧嘩は江戸の華(かじとけんかはえどのはな) 江戸時代以降の江戸で言われた言葉。火消しの華やかな働き振りと、江戸っ子の喧嘩は威勢が良く、江戸の見物(みもの)であるということ。江戸っ子の威勢の良さを表わした言葉。
・火事の後の釘拾い(かじのあとのくぎひろい)・火事場の釘拾い 自分の家を焼いてしまった後で、釘を拾って歩いてもどうにもならない。多大な浪費の後で、少しばかりの節約を心掛けても、なんの足しにもならないということ。 類:●火事場で焼け釘を探す
・火事の後の火の用心(かじのあとのひのようじん) 事が起こった後でその備(そな)えをすること。時機に遅れてものごとを始めても遅いということ。 類:●火事場の釘拾い●喧嘩過ぎての棒乳切●生まれた後の早め薬
・和氏の璧(かしのたま) → 卞和の璧 参考:完璧
・樫の実の一人子(かしのみのひとりご) たった一人きりの子供。 類:●一粒種 ★「樫の実(=ドングリ)」は、一つの笠に実が一つしかないので、「ひとつ」「ひとり」に掛かる枕詞。
・火事場泥棒(かじばどろぼう) 1.火事場の混乱に紛れて物を盗むこと。また、その者。2.他人の混雑やごたごたに紛れて不正な利益を占めること。また、その者。 類:●火事泥
・下士は道を聞けば大いに之を笑う(かしはみちをきけばおおいにこれをわらう) 劣った者は「道(タオ)=恒久不変の条理」について尋ねると、大声で笑うものである。そういう輩(やから)の物笑いにならないようでは「道」ではないということ。 出典:「老子−第四十一章」「上士聞道、勤而行之、中士聞道、若存若亡、下士聞道、大笑之、不笑不足以為道」
・鹿島立ち(かしまだち) 旅に出かけること。 類:●旅立ち●出立 用例:菟玖波集−羇旅「これぞこの旅のはじめの鹿島立」 ★鹿島・香取の二神が、天孫降臨に先だち、鹿島を発(た)って国土を平定した故事によるとも、また、防人(さきもり)や武士が旅立ちの際、鹿島の阿須波明神に祈りをささげたことに基づくともいう<国語大辞典(小)> 用例の出典:菟玖波集(つくばしゅう) 最初の連歌撰集。書名は、連歌の起原とされる記紀の「新治(にいばり)筑波を過ぎて…」の問答に因(ちな)む。20巻。二条良基、救済(ぐさい)撰。文和5年(1356)成立、延文2年(1357)勅撰集に准ぜられる。古来の連歌二千余首を収集。
・貸し元が狡い(かしもとがずるい) 局部の締まりがないという意味で、異性関係にだらしがない女。淫奔(いんぽん)な女。
・鍛冶屋の晩げ(かじやのばんげ)[=明晩] 鍛冶屋が品物の仕上げを兎角(とかく)延ばしがちで、催促すると決まって「晩げには」と言い抜けて当てにならないところから、約束の期日が当てにならないこと。 類:●医者の只今●蕎麦屋の出前●紺屋の明後日
・牙城(がじょう) 1.城の内郭で大将がいる所。城の本丸のこと。 ★「牙」は「牙旗」の意で大将の旗<国語大辞典(小)> 出典:「唐書−李愬伝」 2.転じて、強敵が拠(よ)っている本拠地。また、組織や勢力などの中枢(ちゅうすう)。 類:●根城(ねじろ) 例:「革新の牙城を崩す」
・火上の氷(かじょうのこおり) 火の上の氷がすぐ溶けるように危険や災難が差し迫っていること。
・華燭の典(かしょくのてん)[=式] 結婚式の美称。
・華胥の国(かしょのくに) 理想郷。 類:●ユートピア●壺中の天地
・華胥の国に遊ぶ(かしょのくににあそぶ)
・華胥の夢(かしょのゆめ) 良い夢。また、昼寝。 故事:「列子−黄帝」 黄帝は天下が巧く治まらず心配していたた。昼寝の夢で華胥という国に遊び、そこでは命令する人も欲張る人もいない自然で平和な理想境であるのを知った。夢から覚めてから政治の要点が"自然"にあると悟った。
・頭動かねば尾が動かぬ(かしらうごかねばおがうごかぬ) 上位にある者が先に立って活動しないと下の者が働かない。
・頭に髪あらば太るべし(かしらにかみあらばふとるべし) 激しい恐怖に襲われ、怯え恐れる。 用例:源氏−手習「かしらのかみあらばふとりぬべき心地するに」
・頭を集める(かしらをあつめる) 大勢が寄り合う。 類:●頭を集(つど)う●鳩首
・頭を傾ける(かしらをかたむける) 訝(いぶか)しく思う。または、深く考える。
・頭を縦に振る(かしらをたてにふる) 頷(うなず)いて承諾する。
・柏手(かしわで・はくしゅ) 神を拝する時に手を打ち鳴らすこと。 類:●開手(ひらて) ★「拍(うつ)」を「柏(かしわ)」に誤ったものとも、「かしわで(膳)」が打つ手からなどともいう<国語大辞典(小)>
・柏に寝る(かしわにねる) 形が「柏餅」に似ているところから、一枚の蒲団を二つ折りにして、その間にくるまって寝ること。
・河岸を変える(かしをかえる) 1.飲食したり遊んだりする場所を変える。 例:「河岸を変えて飲み直そう」 2.商売換えをする。また、芸妓などが抱え主や勤め場所を変える。3.男女の仲で、相手を変える。 ★この場合の「河岸」は、ものごとをする場所の意味で、特に、飲食や遊興をする場所を指す。
・舵を取る(かじをとる) 1.船の舵を操って、正しい方向に進める。船を一定の方向に進める。2.転じて、一定の方向に、ものごとを巧く運んでいく。多くの人を導いて、方向を誤らせないようにする。 用例:浮・本朝二十不孝−五「其跡を後家揖を取って世帯を能持かためける」 用例の出典:本朝二十不孝(ほんちょうにじゅうふこう) 浮世草子。五巻。井原西鶴。貞享3年(1686)刊。親不孝を題材に様々な不孝者の生きざまを誇張を交えて描いた19話と最後に祝儀としておかれた孝行話1話からなる短編集。
・臥薪嘗胆(がしんしょうたん)
・歌人は居ながら名所を知る(かじんはいながらめいしょをしる)[=行かずして〜] 歌人は古歌や歌枕の研究を通して、そこに実際に旅行しなくとも、天下の名所の有り様を知ることができるものだということ。
・佳人薄命(かじんはくめい) 美人は不幸せな場合が多いということ。また、病弱だったりして早死にすることが多いということ。 類:●美人薄命 反:■憎まれっ子世に憚る 出典:蘇軾の「薄命佳人詩」「自古佳人多命薄、閉門春尽楊花落」