−かた(た)(kata4)−
・肩叩き(かたたたき) 1.凝(こ)りを解すために、肩を叩くこと。または、その道具。2.相手の肩を軽く叩いて、頼みごとをしたり気持ちを和らげたりすること。特に、退職を勧告したりなどする時にいう。 例:「会社側の肩たたき」
・形に影の添う如し(かたちにかげのそうごとし) 物には当然その影がいつも付いているように、どんな場合でも離れない。 類:●影の形に従うが如し●形影相伴う
・形許り(かたちばかり)・かたばかり 実質が伴わなくて、ほんの形式だけ。 類:●印ばかり 例:「かたちばかりの式を挙げる」 用例:有明の別−三「御手もわななけどかたばかりかきつけ給」 用例の出典:有明の別・在明の別(ありあけのわかれ) 小津桂窓の西荘文庫から発見された散逸古物語。男装の姫君の物語。・・・調査中。
・片付く(かたづく) 1.片方に寄る。 用例:万葉−4207「谷可多頭伎(たにカタヅキて)家居れる君が聞きつつ告げなくもうし」 2.ある者の方に付く。付き添う。また、嫁入りする。 用例:浮・好色一代女−二「つれ衆には天神かたづき、お機嫌とりの若男四五人もありしが」 用例:浮・好色訓蒙図彙−上「いまだかたづかぬお姫様」 3.物が然(しか)るべきところにきちんと整えられる。整頓される。 例:「部屋が片付く」 4.ものごとが解決される。仕事が処理されて、完了する。 類:●片が付く 例:「騒ぎが片付く」 用例:人情・湊の月−後「宿の亭主が慾張りで、思ひの外に片付かず〈略〉漸々と三十両で請戻し」 5.邪魔な者がいなくなる。特に、死ぬこと。 用例の出典@:好色訓蒙図(こうしょくきんもうずい) 浮世草紙。彙吉田半兵衛著。刊本、小本3巻3冊。貞享3年(1686)。『訓蒙図彙』の形式に倣い、絵を主として好色風俗を図解した絵入百科事典。類書が少なく、当時の風俗資料として貴重。 用例の出典A:湊の月(みなとのつき) 人情本。松亭金水?。・・・調査中。
・片付ける(かたづける) 1.片方に寄せる。 用例:詞葉新雅「カタヅケルそばむる」 2.ある者の方に人などを付ける。従者などを付き従わせる。転じて、嫁入りさせる。縁付かせる。 用例:浄・凱陣八島−一「源氏へゑんをもとめ、姫君たちを御かたづけなされては」 3.気持ちや様子、形などを落ち着かせる。どちらか一方に定まった状態にする。4.散らばっている物をきちんと整える。整頓する。 人情・春色梅児誉美−初「そこいらをかたづける」 例:「書類を片付ける」 5.ものごとを解決する。仕事などを処理する。また、残った食べ物などを食べる。 類:●方を付ける 用例:人情・春色梅美婦禰−四「三方四方治りの宜(いい)様に落付(カタヅケ)て上げるから」 6.俗に、邪魔な者を除く。殺す。 用例:浄・鎌田兵衛名所盃−名所屏風「酒にゑはせてかたづけんと思ひ」 用例の出典:鎌田兵衛名所盃(かまたひょうえめいしょのさかずき) 浄瑠璃。近松門左衛門。正徳元年(1711)。「保元物語」に拠った軍記仕立て。源平に分かれて戦う源為義と義朝親子の悲劇と家来の謀反を描く。変則の上下2巻で、下巻の悲劇的局面に特色<近松門左衛門でござーい!>
・片っ端から(かたっぱしから・かたっぱじから) 1.端の方から次々と。 類:●手当たり次第に 用例:咄・鯛の味噌津−角力「大寒、小寒、八専等、かたっはじからひろいなげにあいける所へ」 2.端の方まで全部。 ★「かたっぱし」に、助詞「から」のついた語<国語大辞典(小)> 用例の出典:鯛の味噌津(たいのみそず) 咄本。大田南畝(蜀山人)。・・・詳細調査中。 人物:大田南畝(おおたなんぽ) 江戸後期の狂歌師。洒落本・滑稽本作者。1749〜1823。本名、覃(たん)。別号、蜀山人(しょくさんじん)、四方赤良、寝惚(ねぼけ)先生など。江戸幕府に仕える下級武士。天明調の狂歌の基礎を作り、狂詩、洒落本、黄表紙、咄本なども著わす。著に「万載狂歌集」「徳和歌後万載集」「一話一言」など。
・片手落ち(かたておち) 処置や配慮が一方にだけ偏(かたよ)ること。不公平なこと。 類:●片手打ち●不公平●不平等 ★二者のうち、片方は不足なく手当てしたが、もう片方に手抜かりがあるということ。
・肩で息をする(かたでいきをする)[=切る・継ぐ] 肩を上下に動かしながら苦しそうに呼吸する。
・肩で風を切る(かたでかぜをきる)[=散らす] 肩を欹(そばだ)てて大威張りで歩く。
・片手で錐は揉めぬ(かたてできりはもめぬ) 錐は両手を使って初めて用を為すもので、片手では使えない。同様に、ものごとは人と力を合わせることによって成し遂げられるものである。一人では何もできないということ。
・片手間(かたてま) 本業の余暇。用事の合い間。また、その合い間にする仕事。 例:「片手間仕事」