−かた(わ)(katawa)−
・傍らに人無きが如し(かたわらにひとなきがごとし) 傍に人が誰もいないように、我が儘勝手に振る舞う。人を人と思わない。 ★「傍若無人(ぼうじゃくぶじん)の訓読み<国語大辞典(小)>
・傍ら痛い(かたわらいたい) 傍(そば)で見ていても心が痛むという意味で、 1.傍で見ていても辛く思う。端(はた)から見ていてはらはらする。気の毒に思う。心苦しい。 類:●片腹痛い 用例:蜻蛉‐中「日ごろ乱れがはしかりつる所々をさへ、こほこほと作るを見るに、いとかたわらいたく思ひくらすに」 用例:源氏‐朝顔「すのこはかたわらいたければ、南のひさしに入れ奉る」 2.傍で見ていて苦々しく思う。端から見ていて滑稽に感じる。笑止である。 用例:枕−九六「かたはらいたきもの。よくも音弾きとどめぬ琴を、よくも調べで、心のかぎり弾きたてたる」 用例:源氏−帚木「おのがじし心をやりて、人をばおとしめなど、かたはらいたき事多かり」 類:●傍ら苦し●笑止千万 3.傍の人に対して気が引ける。人に笑われそうで恥ずかしい。 類:●決まりが悪い●体裁が悪い 用例:蜻蛉−下「人多うまうでたり。たれと知るべきにもあらなくに、われひとり苦しうかたはらいたし」 用例:今昔−二二・八「御前にて申すは傍痛き事には候へども」 ★参考:「片腹痛い」とも書く<国語慣用句辞典(集)> 用例の出典:今昔物語集(こんじゃくものがたりしゅう) 平安後期の説話集。31巻。うち、8、18、21の3巻を欠く。作者に関しては、古来の源隆国説、鳥羽僧正説その他があるが未詳。通称「今昔物語」。12世紀の初めに成立。内外の文献の翻案を含む説話千余を、天竺(インド)、震旦(中国)、本朝(日本)の三部に分けて収めた、わが国最大の古説話集。漢文訓読調に和文脈をまじえた文体で、古写本は片かな宣命(せんみょう)体の表記法をとり、国語史料としても貴重である。書名は、説話が「今は昔」で始まることに由来。
・片割れ(かたわれ) 1.物の割れたり破れたりした一片。また、対(つい)になっているものの一方。 例:「夫婦茶碗のかたわれ」 用例:狂言記・連歌毘沙門「かたわれもなふ、ようわれた」 2.身を分けたもの。 類:●分身 用例:浄・心中刃は氷の朔日−上「おばは親のかたはれ」 3.仲間の一人。仲間の一部。 用例:浄・平仮名盛衰記−四「親子は一体。敵の片われ一寸もうごかさぬ」 4.「片割月(かたわれづき)」=「弦月」の略。 用例:新撰六帖−一「過ぎかはる宵暁のかたはれを一つにすめる月のかげ哉」 用例の出典:連歌毘沙門(れんがびしゃもん) 狂言。福神物。・・・詳細調査中。