−かつ(katu)−
・隔靴掻痒(かっかそうよう) 履いた靴の外から痒いところを掻くという意味から、思い通りにいかなくて、歯痒くじれったいこと。なかなか核心に触れないこと。 類:●靴を隔てて痒(かゆ)きを掻く●隔靴●御簾(みす)を隔てて高座を覗く●御廉(ぎょれん)を隔てて花を見る 出典:無門関(むもんかん) 中国南宋代の禅書。1巻。無門慧開著。1228年成立。すぐれた公案四八則を選び、これに頌と評唱を加えたもの。悟りへの手がかりとして、禅宗で、極めて尊重される。
・活眼を開く(かつがんをひらく) ものごとの本質を見通す能力を発揮する。
・各個撃破(かっこげきは) 敵の勢力が分散している機に乗じて、一つ一つ打ち破っていくこと。目的達成のために、関係者一人一人に当たって説得していくこと。
・活殺自在(かっさつじざい) 生かすも殺すも心のままである。他人を自分の思うがままに操ること。
・合従連衡(がっしょうれんこう) 「合従」=中国の戦国時代に、最強国秦に対抗するために蘇秦が説いた同盟政策。南北に連なる六国を連合させ、西方の秦に対抗させたもの。転じて、国と国が同盟を結ぶことや、地方と地方が、あるいは同業者などが連合する場合にもいう。 「連衡」=中国の戦国時代、秦の恵王の相であった張儀が、合従(がっしょう)政策を切り崩すために唱えた同盟政策。秦と東方の六国(韓・魏・趙・楚・燕・斉)とが個別に和平条約を結ぶことを目指した。 これらの故事から転じて、全く正反対の二つの外交政策や、巧みに謀略を巡らした外交政策を指していう言葉。 類:●合従連横●連衡合従 出典:「史記−蘇秦伝」 ★「従」は「縦」と同じく「たて」で、南北の意、「衡」は横で、東西の意<国語大辞典(小)> 
・渇する者は飲を為し易し(かっするものはいんをなしやすし) 喉が渇(かわ)いている者はどんなものでも喜んで飲むという意味で、虐待(ぎゃくたい)されている者は僅(わず)かな恩恵でも喜ぶことの喩え。 類:●飢うる者は食を為し易し 出典:「孟子・公孫丑・上」「飢者易為食、渇者易為飲」
・渇すれども盗泉の水を飲まず(かっすれどもとうせんのみずをのまず)
・がっちりしている 1.がっちりと握って放さないという意味から、けちで抜け目がない。金銭の支出にうるさい。 類:●勘定高い●財布の紐が堅い 例:「あそこの奥さんはがっちりしてるからね」 ★多く、非難や軽蔑の気持ちを含めて言う。 2.強情である。また、図々しくて押しが強い。
・勝手が違う(かってがちがう) 自分が以前経験して了解している筈の様子や具合いとは違う。 ★「勝手」は、その建物やものごとに慣れていて、どうすれば良いか分かっていること。また、そのやり方のこと。
・勝手知ったる(かってしったる) 様子が分かっている。内情が分かっている。 例:「勝手知ったる他人の家」
・買って出る(かってでる) 自分から進んで引き受ける。 例:「旅行の幹事を買って出る」 ★花ガルタ[=花札]博打(ばくち)からできた言葉。花ガルタは3人で行なうもののため、次に遊びたい者は権利を買ってから参加した。
・勝手な熱を吹く(かってなねつをふく) 熱に浮かされて口走る無意識のうわ言のように、自分にとって都合の良い事ばかりを好き勝手に放言すること。
・勝って負ける(かってまける) 1.争いに勝っても、道理において負けになることがあるということ。 類:●勝てば負く 2.勝ったのに、少しも得にならないことの喩え。
・勝手を知る(かってをしる) ある場所などの様子、ものごとのやり方の具合いなどを心得る。 類:●内情に通じる 用例:洒・百安楚飛「江戸の勝手をしらず」 用例の出典:百安楚飛(ひゃくあそび?) 洒落本。安永8年(1779)。・・・詳細調査中。
・合点がいく(がってんがいく・がてんが〜)[=ゆく] ものごとの事情が十分理解できる。納得(なっとく)できる。多く、打ち消しの語を伴って用いられる。 類:●得心が行く 用例:浄・重井筒−中「とひもせぬお客の断(ことわり)がってんがいかぬ」 用例の出典:心中重井筒(しんじゅうかさねいづつ) 浄瑠璃。世話物。3段。近松門左衛門。宝永4年(1707)大坂竹本座初演。大坂の紺屋の養子徳兵衛と色茶屋重井筒の遊女お房との心中事件を脚色したもの。
・合点承知の助(がってんしょうちのすけ) → 承知の助
・合点尽く(がってんずく) 予(あらかじ)め互いに納得している。了解した上である。 用例:浮・好色一代女−五「買人も其合点づくなり」 類:●納得尽く●承知尽く
・渇に臨みて井を穿つ(かつにのぞみていをうがつ)[=臨んで〜][=を掘る] 喉が渇(かわ)いてから井戸を掘るという意味で、必要に迫られてから慌てて準備しても間に合わないことの喩え。 類:●難に臨みて兵を鋳る●盗人を見て縄を綯う●兎を見て鷹を放つ 出典:「説苑−奉使雑言」「譬之猶渇而穿井、臨難而後鋳兵」
・活溌溌地(かっぱつはっち・かっぱつぱっち) 魚が撥ねるように極めて勢いが良いこと。気力が満ち満ちている様子。 類:●活発発(かつはつはつ)。 用例:正法眼蔵−梅華「この法輪に転ぜられて昊昊地なり」 用例の出典:正法眼蔵(しょうぼうげんぞう) 道元の主著。寛喜3〜建長5年の間に、折にふれて説示されたもの。修証一如の宗教的世界がすぐれた和文によって明らかにされ、哲学や文学の分野でも高く評価されている。現行本は95巻。
・河童に水練(かっぱにすいれん) 泳ぎが得意な河童に泳ぎを教えるということで、あることに精通した人に対して、そのことを教える愚かさ・不必要さの喩え。 類:●釈迦に説法●孔子に悟道
・河童の川流れ(かっぱのかわながれ)
・河童の寒稽古(かっぱのかんげいこ) 人間には苦行である寒稽古も、水に住む河童には何の苦痛もないということ。転じて、何の苦にもならない当たり前のこと。
・河童の木登り(かっぱのきのぼり) 不得手なことをする。
・河童の屁(かっぱのへ)
・河童も一度は川流れ(かっぱもいちどはかわながれ) 河童の様に泳ぎの上手い者でも上手くなるまでには一度や二度は溺れる事もある。何事も初めは下手から始めるのだ。 類:●沙弥から長老にはなれぬ●てんから和尚はいない
・刮目して待つ(かつもくしてまつ) 「刮目」は、目を擦(こす)って良く見るということ。男子は三日も会わないでいると驚くほど成長しているものだという意味で、人の学業や仕事・人間性などがいかに向上したか、良く見なさいということ。或いは、どのように成功・成就するかを注目して待ちなさいということ。 類:●刮目してこれを見る●男子三日会わざれば刮目して見よ 出典:「史記」・「十八史略−東漢・献帝」・「呉志(三国志)・呂蒙・裴松之注」 ★呂蒙(りょもう)が魯粛にいったことば<中国古典名言事典(講)> →関連:呉下の阿蒙
・桂を科りて炊ぐ(かつらをはかりてかしぐ) 高価な桂の枝を薪(まき)にくべて飯を炊く。富貴な生活、贅沢(ぜいたく)な暮らしの喩え。 ★滝沢馬琴が、「食玉炊桂」を、玉や桂よりも値段の高い食物や薪によって暮らすと解釈して用いたという。
・桂を折る(かつらをおる)
・渇を癒す(かつをいやす)[=医(い)する] 1.水などを飲んで、喉の渇(かわ)きを止める。2.転じて、宿願を果たす。悲願を達成する。
・活を入れる(かつをいれる) 1.柔道などの術で、気絶した人の急所を突いたり揉んだりして、息を吹き返らせる。2.活発でない人や衰弱した人などを、刺激して元気付ける。 類:●焼きを入れる
・褐を被て玉を懐く(かつをきてたまをいだく)・褐を被(こうむ)りて〜 聖人は、外面は飾らないで粗末なものを身に着けているが、内面には尊(とうと)い心を持っているという喩え。 類:●褐を衣て宝を懐く 出典:「老子−七十」「知我者希、則我貴矣。是以聖人被褐懐玉」 ★「褐」は、紡(つむ)ぐ前の麻で織った粗末(そまつ)な衣服。「玉」は、真理・知恵・才能などの喩え。